【IR海外まとめ2020】カジノ閉鎖にシルク破産、拡大するオンラインベッティング (2/2)

二上葉子


●「MICE」はオンラインとリアルのハイブリッド型へ
 MICE施設はカジノ再開後もイベントの実施制限があるため、閉鎖期間が長くなった。ラスベガスやシンガポールでは今年秋にようやくMICEが試験的に再開された。再開後は、オンラインとリアルを掛け合わせたハイブリッド型MICEが新たな時代のMICEとして注目され始めている。一方で、MICEを使った毎年恒例の大型イベントはオンラインでの実施に移行しつつあり、MICEに頼ったIRビジネスのあり方そのものを再考する必要が出ている。

⇒MBS Covid-19時代のライブとオンラインMICEイベント・スタジオを提供
【海外版・8/12~8/18 IR記事まとめ】サンズがコロナ時代のMICE活用策を公開、ウィンの定期ショー解散
https://jair.report/article/425/

⇒MBS大規模イベントの復活に向けて準備 カーボン・ニュートラルMICE
【海外版・9/2~9/8 IR記事まとめ】マカオ9月GGRは前月2倍の初動、マリーナベイサンズMICEを試開催
https://jair.report/article/452/

⇒MGMリゾーツ、パンデミック下でコンベンションを復活させる計画を共有
【海外版・9/23~9/29 IR記事まとめ】ラスベガスはイベント大幅緩和、MGMがMICE再開プラン発表
https://jair.report/article/469/

⇒ラスベガス・サンズ 試験的イベントでコンベンションでの安全計画をチェック
【海外版・9/30~10/6 IR記事まとめ】ラスベガスでMICE模擬イベント実施、中国GW特需もマカオは期待値に届かず
https://jair.report/article/472/

⇒変わらないMICEの要件、基本方針案の修正はこれでよいのか? 海外IRのMICEの現状は?(10月23日記事)
https://jair.report/article/487/2/

⇒「MICE=集客装置」というIRの前提を破壊した新型コロナウイルス(12月1日記事)
https://jair.report/article/519/


シンガポールのマリーナベイ・サンズのMICE


●盛り上がるオンラインベッティングやスポーツベッティング
 コロナ禍でIR施設の閉鎖が続く中で、オンラインベッティングやスポーツベッティングの売上が上昇した。特にアメリカでは、市場が急速に拡大している。有力IRオペレーターは、オンラインベッティングやスポーツベッティング会社と提携を結び、この1年で新たな勢力図が出来上がりつつあることは見逃せない。

⇒【新型コロナのIRへの影響レポート】ラスベガスから始まるウィズコロナ時代の新たな潮流 「スポーツベッティングの拡大」(10月28日記事)
https://jair.report/article/491/3/

⇒【海外版・12/9~12/15 IR記事まとめ】マカオのカジノライセンス延長の可能性、米国スポーツ、オンラインベッティングGGRを牽引
ドラフトキングス社、「来年に新州の立ち上げがなくとも」40%成長を予想
10月報告は米国史上で最大の合法スポーツ・ベッティング月となる見込み
https://jair.report/article/527/2/


●新型コロナによるスケジュールの遅れ
 新型コロナウィルスの影響で、来年以降のスケジュールへの影響が出ている。具体的には、シンガポールIRの第2期拡張の遅れ、日本のIR区域整備認定申請の遅延。また、マカオでは現在のカジノライセンスが、2022年6月までだが、現在のライセンスがそのまま延長され、次回のマカオのカジノライセンス入札が遅れるとの見方が出ている。

⇒【海外版・8/5~8/11 IR記事まとめ】マカオ観光ビザと個人訪問スキーム再開へ、シンガポールカジノ拡張に遅れ
https://jair.report/article/420/

⇒【12/13~12/19のIR記事まとめ】IR基本方針が閣議決定 ようやく時計の針が動き始める
https://jair.report/article/529/

⇒【海外版・12/9~12/15 IR記事まとめ】マカオのカジノライセンス延長の可能性、米国スポーツ、オンラインベッティングGGRを牽引
https://jair.report/article/527/
マカオのカジノライセンス再入札に向けたオペレーターの動きは、日本IRにも影響を与える
 
 IR業界としては、新型コロナによりビジネス環境が激変し、世界中の観光業が打撃を受ける、厳しい1年だった。新型コロナ対策を十分に行った上で、IR施設を再開しているが、完全回復はまだまだ先だ。その中で、オンライン・ベッティングの急成長やハイブリッド型MICEへの移行といった次世代型IRの活路も開かれた。ラスベガスやマカオでは新施設の開業も控えている。来年はパンデミックの危機からIR産業がどう進んでいくのか。明るい話題を期待したい。