<IR用語集・基礎知識> リゾート・ワールド・セントーサ

JaIR編集部

シンガポール南部のセントーサ島にあるアイランドリゾートで、「マリーナベイ・サンズ」(ラスベガス・サンズ開発)とともに国内に2つあるIRのうちの1つ。マリーナベイ・サンズに比べてよりファミリー向けで、海辺の立地を活かしたウォーターアクティビティ施設や、「ユニバーサル・スタジオ・シンガポール(USS)」も同敷地内にある。建築家は、ディズニーのオフィスビルやホテルも手掛けたアメリカのマイケル・グレイヴス。

開業は2010年で、シンガポール政府から独占的にカジノライセンスを付与されたこの2つのIRが、統合型リゾートという概念を世界に知らしめるきっかけとなった。リゾート・ワールド・セントーサの開発は、マレーシアに本社を持つゲンティン・グループの子会社、ゲンティン・シンガポール(運営は現地子会社のリゾート・ワールド・セントーサ)。開発費用は約60億米ドル(約5,220億円)。シンガポール・チャンギ国際空港から車で約30分、マリーナベイ・サンズとは車で約15分の距離で、約49haの敷地内に付随する主な施設は以下の通り。

・15,000㎡のカジノエリア。21歳以上であれば自国民、外国人ともに入場可能だが、自国民には150シンガポールドル(約12,000円)の入場税が課される。国の規制上、ホテル外の設置
・10万匹以上もの海洋生物が生息する世界最大級の水族館「シー・アクアリウム」
・川下りやシュノーケリング体験ができる「アドベンチャー・コーブ・ウォーターパーク」
・映画を題材にしたテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・シンガポール(USS)」。日本のユニバーサル・スタジオの半分以下の広さ(約20ha)で、2024年までに任天堂エリアも開業予定
・イルカと触れ合える「ドルフィン・アイランド」
・大型帆船でクルーズを楽しめる「ロイヤル・アルバトロス」

・ホテルは6つ。自然豊かでプールも備える「ビーチ・ヴィラ」、24時間のバトラーサービスを提供する招待制の「クロックフォード・タワー」、アドベンチャー・コーブ・ウォーターパークに通常より短い時間でアクセスできる「エクアリアス・ホテル」、子ども向けのロフトベッドも備え家族向けの「フェスティブ・ホテル」、随所にロックを感じさせる「ハードロック・ホテル・シンガポール」、マイケル・グレイヴスが設計した「ホテル・マイケル」。総客室数1,500以上で、いずれも5つ星。さらにスイートルームとして、室内から水族館を楽しめる「オーシャン・スイート」、木の上に建つ「ツリー・トップ・ロフト」がある

・270°没入型プロジェクションスクリーンを備えた「リゾート・ワールド・コンベンション・センター」はMICEに対応し、一度に35,000人以上を収容可能。11,000㎡以上の広さと、3つのフロアにまたがる計35のファンクションルームがある。USSや水族館を使ったイベントもコーディネート可能

・グルメは高級レストランだけでなく、庶民的な屋台料理を味わえるフードコート「マレーシアン・フード・ストリート」もある

2019年の年間来場者数は約1,800万人。うち、ノンゲーミング施設(USS、シー・アクアリウム、アドベンチャー・コーブ・ウォーターパークなど)への来場者数は760万人を記録し、ホテル稼働率は平均90%以上となった。同年の総収入は24億8,000万米ドル(約2,844億円)、うちカジノ収益が16億1,900万米ドル(約1,857億円)を占めていた。

カジノライセンスを2030年まで延長するにあたって、政府との公約で、所有施設の拡張に33億米ドル(約3,827億円)を投資することになっている。内容はUSSや水族館、MICE施設の拡張、レストランや小売店舗の増設、1,100のホテル客室追加、施設周辺の無人運転交通システム開発などで、2024年完了見込み(2019年時点)。

■リゾート・ワールド・セントーサの取り組み例
新型コロナウイルス感染症対策
https://www.rwsentosa.com/ja-jp/covid-19

責任あるゲーミング
http://www.gentingsingapore.com/#!/ja/sustainability/responsible-gambling

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