<IR用語集・基礎知識> マリーナベイ・サンズ

JaIR編集部

シンガポールにある2つのIRのうちの1つ。トランプのカードがモチーフの3つのタワーの上に、船型の空中庭園が乗っている特徴的な外観は、シンガポール自体のアイコンにもなっている。建築家は、モントリオール万博の一環で作られた「アビタ67団地」などで知られるモシェ・サフディ。

2010年、シンガポール政府から2事業者独占で初のカジノライセンスが発行され、「リゾート・ワールド・セントーサ」(ゲンティン・シンガポール開発)と同年に開業。カジノだけでなく、MICEやエンタメなど複数の施設を一体的に開発・運営していく統合型リゾートの先駆けとなった。開発はラスベガス・サンズ(運営は現地子会社のマリーナベイ・サンズ)で、開発費用は約56億米ドル(約6,328億円)。シンガポール・チャンギ国際空港から車で約20分のマリーナ湾地区に位置し、隣接地には世界中の植物が集まる国立公園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」がある。約19haの敷地内に付随する主な施設は以下の通り。

・4階層、15,000㎡超えのカジノエリア。21歳以上であれば自国民、外国人ともに入場可能だが、自国民には150シンガポールドル(約12,000円)の入場税が課される。国の規制上、ホテル外の設置
・地上200mの「スカイパーク」(空中庭園)。展望デッキの他、全長150mの「インフィニティプール」が有名
・海に浮かぶように設計され、プロムナードと海中トンネルで繋がる「クリスタルパビリオン」(ルイ・ヴィトン店舗)
・蓮の花をイメージした「アートサイエンス・ミュージアム」
・2階層の合計1,677席を有する劇場
・大小様々な規模のMICEに対応する展示ホール。2階層で計31,750㎡、最大45,000名・ブース2,000件収容可
・部屋数2,560室、3棟57階建ての5つ星ホテル
・高級ブランドから国内のカジュアルブランド、レストラン、フードコートなど300を越える店舗が集まるショッピングエリア

2010年の開業以来、3億3,000万人以上の来場者を集め、2018年の年間イベント数は3,680件にものぼる。2019年は総収入31億100万米ドル(約3,576億円)、うちカジノ収益が21億6700万米ドル(約2,499億円)を占めていた。

カジノライセンスを2030年まで延長するにあたって、政府との公約で、所有施設の拡張に33億米ドル(約3,827億円)を投資することになっている。新しいホテルやMICE施設、1万5,000人以上を収容可能なアリーナなどを新設予定で、2027年完了見込み。さらに追加で、2025年~26年完了予定で投資額10億米ドル(約1,147億円)規模の拡張・改装プロジェクトにも着手しており、新しいスイートルームの導入などプレミアム顧客への訴求力を大幅に強化する。

■マリーナベイ・サンズの取り組み例
新型コロナウイルス感染症対策
https://jp.marinabaysands.com/covid-19.html

責任あるゲーミング
https://jp.marinabaysands.com/company-information/responsible-gambling.html

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