【新型コロナのIRへの影響レポート】韓国 7月2日版

二上葉子

 世界中で新型コロナウィルスの影響を受けて、各国では出入国制限や都市封鎖がなされてきたが、徐々に制限の緩和が始まっている。日本型IRビジネスレポート(JaIR)では、IRがある主要な地域の新型コロナウィルス関連の動向を配信。ラスベガスシンガポールマカオに引き続き、今回は韓国の最新状況をレポートする。

 
外国人専用カジノがあるパラダイスシティ
 

韓国での感染拡大は継続、訪韓客は9割減

 韓国の新型コロナウィルス感染者数は、7月2日時点では、新規感染者が54名、感染者累計は合計12,904名、現在の感染者は938名、回復者11,684名、死亡者は282名である。4月は新規感染者1桁台にまで減少していたが、5月から6月にかけて緩やかな増加を続け、6月18日からの2週間の新規感染者は1日平均46.1名で、50人を超える日も出てきている。感染は首都圏と中部の大田市、忠清南道に続いて南西部の光州市に広がり、特に光州市では、寺院や教会、訪問販売会社、図書館などで同時期に感染が発生し、拡大している。入国者の新規感染は、入国時の検疫、または入国後の自主隔離中に判明し、6月下旬から2桁台が続く。
 
 韓国観光公社が7月2日発表した統計によると、5月に韓国を訪れた外国人は前年同月比97.9%減の3万861人で、アメリカからの訪韓客は8,753人で90.9%減、中国からの訪韓客は5,124人で99.0%減、日本は413人で99.9%減であった。韓国ではすべての入国者は入国から3日以内に診断検査を受ける。その上で、現在は、「海外入国者に対する防疫管理方案フローチャート」(6月12日設定)に基づき、自宅隔離、政府指定施設隔離、能動監視に振り分けられる。この隔離と能動監視は、14日間実施される。なお、韓国に対して入国禁止措置を取った151の国・地域のうち、韓国は90の国・地域に対するビザ免除措置を暫定的に停止しており、日本も3月9日以降含まれている。

 新型コロナウィルス流行以前に、韓国のカジノ客の大部分を占めていた、中国、台湾、香港、日本からの訪韓はほぼ絶えている状況だ。
 

パラダイス6月売上は前年比80%減、パラダイスシティの非ゲーミング施設を一時閉鎖

 韓国国内で外国人専用カジノ4か所を運営する最大手のパラダイスは、7月1日報告によると、6月のカジノ収益は前年比80.8%減の138.2億ウォン(約12.3億円)と下落した。4か所のカジノは3月23日から閉鎖し、4月中旬に再開。再開直後は外国人の現地駐在員の需要増により、5月のカジノ収益は297.8億ウォン(約26.6億円)であったが、6月は需要が鈍化、5月に比べ53.6%減となった。

 また、感染再拡大の影響で、IR再開後に一部施設を閉鎖する動きも出ている。パラダイスとセガサミー・ホールディングスが運営する、仁川国際空港近くのカジノリゾート「パラダイスシティ」では、7月1日より一部の「非ゲーミング施設」を、改めて通知があるまで一時的に閉鎖している。閉鎖となっているのは、スパ、ワンダーボックス・テーマパーク、ナイトクラブ、レストランを含む「アートパラディゾ」と呼ばれるブティックホテル。パラダイスシティは、この動きは韓国政府の「検疫プログラムに参加するためだけでなく、Covid-19を減らし、予防する目的である」と述べた。

 カンウォン・ランド(江原ランド)では、5月8日にVIPエリアでのカジノが再開し、続いて5月27日にメインのカジノフロアが部分的に再開となる予定だったが、直近で感染者数が急増したことから、メインフロアの再開は当日緊急中止となった。その後、7月2日付で、江原ランドは「7月13日に向けてカジノ再開」と報道されており、現在は政府のガイドラインを元に準備を進めている。カジノ内の除菌など取り組みの様子が現地紙で報じられた。また、夏シーズンに向けてウォーターパーク、コンドミニアム、ホテルなどの営業活動計画を準備している。


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