サンシティが和歌山IRの公募から撤退、残るのはクレアベスト

JaIR編集部

 サンシティグループホールディングスジャパン株式会社(以下、「サンシティ・ジャパン」)は12日、「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」(IR事業)における事業者公募(RFP)から撤退する正式決定を発表した。

 和歌山県は、これを受けて、サンシティ・ジャパンの撤退を県のホームページで公表し、「現在、県では、事業者選定手続きを行っているところです。提案審査の結果について、選定方法及び評価の過程並びに結果に応じた選定過程の透明性を示すために必要な資料と合わせて公表する予定です」とコメントしている。

和歌山IRの施設模型が展示されている同社の和歌山事務所
 

コロナ感染症の影響と日本のIR区域認定手続の不透明さが撤退理由

 サンシティ・ジャパンは、同社代表取締役である周焯華(アルビン・チャウ)氏の個人出資による独立系株式会社。同氏のコメントは以下の通り。

「新型コロナウイルス感染拡大による業界への甚大な影響と、世界中の膨大な数の企業における不確実性は今後も長期にわたり続く恐れがあること、また日本のIR区域認定手続においては、当初の予定よりも大幅に時間を要すると想定される中で、未だに多くの事柄が不透明であることなど、事業者としてのリスクを鑑み、熟考の上で厳しい決断をするに至りました。

 日本のIR事業において、和歌山でのコンセプト提案の機会を頂いたこと、また日本・香港・マカオ各国の専門コンサルタントで構成されたIRチームの尽力と貢献、そしてここまで数々のご支援、ご協力を賜りました関係各位、地域の皆さま方に心より感謝申し上げます」

「和歌山県および日本の、このパンデミックからの一日も早い回復と、観光産業の発展の未来を実現されることを、サンシティ・ジャパン一同心より祈念申し上げます」という会社のコメントでリリースを締めている。

 サンシティ・ジャパンとクレアベストニームベンチャーズ(コンソーシアム構成員:クレアベストグループ)の2社が1月に、和歌山県のIR事業者公募の提案審査書類を提出をしており、2月に参加資格結果の通過が通知され、選定委員会の声を聞きつつ、2021年の春頃までに優先権者が選定される予定だったが、発表が遅れていた。

 サンシティ・ジャパンは、マカオのカジノにおけるVIPサービスで知られており、「総合エンターテインメント企業」を指向。不動産開発や賃貸、ホテルやIRのコンサルティング、旅行サービスなどのほか、イベント興業、レストラン経営、映画制作まで関連企業は200社以上に上る。2020年9月に和歌山事務所を新設し、和歌山IRについての認知を高める「和歌山IR2.0アンバサダー・プログラム」もスタートさせていた。

 これで、和歌山県のIR公募はクレアベストニームベンチャーズのみが残ることになり、動向が注目される。

 クレアベストニームベンチャーズはカナダの投資会社クレアベストグループ(Clairvest Group Inc.)の日本法人。クレアベストグループはカナダやアメリカ、チリなどのカジノ、IR、リゾート開発に投資家・運営者の立場で関わっているほか、インドやイギリスではオンラインゲーミングやeスポーツのビジネスも手がけている。

和歌山県の公表した「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)について」より


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