昨年は新型コロナウィルスの影響を受けて、世界的に閉鎖~再開を経験した統合型リゾート(IR)産業。コロナ対策を行い、営業を再開している地域もあるが、一方では感染拡大が収まらず再閉鎖となっている地域もある。昨年末からは感染力が強いとされる変異種の流行が拡大、またワクチン接種が開始となり、新型コロナとの闘いは新たなフェーズに入った。日本型IRビジネスレポート(JaIR)では、IRがある主要な地域の新型コロナウィルス関連の動向を配信。ラスベガスに続き、今回はマカオの最新状況をレポートする。
昨年8月に広東省の個人訪問スキーム(IVS)が再開し、9月からは中国本土からの個人訪問スキームが再開。中国本土からは事前の陰性証明を提出し、条件を満たせば、2週間の隔離措置も不要となっていたが、ビザ発行までのハードルの高さもあり、訪問者数はコロナ前の水準には全く戻っていない。
12月下旬には、マカオ政府は、マカオへの到着者に対してより厳格な検疫要件を課すこととなった。新規則では、中国本土と台湾以外の場所からマカオに到着した場合、21日間の医学的観察を受ける必要があると変更された。これまで義務付けられていたのは14日間で期間の延長となった。なお、基本的には外国人「観光客」の入国を禁止している。また、中国の「低リスク」都市(大多数を占める)からマカオに到着した場合は、陰性証明書を提出し要件を満たしていれば、引き続き検疫なしで入国することができる。マカオに到着する直前の14日間に中国の「中リスク」都市および台湾に訪れた場合は、マカオでの14日間の医療観察を受けることになる。
2021年2月の旧正月に合わせた渡航制限の緩和が一時期期待されていたが、中国国内での新型コロナ感染者増加を受けて、中国の多くの地方当局が、旧正月休暇中で旅行をしないよう住民に呼びかける勧告通知を出している。中国の国務院は2021年旧正月の休日期間として、2月11日から17日まで指定している。通常はこの1週間の休暇はマカオのカジノリゾートや観光業にとっては繁忙期となるが、今年のこの期間のマカオ経済の見通しは曇っているという。
マカオへの渡航者が大幅に減少する中、マカオの基幹産業であるカジノ産業は厳しい状況が続く。マカオ特別行政区政府ゲーミング検査・調査局(DICJ)によると、マカオのカジノ総ゲーミング収入(GGR)は、2020年通年で約604.4億マカオパタカ(約7,784億円)となり、2019年GGR、2,924.6億マカオパタカ(約3兆7,682億円)より前年比で79.3%縮小したと報告された。
マカオ政府観光局(MGTO)の統計では、2020年の間に、同市のカジノ施設の飲食店のうち17%にあたる198店舗が地元当局に営業停止を申請していた。マカオ政府は2020年に経済回復を助けるため、地元の中小企業で地元住民が消費を行う「消費補助金制度」を開始。中国観光客に対する支出刺激策も導入した。この支出刺激プログラムは2021年も続く見込みである。
マカオの2020年12月のカジノの総ゲーミング収入(GGR) は、前年同月比65.8%減で、78.2億マカオパタカ(約1,007億円)弱であった。11月との比較では15.9%増。マカオのクリスマス期間中の日平均訪問者は、連続して連続して2桁の割合で増加を示した。マカオ政府観光局(MGTO)によると、12月23日~27日の間のマカオへの日平均訪問者数は、24,503人で、93%が中国からの訪問であった。この訪問者の集計は12月22日までの日平均訪問者と比較して20.2%増となった。また、ホテルの平均稼働率も第4四半期の最高値の70%近くに達した。12月31日~1月3日の期間に到着したマカオ市への1日平均訪問者数は、21,242人で、クリスマス期間に比べ減少したものの12月31日の訪問者数は30,747人で、過去11か月間で最高の数字となった。なお、12月31日~1月3日までの平均訪問者データは、92.4%(日集計19,629人が到着)が中国からの渡航であることを示した。
続いてマカオの2021年1月のカジノの総ゲーミング収入(GGR) は80.2億マカオパタカ(約1,054億円)をわずかに上回り、前月に続く2.6%増となった。ただし、前年の同期間と比較すると63.7%下回る。
2020年第4四半期の着地予測も1月中旬に出ている。モルガン・スタンレー社は、マカオのカジノ業界の利息・税金・減価償却・償却前利益(EBITDA)が2020年第1四半期と比較して、第4四半期には140%上昇すると予想。同社のアナリストは、マカオ業界は、今後の決算で「2020年第4四半期に約2億4,000万ドル(約249億円)純利の企業EBITDAを報告する可能性が高い」と報告した。この改善は、ゲーミング総収入(GGR)の観点から、「営業コストの低下だけでなく、収益構成の改善」によってもたらされる可能性が高いとしている。
また、マカオゲーミング検査調整局(DICJ)が発表したデータによると、2020年第4四半期のマカオのカジノ総ゲーミング収入(GGR)において、スロットマシンを含むマスマーケットのゲーミングが65.1%を占めた。公式データによると、マスマーケットの貢献度は、カジノ市場の自由化以来、過去最高を記録したという。比較してバカラを含むVIPセグメントは12月31日までの3ヶ月間で34%を占めた。また、マカオの四半期GGRでは40%未満となった。2019年のパンデミック以前は50%程を占めていた。
マカオ内での新型コロナ感染者はほぼゼロであるが、2007年からマカオで毎年開催されているカジノ業界の大規模見本市・カンファレンス「グローバル・ゲーミング・エキスポ(G2E)アジア」は、5月25日開催予定から、8月17日から19日の日程に延期することとなった。運営を行うリード・エグジビション社とアメリカン・ゲーミング協会は、「出展者およびマカオ政府との継続的な協議」に続いて再スケジュールが行われたと述べた。
旧正月中のマカオ旅行者数は回復しない見込み
マカオでの新型コロナの感染者数は、2020年4月以降0人が続いており、2020年6月1人、2021年1月に1人が確認された以外は感染者が確認されていない。新型コロナ発生以降、累計感染者は47人、死者は0人で封じ込めに成功している。昨年8月に広東省の個人訪問スキーム(IVS)が再開し、9月からは中国本土からの個人訪問スキームが再開。中国本土からは事前の陰性証明を提出し、条件を満たせば、2週間の隔離措置も不要となっていたが、ビザ発行までのハードルの高さもあり、訪問者数はコロナ前の水準には全く戻っていない。
12月下旬には、マカオ政府は、マカオへの到着者に対してより厳格な検疫要件を課すこととなった。新規則では、中国本土と台湾以外の場所からマカオに到着した場合、21日間の医学的観察を受ける必要があると変更された。これまで義務付けられていたのは14日間で期間の延長となった。なお、基本的には外国人「観光客」の入国を禁止している。また、中国の「低リスク」都市(大多数を占める)からマカオに到着した場合は、陰性証明書を提出し要件を満たしていれば、引き続き検疫なしで入国することができる。マカオに到着する直前の14日間に中国の「中リスク」都市および台湾に訪れた場合は、マカオでの14日間の医療観察を受けることになる。
2021年2月の旧正月に合わせた渡航制限の緩和が一時期期待されていたが、中国国内での新型コロナ感染者増加を受けて、中国の多くの地方当局が、旧正月休暇中で旅行をしないよう住民に呼びかける勧告通知を出している。中国の国務院は2021年旧正月の休日期間として、2月11日から17日まで指定している。通常はこの1週間の休暇はマカオのカジノリゾートや観光業にとっては繁忙期となるが、今年のこの期間のマカオ経済の見通しは曇っているという。
2020年通期マカオ観光客数は85%減、12月にようやく回復の兆し
マカオ公安警察(PSP)によると、2020年マカオ市の観光客の到着数は年比85%減で、2020年通年のインバウンド旅行客の集計は592万人と報告された。また、マカオ空港を使用した2020年の出入国旅客数は960万人で、2019年からの88%減となった。GGRAsiaによる空港運営者への取材によると、そのうち約半数が中国からの発着客であったという。マカオへの渡航者が大幅に減少する中、マカオの基幹産業であるカジノ産業は厳しい状況が続く。マカオ特別行政区政府ゲーミング検査・調査局(DICJ)によると、マカオのカジノ総ゲーミング収入(GGR)は、2020年通年で約604.4億マカオパタカ(約7,784億円)となり、2019年GGR、2,924.6億マカオパタカ(約3兆7,682億円)より前年比で79.3%縮小したと報告された。
マカオ政府観光局(MGTO)の統計では、2020年の間に、同市のカジノ施設の飲食店のうち17%にあたる198店舗が地元当局に営業停止を申請していた。マカオ政府は2020年に経済回復を助けるため、地元の中小企業で地元住民が消費を行う「消費補助金制度」を開始。中国観光客に対する支出刺激策も導入した。この支出刺激プログラムは2021年も続く見込みである。
マカオの2020年12月のカジノの総ゲーミング収入(GGR) は、前年同月比65.8%減で、78.2億マカオパタカ(約1,007億円)弱であった。11月との比較では15.9%増。マカオのクリスマス期間中の日平均訪問者は、連続して連続して2桁の割合で増加を示した。マカオ政府観光局(MGTO)によると、12月23日~27日の間のマカオへの日平均訪問者数は、24,503人で、93%が中国からの訪問であった。この訪問者の集計は12月22日までの日平均訪問者と比較して20.2%増となった。また、ホテルの平均稼働率も第4四半期の最高値の70%近くに達した。12月31日~1月3日の期間に到着したマカオ市への1日平均訪問者数は、21,242人で、クリスマス期間に比べ減少したものの12月31日の訪問者数は30,747人で、過去11か月間で最高の数字となった。なお、12月31日~1月3日までの平均訪問者データは、92.4%(日集計19,629人が到着)が中国からの渡航であることを示した。
続いてマカオの2021年1月のカジノの総ゲーミング収入(GGR) は80.2億マカオパタカ(約1,054億円)をわずかに上回り、前月に続く2.6%増となった。ただし、前年の同期間と比較すると63.7%下回る。
2020年第4四半期の着地予測も1月中旬に出ている。モルガン・スタンレー社は、マカオのカジノ業界の利息・税金・減価償却・償却前利益(EBITDA)が2020年第1四半期と比較して、第4四半期には140%上昇すると予想。同社のアナリストは、マカオ業界は、今後の決算で「2020年第4四半期に約2億4,000万ドル(約249億円)純利の企業EBITDAを報告する可能性が高い」と報告した。この改善は、ゲーミング総収入(GGR)の観点から、「営業コストの低下だけでなく、収益構成の改善」によってもたらされる可能性が高いとしている。
また、マカオゲーミング検査調整局(DICJ)が発表したデータによると、2020年第4四半期のマカオのカジノ総ゲーミング収入(GGR)において、スロットマシンを含むマスマーケットのゲーミングが65.1%を占めた。公式データによると、マスマーケットの貢献度は、カジノ市場の自由化以来、過去最高を記録したという。比較してバカラを含むVIPセグメントは12月31日までの3ヶ月間で34%を占めた。また、マカオの四半期GGRでは40%未満となった。2019年のパンデミック以前は50%程を占めていた。
マカオ内での新型コロナ感染者はほぼゼロであるが、2007年からマカオで毎年開催されているカジノ業界の大規模見本市・カンファレンス「グローバル・ゲーミング・エキスポ(G2E)アジア」は、5月25日開催予定から、8月17日から19日の日程に延期することとなった。運営を行うリード・エグジビション社とアメリカン・ゲーミング協会は、「出展者およびマカオ政府との継続的な協議」に続いて再スケジュールが行われたと述べた。