横浜市の山中新市長、所信表明でIR誘致の撤回を宣言

JaIR編集部

 2021年9月10日、新しく横浜市長に選ばれた山中竹春氏は、横浜市会本会議で所信表明を行い、IR誘致の撤回を宣言した。横浜IRには、ゲンティン・シンガポールとセガサミー・ホールディングスなどからなるグループと、メルコリゾーツ&エンターテインメントと大成建設などが作るグループ(未公表)の2者が応募していて、夏には確定する予定だったが、横浜市は国のIR区域整備計画の認定申請から離脱することになった。
 

10月1日には、IR推進室を廃止

 山中市長の所信表明でのIRについての言及は以下の通り。

「多くの市民の皆様から繰り返し聞こえてくるのは、IR誘致に反対する声です。
 私は、その声にしっかりとお応えし、IR誘致の撤回を、ここに宣言いたします。事業者選定のプロセスを直ちに中止し、必要な手続きを速やかに進めてまいります。10月1日には、IR推進室を廃止します。

 山下ふ頭は、横浜の発展の原動力となってきた場所です。その歴史と特性を踏まえ、市内経済の再生につなげていくために、市民の皆様、市会の皆様と対話を重ねながら、再開発に向けた検討を進めていきます」

 JaIRのインタビューに、東洋大学国際観光学部国際観光学科の佐々木 一彰教授/博士(地域政策学)は、「IRの誘致を断念するということは一つの企業誘致を断念することと同じでありますので、新市長は財政危機をIRとは別の産業で埋めなければなりません。東京や大阪に比べて企業の本社が少なく、法人税が見込めない横浜市でありますのでそれは喫緊の課題となってくるものと思われます。もし、観光施策をもって財政危機を乗り越えようとするのであれば投資効率の良い方策をとっていただきたいと思います」と指摘している。

■関連記事

市民の理解がないとIRは難しい 横浜ショックの影響を佐々木一彰教授に聞いた 
https://jair.report/article/706/
 
横浜市長選はIR反対派の山中竹春氏が当選 横浜IRへの影響を識者に聞いた
https://jair.report/article/700/

IRの魅力を正しく伝えたい 行政の目線から見た「横浜市とIR」
https://jair.report/article/691/