衆議院選挙は自民党が絶対安定数の261議席を獲得

JaIR編集部

 衆議院選挙は10月31日、投開票が行われ、小選挙区と比例代表を合わせた465議席が決まった。自民党は選挙前の276議席から減らしたが、衆院に17ある常任委員会の委員長ポストを独占し、委員会で過半数の委員を与党が確保できる状態を意味し、単独で国会を安定的に運営するためのいわゆる「絶対安定多数」の261議席を確保した。国のIR区域整備計画の認定申請期間(都道府県・政令市から国への申請)である2021年10月1日から2022年4月28日に向けて、最大3か所の認定に向けて最終段階に入りつつある中、与党自民党の政権が安定し、各IR候補地でも大きな波乱がなかったため、着実にIRが進んでいく基盤が整った。

 各候補地では、大阪IRを抱える日本維新の会は選挙前の4倍近い議席、41議席を獲得し第三党に躍進し、IR候補地の大阪市は全区を日本維新の会と与党の公明党が押さえた。和歌山県・和歌山市は国民民主党、長崎県・佐世保市を自民党が当選した。

日本維新の会旋風で、大阪19区のうち15区で当選


 大阪市・松井一郎市長が代表を務め、大阪府・吉村洋文知事が副代表を務める、日本維新の会は、衆議院選挙の大阪府19区では、15区を押さえ、残り4区は公明党が当選した。この事により、松井市長と吉村知事は、2019年の統一地方選挙での、いわゆる”たすき掛け選挙”(知事と市長が入れ替わって立候補した)と地方議会に大勝し、既に盤石の体制であったが、国政でも大きな力を得た、と言える。これまで、積極的にIRを推し進め、設置運営事業予定者をオリックスとMGMのコンソーシアムに選定済みの大阪IRはさらに確実に歩を進めることになる。岸田文雄首相は、日本維新の会との連携について、同じ保守勢力であるということを踏まえて「政策ごとに是々非々で議論をしていく」とコメントしている。

 和歌山県は、3区のうち、IR候補地である和歌山市の1区で、国民民主党の岸本周平氏が5選を果たしたが、3区は自民党の前幹事長、二階俊博氏が圧勝し、2区も自民党が押さえた。岸本氏はこれまで当選を重ねてきており、和歌山県の状況は大きく変わっていないと言える。

 長崎県は、4区のうち、3区を自民党が押さえ、IR候補地の佐世保市にかかる2区は自民党が当選した。IRを巡る状況は大きくは変わっていない。

 IR誘致を撤回した横浜市のある神奈川県では、自民党が11議席、立憲民主党が7議席当選しており、選挙全体を指揮した自民党幹事長の甘利明氏(自民幹事長)が、13区で立憲民主党の太栄志氏に競り負けて落選。現職幹事長の小選挙区での落選という、自民党の歴史でも初めての事態になった。甘利氏は比例代表で復活当選したが、大きなインパクトを残した。

 岸田総理大臣は、「自民党に261議席という貴重な支援をいただき、責任政党、自民党として国民の負託に応えていく」と語り、内閣も大きな改造を行わないことを示唆しており、IR施策は、現在手を挙げている3か所で、スケジュール通り進むことになる。

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