【大阪府・市】7月にRFPの提案済み、9月には設置運営事業者を選定
新型コロナの影響で、最後のRFP提出が遅れていた大阪IRだが、2021年7月20日、唯一の入札者であるMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループ(以下MGM・オリックスコンソーシアム)から大阪府・市に提出された。7月21日の大阪府の定例会見で、吉村洋文知事は、「我々が想定していたIRに合った提案がされたと思う」とし、コロナ後に、「国内外から多くの方が大阪を訪問」し、「楽しめるようなIRを夢洲に」実現する大きな第一歩になった、と話している。2025年の大阪・関西万博については、「万博から遅れるが、数年後には夢洲の地にIRが出来上がって運営が開始」されることを非常に楽しみにしている、とコメントした。
大阪府及び大阪市は2021年3月19日に、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備実施方針」を確定し公表。また、2019年12月24日より実施している大阪・夢洲地区特定複合観光施設設置運営事業を実施する民間事業者の公募・選定手続きについても、実施方針の確定に合わせ、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設設置運営事業募集要項」を修正し公表しており、設置運営事業者の選定は9月ごろとなっている。設置運営事業の開始、土地引渡し・工事の開始は2023年以降、開業は2020年代後半としている。
日経新聞などによると、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループがは、大阪IRに対して、当初の規模通りの約1兆円の投資を計画しているとのことで、開業は最速で2028年だと言う。MGMリゾーツ・インターナショナルの第2四半期の決算発表では、CEO兼社長のビル・ホーンバックル氏は、大阪のIRへの初期投資額が20億ドル(約2,190億円)から25億ドル(約2,730億円)の現金を想定しており、2024年から2026年の3年間に渡って行う予定だと言う。大阪IRプログラムは40-40-20の配分を考え、それぞれ40%をMGMとオリックスが、残りの20%を他の日本企業群が補うことを考えており、そうできない時は、MGMとオリックスが50%ずつ補うと説明した。
吉村洋文知事は2021年8月23日、大阪府庁での会見で、IR反対派の横浜市長選について、「横浜の市長選挙の結果なので、大阪のIRに何か大きな影響が出るものではないと思っている。今回の横浜市長選の中心になったのはコロナ対策だと思う。コロナの専門家として訴えられた山中さんが、横浜市民の大きな信任を得られたのではないかと思っている」と評価。IRについては、「大阪のIRはしっかり進めていきたい。どういうIRにするのかというのを含めて、カジノの懸念もされると思うが、効果を含めてどういったものができるのか丁寧に説明しながら進めていくことが重要だと思う」と説明した。
■関連記事
大阪府・市IRのRFPは追加応募がなく、MGM・オリックスのコンソーシアムのみに
https://jair.report/article/618/
大阪IRの実施方針、RFP要項が確定し、4月6日まで追加募集受付
https://jair.report/article/610/
MGMがIRに関するオンライン講義を関西2大学と実施
https://jair.report/article/602/
MGMリゾーツ決算発表、2020年通期収入は前年比6割減でも大阪IRへの変わらぬ意思を強調
https://jair.report/article/577/
【新型コロナのIR影響レポート・基本方針確定後】日本 1月20日版
https://jair.report/article/555/
MGM、第3四半期決算で営業損失を報告 新規事業の拡大と日本へのIR進出は明言
https://jair.report/article/496/
【東京都】小池知事はIRについて、検討作業については休止
東京都の小池百合子知事は横浜市長選後の2021年8月27日、「検討作業については休止」しているとIRについてコメント。可及的速やかに行うべき新型コロナウイルス対策と、恒常的なもので少し人数を減らしながらやっていく案件などを仕分けをしているとし、コロナ対応優先を強調した。2021年10月1日~2022年4月28日のIR区域整備計画の認定申請期間(都道府県・政令市から国への申請)に間に合わせるためには、RFC、RFPなどをこなして、審査を行い、最終的に都議会などを通すのはかなり厳しい日程。今回の最大3か所の認定で基準を満たすところが足りず再募集がかかるか、7年後の第二次のIR区域整備計画の見直しをも踏まえた動きになる。
東京都は、2018年に「東京ベイアリアビジョン(仮称)の検討に係る官民連携チーム」の設置をしており、3回のワーキンググループを経て、昨年10月に最終提案「東京ベイエリアTowards2040 11カラーズ;未来創造域のデザイン」が提出されている。この11の提案のうち4番目が「MICE、IR、トランジットツーリズム」で、「世界に向けて『ここにしかない』ベイエリアツーリズムを展開する」として、イメージパースとともに、「東京の国際競争力強化『稼ぐ東京』のためにMICE、IR施設を整備して、国内外から人を集める」と謳われている。
関連した動きでは、東京都は2020年12月、有明の東京ファッションタウンビル西側に所有する土地をテレビ朝日、コナミホールディングスなどに売却することを発表している。テレビ朝日は国際会議などに使う多目的ホールやイベントスペース、制作スタジオとして活用する予定で、2024年12月開業を目指す。コナミホールディングスなどは、取得した土地で、研究開発の拠点やスタジオなどを想定している。有明地区に隣接する青海地区はIRの候補地とも言われており、東京ベイアリアビジョン(仮称)での相乗効果も期待できる。
■関連サイト
東京都港湾局ホームページ 特定複合観光施設に関する調査分析報告書
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/announcement/irchosa.html