<IR用語集・基礎知識> ネバダ法

JaIR編集部

カジノ事業の規制制度においてもっとも厳格な内容を持つとされるアメリカ・ネバダ州の関連法と関連規則を指す。

19世紀の金鉱ブームが去り、1929年の株式大暴落による世界恐慌ののち、主要産業のなかったネバダ州は1931年、税収確保のため全米で初めて商業カジノ賭博(ゲーミング)を合法化した(2021年12月時点では25州で合法)。以降、州最大の都市であり「カジノの都」と言われるラスベガスを有するネバダ州はカジノを主産業と位置づけ、州民の福祉と健全なカジノ産業の発展のために度重なる法改正や新たな規則を作り今日に至っている。

ネバダ州では、ネバダ州法とゲーミング規則(Regulations of the Nevada Gaming Commission and State Gaming Control Board)において、カジノに係る諸規制を規定している。ネバダ州法は州政府、ゲーミング規則はゲーミング委員会(Nevada Gaming Commission)が制定。ネバダ州法ではゲーミング(カジノ)産業全般について規定しており、カジノ事業に関わる民間事業者のライセンス取得や保持、カジノ関連税、カジノ関連不正のほか、競馬や宝くじについても規定。ゲーミング規則は、ネバダ州法に規定されている項目をより具体的に規定しており、カジノ事業の実施における実際の手続きや運用方法について規定している。

同州では、カジノ事業に携わる法人・個人はライセンスの取得が義務付けられており、主にカジノ運営者、ゲーミング機器の製造事業者・販売事業者がライセンス取得の対象となっている。ライセンスには無制限ライセンスと制限ありライセンスの2種類があり、カジノ施設の規模に応じてライセンス種別が決定される。ゲーミング委員会およびゲーミングコントロールボード(Nevada State Gaming Control Board)は、申請書類をもとに厳格な調査・審査を実施し、ライセンス付与の最終判断を行う。ネバダ州では、カジノ運営者に対してカジノ税が課税され、売上高に対して毎月一定の税率で課税されるほか、ゲームの種類やスロットマシンの台数に応じて年間および四半期毎でライセンス料が徴収される。

ネバダ法と関連規則の主要な目的と内容は以下となる。

・カジノ事業者から反社会的勢力を排除するため、厳格な背面調査に基づく審査を経てカジノ事業の免許を付与する。審査対象は申請人(事業代表者)はもちろん、取締役、執行役員や幹部社員とその家族も含まれる

・ゲーミングの公正性の確保やギャンブル依存防止、青少年の保護当のため、ゲーミングの種類、スロットマシーン等の機器、入場(回数、年齢、入場料)、広告等を規制

マネー・ロンダリングへの対応(本人確認、顧客管理、記録保存、疑わしい取引の報告要求等)

日本においては世界最高水準のカジノ規制を担保するため、ネバダ法や同州関連規則を参考にIR推進法が策定され、カジノ管理委員会と主務大臣・都道府県等が連係して調査、監督、罰則処分、規制にあたることになった。