横浜市がIRの民間事業者の公募(RFP)を開始、夏には選定

JaIR編集部

 横浜市は21日、国に共同で申請を行い、IR施設の設置・運営を行おうとするIR(統合型リゾート)民間事業者の公募(RFP)を開始した。資格審査書類の受付期間は2月5日~5月17日。提案審査書類の受付期間は6月1日~6月11日。設置運営事業予定者の選定は今年の夏頃となっている。
 
RFPスケジュール
 
事業スケジュール
 

「未来の街のショーケース」として都心臨海部の既存の街と一体的に整備

 横浜市は、「“魅力ある都市横浜のさらなる飛躍”と“将来にわたる横浜市民の豊かな暮らし”を確かなものとするため、世界最高水準のIRを横浜都心臨海部の街と一体的に整備・融合し、観光・経済にイノベーション(革新)をもたらす、横浜イノベーションIRの推進に取り組んでいます。この実現に向け、国に共同で申請を行い、IR施設の設置・運営を行おうとする民間事業者の公募(RFP)を開始します」と趣旨を説明している。

 横浜市はIRの方向性と目標について以下のように募集要項でまとめている。(太字はJaIR編集部)
 
・市の基本コンセプト
「横浜IR」では、世界水準のMICE施設、ホテル、エンターテイメントや最先端のテクノロジー(技術)を駆使した未来の街のショーケースを、これまで築き上げてきた横浜都心臨海部の街の魅力や資源と一体的に整備し、融合していくことで、相乗効果を最大限に発揮するとともに、新たな魅力・資源をハイブリッド(混成)に創造し、横浜の観光・経済にイノベーション(革新)をもたらしていく。そして、横浜都心臨海部がこれからも、横浜市民の憩いの場であるとともに、横浜が世界から選ばれる「デスティネーション(目的地)」となることを目指す。

 コンセプトを実現する方向性は、次の通り。
 
【方向性1:世界最高水準のIRを実現】
ビジネスからレジャーまで、大人から子どもまで、外国人でも日本人でも、幅広い客層が楽しめる非日常的で印象的な空間を有する都市型リゾートを目指し、世界の人々が日本に行ってみよう!日本に行くなら横浜に行ってみよう!と思う、世界最高水準のIRを実現する。また、周辺地域と一体的に観光振興を推進するとともに、「横浜IR」から市内・県内はもとより日本各地の魅力を発信し、送客することができる日本のゲートウェイ(玄関口)を目指す。

【方向性2:都心臨海部との融合】
横浜の都心臨海部には、開港以来の歴史や文化、美しい港の風景や水際を身近に感じられる都市空間など、これまでのまちづくりで築かれてきた豊富な魅力や資源がある。最先端のテクノロジー(技術)を駆使したスマートシティ、環境、防災、ユニバーサルデザイン等「未来の街のショーケース」として「横浜IR」を、都心臨海部の既存の街と一体的に整備し、21 世紀を象徴するような新しい横浜の都市デザイン・景観形成を実現するとともに、街の魅力や資源と融合していく。もって、日本における新たな開港の地として世界各国の人々を迎え入れ、もてなす、世界から選ばれるデスティネーション(目的地)を実現する。

【方向性3:オール横浜で観光・経済にイノベーションを】
 「横浜IR」と株式会社横浜国際平和会議場(以下「パシフィコ横浜」という。)、公益財団法人横浜観光コンベンションビューロー(以下「YCVB」という。)、観光関連事業者、市等とのコラボレーションにより、オール横浜で観光MICE推進体制を構築し、国際観光・MICE都市、文化芸術創造都市として、横浜の新たな魅力・資源を創造するとともに、その相乗効果により、横浜の観光・経済にイノベーション(革新)をもたらし、横浜を世界から選ばれるデスティネーション(目的地)へと導く。また、その効果を都心臨海部はもとより、横浜市域全体、さらには日本各地に拡げていく

【方向性4:安全・安心対策の横浜モデルの構築】
IRには、構成する施設の一つであるカジノに起因する治安や依存症などの市民の懸念や不安がある。これらに対し、入場回数制限、自己・家族による入場制限、広告規制、徹底した背面調査など、世界最高水準といわれるIR整備法に基づく対策に加え、警察と連携した防犯体制の強化、訓練された従業員による巡回や声掛け、ファミリー層等の主動線とは分離されたカジノ施設の適正な配置計画やデザインなど、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除に徹底して取り組む。併せて、防災・減災対策の充実により、自然災害に対して防災性の高いエリアを実現するとともに、新型コロナウイルス・新型インフルエンザなどの感染症対策その他の健康・衛生の確保のための取組を適切に講じ、誰もが安心して「横浜IR」に訪れられるよう、「安全・安心対策の横浜モデル」を構築する。

 また、「IR施設に関して求める要件」としては、以下の3点を挙げている。
 
●来訪者を引き付ける建築デザイン、圧倒的な非日常を演出するとともに、SDGs達成に向け、ユニバーサルデザイン、環境負荷低減、多文化共生、フェアトレード等の観点から世界の最先端であり、模範となることを前提に、高度化・多様化するあらゆるニーズに対応可能な施設及びサービスなど、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する世界最高水準のIR施設であること。

●最先端のテクノロジー(技術)を駆使したスマートシティ、環境、防災、ユニバーサルデザイン等「未来の街のショーケース」を、都心臨海部の既存の街と一体的に整備し、21 世紀を象徴するような新しい横浜の都市デザイン・景観形成を実現すること。
 
●IRを構成する施設の一つであるカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置へ徹底的に取り組むとともに、自然災害や感染症等に対して、ハード・ソフト両面で適切な対策を講じ、誰もが安心して「横浜IR」を訪れられるよう、「安全・安心対策の横浜モデル」を構築すること。
 

 なお、設置運営事業予定者の選定に当たり、公平かつ公正な審査を行うため、外部有識者からなる横浜市特定複合観光施設設置運営事業者選定等委員会(以下「選定等委員会」 という。)を設置している。
 
 選定等委員会の委員は以下の通り。
 
 
 (委員長) 
 榊原 英資    一般財団法人インド経済研究所理事長

 (委員) 
 伊香賀 俊治 慶應義塾大学理工学部教授 
 鵜川 正樹  武蔵野大学経営学部教授 
 金山 泰介    日本大学危機管理学部教授 
 中井 検裕      東京工業大学環境・社会理工学院長 
 平安 良雄      平安病院法人統括院長 
 古屋 秀樹      東洋大学国際観光学部教授
 

 横浜市が公表しているRFCによると、「日本型IRの実現に関すること」への提案者は、ウィン・リゾーツ、ギャラクシーエンターテインメント、ゲンティン・シンガポール、SHOTOKU、セガサミー・ホールディングス、メルコリゾーツ&エンターテインメントの名前が挙がっている。ラスベガス・サンズは撤退した。

 
横浜IR景観デザインノートより横浜港のインナーハーバー

■関連サイト
横浜特定複合観光施設設置運営事業の設置運営事業予定者の公募について(横浜市HP)
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/RFP.html


■関連データベース
横浜市・「横浜特定複合観光施設設置運営事業」の設置運営事業予定者の公募について公表
https://jair.report/archive/439/

横浜市・「横浜IR景観デザインノート~横浜市の考える創造的な景観形成~」(資料)
https://jair.report/archive/435/


■関連記事
IR基本方針がいよいよ決定 各自治体の反応は?
https://jair.report/article/531/
 
横浜イノベーションIR協議会開催、林市長、黒岩知事が意見交換
https://jair.report/article/512/

横浜市は13日、RFCの概要を発表、RFCをさらに追加で実施
https://jair.report/article/480/