<IR用語集・基礎知識> カジノ納付金

JaIR編集部

カジノ納付金とは、カジノ施設を運営する事業者から国・地方自治体への納付金のこと。日本では、カジノと集客施設を一体運営するIR事業者から、定額固定費、およびカジノ事業の粗収益(賭金総額-顧客への払戻金:GGR)に対する比例負担額をカジノ納付金として徴収する形となる。カジノ納付金は幅広く公益に還元することを基本方針とする。
 
定額固定費は、カジノ事業を管理するカジノ管理委員会の経費に相当する額を徴収。徴収は、カジノ事業粗収益の集計の適正性、およびIR事業者の財務健全性を監督するカジノ管理委員会が行う。また、GGR等比例負担のカジノ納付金は30%であり、国と自治体(認定都道府県等)に納付される*第192条 (国庫納付金の納付等)、第193条 (認定都道府県等納付金の納付等)。徴収した納付金は国と認定自治体で折半し、国・地方がそれぞれIR区域の整備や社会福祉、文化芸術の振興などの公益目的に利用する。

日本型IRのベースとなっているシンガポールは、同じアジア圏であるマカオの後発ということもあり、非VIP向けで5%、VIP向けで15%という低廉なカジノ納付金を前提に2つのIRにライセンスを付与し、高い成長を実現してきた。2022年には2つのIRの施設拡張計画にあわせて、カジノ納付金と入場料も引き上げられるが、それでも非VIP向けが12%、VIP向けが22%に抑えられている。韓国やフィリピンなど他のアジア諸国もおおむねシンガポールに追従し、マカオの39%よりも安価なカジノ納付金となっており、日本の30%もこの流れにある。とはいえ、日本においては諸外国よりも高い国税・地方税、地代や人件費、建設費を支出することになるため、IR事業者としてはIR投資に対して慎重にならざるをえないのが現状だ。
 
(関連リンク)
首相官邸 カジノ事業者に係る公租公課等について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/ir_kaigi/dai6/siryou1.pdf
 
首相官邸 IR推進会議とりまとめ概要
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/kokumintekigiron/gaiyou.pdf

(2020年7月17日更新)