【カレント・グループ】
香港資本のカレント株式会社（長崎）は、SRCグループに属する。SRCグループは、これまで各国でのIR事業投資、不動産投資、金融投資、エンターテインメント観光事業投資等を主に行ってきた。SRCグループにはカレント株式会社以外に、SHOTOKU株式会社（横浜）、RINALDO株式会社（静岡）の2社がある。
カレントは、本社を長崎市、支社を佐世保に置いており、代表取締役である鈴木保氏の出身母体であるソフィテルマカオ・アットポンテ16、香港に上場するゲット・ナイス・ホールディングスなどから資金を集めている。
鈴木氏は「すでに長崎県には6500億円をグループ内で調達済みである旨を伝えており、いつでも資金証明を提出できるよう準備を終えています」と話している。
・コンセプト
カレントが描くIRは近代的な建物と古い町並みが混在するオランダの街のようなイメージ。オランダの首都、アムステルダムなどは古い街並みに前衛的な現代建築が共存している。鈴木保代表取締役は「ハウステンボスはもちろん残るので、歴史と未来を融合させるようなイメージです」と語る。また、エンターテインメントへのこだわりについては「IRにおいてカジノの売上比率は大きいですが、ターゲットはあくまでカジノを目的とした客。日本人が観光としてIRに来る場合は、おいしい食事、楽しい買い物、普段見られないショーなど、エンターテインメントが成立していなければ、まず成功は難しいと思っています」という。一方で、「防災型IR」を謳い、台風や地震などの自然災害時のシェルターとして利用できるように考えており、ポストコロナのIRとしての条件も備えている。
【NIKI Chyau Fwu(Parkview) Group】
NIKI & Chyau Fwu (Parkview) Groupは、二期リゾートが運営してきた二期倶楽部を源流とする日本企業、株式会社THE NIKIと、1950年代に台湾で設立された先進的な建設・開発企業であるチャウフー（Chyau Fwu）社を起源とするコングロマリット企業、チャウフー （パークビュー） グループのコンソーシアム。
二期倶楽部は、「自然と文明、東洋と西洋の融合を通じ、最高のおもてなしをする」というコンセプトで、リゾート・ホスピタリティ施設を運営。株式会社THE NIKIは、二期倶楽部（栃木県那須）の2017年秋までの30年以上に及ぶリゾート運営の経験と、THE NIKIという新たなブランドによるホスピタリティ・サービス提供を目的に設立されている。
・コンセプト
同グループのホームページに掲載されているコンソーシアム紹介には、長崎IRの目指す方向として、IR ×スーパーシティ＝自律型スーパー･スマートシティというコンセプトが掲げられており、「IRにより市場（交流人口増）と資金（カジノ税収等）を獲得し、スーパーシティ構想を推進します。地方であっても、IRを原動力に、スーパーシティ構想を自律的に拡大することが可能になります」と説明している。
【ONE KYUSHU】
長崎県の資料では、代表企業者名としてTTLリゾーツの名前が記載されている。TTLリゾーツは、カジノゲーミングマシン開発販売・不動産事業のピクセルカンパニーズが業務提携先として挙げていた企業。2020年10月に発表した資料によると、海外のIR業界の日本へのIR誘致を進めた経験のある代表と、IR業界において多数の投資案件を手掛けた取締役が設立し、大手カジノ事業者の元社長をパートナーに持つ、と書かれている。
ピクセルカンパニーズは2020年11月、長崎IRへの応募を表明しており、IR業界に精通するTTLリゾーツ、欧州の大手カジノ運営会社であるパルトゥーシュ、建築設計で世界各国のIRプロジェクトでの経験を持つポール・スティールマン氏が率いるスティールマン・パートナーズ、IRを専門とする市場調査・分析、収益予測や運営・財務分析におけるコンサルティングを行うアリダード・タッシュ氏が率いる2NT8とのコンソーシアムで臨むことを表明しており、基本はこの枠組みでの応募と思われる。
・コンセプト
ピクセル・カンパニーズは「国の『観光立国』を強く推す他の大都市型IRとは異なり、それに加えて地方都市ならではの『地方創生』も実現するIR開発が期待できる長崎県が、私たちのコンソーシアムが目指すIR事業の地として非常に適している」と、応募を公表したリリースで語っている。
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