【IR日本まとめ2021】北海道、横浜が脱落 IR開業候補地は大阪、長崎、和歌山へ

JaIR編集委員 玉置泰紀

 2021年は、先行していた大阪IRに続いて、1月には横浜、長崎、和歌山が次々とRFPを開始し、具体的な手続きに入った年明けだった。その後、候補地として有力視されていた北海道が見送りを決定し、夏には推進派の現役市長が選挙で落選した横浜市が候補地争いから脱落。最大3か所で始まる統合型リゾートのスタートの行方も一気に整理されてきた。日本型IRビジネスリポート(ジャイア)編集部で、そんな2021年の国内IRニュースのベスト10を独自に選んだ。

1位 横浜市の山中新市長、所信表明でIR誘致の撤回を宣言
https://jair.report/article/711/

2位 MGM・オリックスのコンソーシアムが大阪IRの事業者として選定
https://jair.report/article/718/

3位 長崎県がカジノ・オーストリアと基本協定を締結 総事業費は3500億円
https://jair.report/article/704/

4位 自治体のIR整備計画申請期間がスタート 審査項目と配点も発表
https://jair.report/article/722/

5位 和歌山IRの優先権者にクレアベストが全国の候補地の中で初めて確定
https://jair.report/article/681/

6位 長崎県がIR区域整備計画素案を公表 県議会の承認と国の認定申請の土台
https://jair.report/article/759/

7位 大阪府・市がIR計画案を公開 MGM・オリックスに加え地元20社が出資
https://jair.report/article/771/

8位 北海道・鈴木知事が2021年のIR認定申請見送りを表明
https://jair.report/article/547/

9位 ゲンティンとセガサミーが横浜IR入札への参加中止を表明 
https://jair.report/article/715/

9位 メルコリゾーツが横浜IRへの活動停止を発表 
https://jair.report/article/713/

10位 サンシティが和歌山IRの公募から撤退、残るのはクレアベスト
https://jair.report/article/634/


 最大のニュースは、やはり最有力候補地であった横浜市が脱落したこと。8月に行なわれた市長選で、現職だった林文子氏が落選し、IR撤退を明言していた山中竹春氏が当選したことにより、IR候補地から撤退した。RFPを提出していたゲンティン・シンガポールとセガサミーホールディングスのグループ、メルコリゾーツ&エンターテインメントのグループは9月に入札を取り下げた。当時の幹部がプロジェクトの経緯を問われるなど、今も尾を引いている。
山中新市長が現職の林氏を退けた
 2020年に入って、コロナ禍により大きな影響を受けてきた日本の統合型リゾート(IR)だが、2021年に入ってからは、コロナ禍の影響を織り込みつつ、いったん後ろに遅らせたIR区域整備計画の認定申請期間(2021年10月1日~2022年4月28日)に沿って、申請側の整理がされた。そして、遅らせた中で、当初の進行の段取りに戻ってきたように見える。自民党総裁選に、菅義偉・前首相が出馬しない波乱があったが、その後、岸田文雄氏が総裁・総理になり、10月末の衆議院議員総選挙で与党の自民党は議席数は減らしつつも絶対安定多数を単独で確保したことから、大きな政情の変化は無くなり、IRについても、改めて取り組みが進み始めたと言える。

 とはいえ、最後に残った大阪、長崎、和歌山も、それぞれに課題は残っており、来年4月28日のIR区域整備計画認定申請の締め切りまでに、各自治体と事業者の活動は続く。長崎県では、IR区域整備計画素案が県議会で公表されたが、今後は他の候補地でもこれに続き、各地の議会で承認される必要がある。その上で、国が最大3か所の候補地に選ぶのかの審査が待っている。決定するのは早くて2022年夏、遅くとも秋には決まると言われている。

 現状、候補地はほぼ3か所に絞られたので、数としては合っているのだが、要件を満たさないとなれば、3か所すべてを選ばない可能性はある。その場合、決まらなかった枠を改めて、7年後に予定されている次回の候補地策定を待たず、補欠選挙のように2次募集をする可能性もささやかれている。その場合、今年早々にIRの応募を撤退した北海道や、過去に調査などを行なってきた東京や愛知、また地元が誘致に動いていた千葉や福岡など、各エリアの動向も気になるところだ。