観光庁が修正IR基本方針案を公示、認定申請は9か月延期

JaIR編集委員 玉置泰紀

 IR(統合型リゾート)の担当官庁である国土交通省観光庁は9日、昨年9月に公示して意見募集(パブコメ)していた「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」の修正版などを公示、再意見募集を開始した。新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染症対策や、衆院議員秋元司被告のIR汚職事件を踏まえたIR事業者と公務員の接触ルールを盛り込んでいるが、特に注目なのは、IR区域整備計画の認定申請期間(都道府県・政令市から国への申請)が、昨年公示した期間(2021年1月4日~2021年7月31日)を、2021年10月1日~2022年4月28日まで9ヵ月延期したことで、全体の開業スケジュールも1年近く遅れることになる。

 
観光庁から公表された基本方針(案)の概要
 

新型コロナウイルス感染症やIR汚職事件を踏まえてアップデート

 観光庁の意見募集は3つあり、①「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※修正部分のみ)に関する再意見募集、②「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」に関する再意見募集、③「特定複合観光施設区域整備法に基づく区域整備計画の認定等に関する省令(仮称)の案」及び「特定複合観光施設区域整備法に基づく区域整備計画の認定に必要な事項等を定める告示(仮称)の案」に関する意見募集で、つまり、①コロナ対策やIR汚職事件で強化した接触ルール、②認定申請期間の9か月延期、③(案)ではない基本方針策定の内容について、それぞれ10月9日から11月7日まで意見募集することとしている。

 ②のIR区域整備計画の認定申請期間が9か月延期については、各自治体のスケジュールも後ろ倒しになるが、基本方針策定の内容についても意見募集をしていることから、RFPなどを進めるのに必須の基本方針が策定・公布されるのも11月7日の締め切り以降に、政府のIR推進本部や内閣の閣議での決定を待つことになる。このことから、③の基本方針については、年内、あるいは年明けに策定・公布されれば、停滞していた各自治体の事業者選定も具体的に前に進むことになる。
 
 ①の修正については、感染症について、認定審査の評価基準で新たに、「感染症対策その他の健康・衛生の確保のための取組が適切に講じられることが求められる」とし、「特に感染症対策については、IRは様々な機能を持つ施設が一体となった施設であることから、先行する諸外国のIRにおける取組例や、感染症の発生の状況に応じて定められる、IRを構成する各種施設における感染防止のためのガイドラインなども踏まえ」て、「対策内容や実施体制を定めた計画」を策定し、発生時に適切な対策が講じられることが求められる、としている。

 また、IR事業者と公務員の接触ルールについては、「特定複合観光施設区域の整備の意義」として、「国民の信頼と理解を確保する観点」から、「収賄等の不正行為を防止するとともに、公正性及び透明性の確保を徹底」するため、「国や都道府県等において、IR事業者等との接触のあり方に関する厳格なルール(以下「接触ルール」という。)が策定されるとともに、IR事業者においてコンプライアンスが確保されること」を求めている。

 具体的には以下の7つの接触ルールがあげられている。
(1) 面談は、原則として庁舎内において、複数の職員等により対応すること 
(2) 職員にあっては、事前に面談の日時及び相手方について、また、事後に面談の内容について、上司への報告を行うこと 
(3) 面談において、特定のIR事業者が不当に有利又は不利になることにつながる行為をしないこと 
(4) 面談の記録を作成し、一定の期間保存すること 
(5) 電話、メール、FAXによるやり取りは、日程調整等の事務連絡その他の必要な範囲にとどめること 
(6) それぞれの行政機関におけるIRに関する事務に係る担当職員から最高責任者までを接触ルールの対象とすること 
(7) IR事業を行う者及びカジノ関連機器等製造業等を行う者並びにこれらを行おうとする者等を接触ルールの対象とすること
 
 また、認定基準でも、以下の3つが上げられている。
 ◎ 都道府県等が定める接触ルールが策定されているなどにより、民間事業者の公募及び選定が公平かつ公正に行われたものでなければならない。
 ◎IR事業者によるコンプライアンスの確保のための体制及び取組が適切かつ十分なものでなければならない。
 ◎ 都道府県等又はIR事業者が審査委員会の委員に対して不正な働きかけを行ったと認められるものであってはならない。

 今回、ようやく、停滞していたIR開業へのスケジュールが動き出したことは大きい。観光庁は10月5日、「上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会」第1回を開催しており、菅内閣から、観光振興による地域活性化を行う指示を受けて、富裕層の誘致、観光消費額の拡大という目標に変わりがないことを示した。この際、観光庁国際観光部長の金子知裕氏は、「上質な観光体験は旅行者のニーズを踏まえた受入体制の磨き上げが必要だ」と趣旨を説明しており、中長期的にはIRへの取り組みは変わりがなく、新型コロナ感染症やIR汚職事件などを踏まえてアップデートしたアフター・コロナの施設を目指していく。


■関連サイト
観光庁 「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※修正部分のみ)等に関するパブリックコメントを実施します(10月9日)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics03_000106.html

■関連資料データベース
https://jair.report/archive/

特定複合観光施設区域整備法第5条第1項の規定に基づく「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※修正部分のみ)に関する再意見募集
 意見募集要領 https://jair.report/archive/361/
 【別紙】基本方針案(修正部分) https://jair.report/archive/362/
 【参考資料1】基本方針案(概要)https://jair.report/archive/359/
 【参考資料2】基本方針案(本文) https://jair.report/archive/360/

観光庁・「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」に関する再意見募集について
 意見募集要領 https://jair.report/archive/354/
 【別紙】政令案概要 https://jair.report/archive/355/

観光庁・「特定複合観光施設区域整備法に基づく区域整備計画の認定等に関する省令(仮称)の案」及び「特定複合観光施設区域整備法に基づく区域整備計画の認定に必要な事項等を定める告示(仮称)の案」に関する意見募集
 意見募集要領 https://jair.report/archive/356/
 省令案概要    https://jair.report/archive/357/
 告示案概要    https://jair.report/archive/358/

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