政府がIR基本方針を決定 事業者との接触ルールも公表し、IR開業へ本格始動

JaIR編集部

 政府は18日、第7回特定複合観光施設区域整備推進本部を開催、IR(統合型リゾート)整備に関する基本方針を決定した。衆議院議員の秋元被告の汚職事件を受け、IR推進本部の事業者との接触ルールを公表、修正案で示されていた、自治体の誘致申請期間を9カ月延期する政令も閣議決定した。新型コロナ感染症の影響を受け、大きく遅れていたIRのスケジュールは、これらの決定により、本格的に稼働を開始する。
菅総理は「政府一丸となって観光先進国実現を目指す」とIR実現を強調

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 国土交通省の観光庁は10月9日、昨年9月に公示して意見募集(パブコメ)していた「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」の修正版を公示、再意見募集を11月7日まで行った。これを踏まえて、今月15日、自民党政調審議会・総務会及び公明党政調全体会議で審議して了承を得たため、同日のIR推進本部で修正版の基本的な方針(案)を確定した。新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染症対策や、衆院議員の秋元司被告のIR汚職事件を踏まえたIR事業者と公務員の接触ルールも最終確定したことになる。

 本来なら、今年の早い時期、遅くとも7月には決定するとみられていた基本方針が5か月以上遅れたことになり、IR区域整備計画の認定申請期間(都道府県・政令市から国への申請)は、昨年公示した期間(2021年1月4日~2021年7月31日)を、2021年10月1日~2022年4月28日まで9ヵ月延期することになった。自治体からIRの区域整備計画の認定申請を受け付けた後、有識者により構成される審査委員会において審査を行い、国土交通大臣が認定することになっており、基本方針案は認定に当たっての考え方やルールを定めるものになる。

 IR担当の赤羽一嘉・国土交通大臣は、IRの区域整備計画の認定審査に係る基準として、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現」「経済的社会的効果」「IR事業運営の能力・体制」「カジノ事業収益の活用」「カジノ施設の有害影響排除等」の5項目が定められているとし、「依存症などの弊害防止対策に万全を期しながら、国際競争力があり、滞在型観光の促進に資する日本型IRを実現するものとなっている」と説明した。
基本方針(案)の概要
IR推進本部の接触ルール(案)(概要)
 
 菅義偉首相は、本日の決定を受けて以下の様にコメントを発表した。

「IRの整備は今後、我が国を観光先進国としていくための重要な取組です。

 本日、決定された基本方針は、カジノだけでなく、国際会議場・展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設である日本型IRの整備により、魅力ある滞在型観光の実現を目指すため、今後、各地域の計画の認定を行う際の基準などを盛り込んでおります。

 関係各位におかれては、本日接触ルールが決定されたことも踏まえ、公正性・透明性を確保し、国民の理解を頂きながら、IRの整備に当たり必要な準備を今後も着実に進めて、政府一丸となって観光先進国実現を目指していただくように、お願いいたします」
 
 今後はIR開業を目指す各自治体がこの決定を受けて、具体的なRFPや選定の作業に入る。現在、横浜市、大阪府・市、和歌山県、長崎県が誘致の方針を表明している。

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