2022年3月10日、長崎県はハウステンボスの隣接地に誘致を進めている「九州・長崎IR区域整備計画(案)」を公表した。昨年12月に公表された「九州・長崎特定複合観光施設区域整備計画素案」のバージョンアップ版となっており、課題とされてきた開業資金や参画企業が明らかになった。
公表された計画案は概要版で23ページ、全体で205ページに及んでおり、IR事業の全体像やコンセプト、各施設とカジノ事業の詳細、懸念事項への対策、経済的社会的効果、コスト負担や収入の用途、観光施策、合意形成や公募手続きまで幅広く網羅する。
IR事業者はカジノオーストリアインターナショナルジャパンと外資系事業会社を中核株主とする「KYUSHUリゾーツジャパン株式会社」が担う。カジノ事業はIR事業者が運営し、MICE、魅力増進事業、送客事業、宿泊事業、来訪および滞在寄与事業などの事業は一部が外部に委託される。協力企業としては、MICE施設としてLATEGRA、Austria Exhibition Expert、レッドブル、魅力増進施設としてドワンゴやランドマークス、送客施設として凸版グループ、JTBグループ、宿泊施設としてホテルザッハー、銭屋、滞在寄与施設として健生会、JTB、スワロフスキーなどが国内とオーストリアゆかりの企業名が挙がっている。
資金調達額は約4383億円で、このうち約3518億円が設備投資額(不動産取得やIR事業者の負担金を含む)になる。調達総額のうち約2630億円は国内外の金融機関からの借入れ、残りの1735億円が出資。出資のうち60%はカジノオーストリアインターナショナルジャパン(CAIJ)やCAIJに対するプライベートエクイティ等の運営会社からの間接的な出資、30%が外資系事業会社、10%が国内企業になる。
IR事業はすべて事業者負担だが、自治体側の整備費用に関してはIR事業者負担金である約147億円の一部を充当する。自治体側の整備としては、県道の拡張や上下水道の整備などが含まれており、大村湾の周辺港湾整備のみ、開業後も続く予定となっている。
開業は2027年を予定しており、開業5年目(2031年度)の年間売上高は約2715億円、当期純利益約317億円を見込む。売上高のうちゲーミングに占める割合は77%の約2095億円の予定。
県は年末から募集した計画素案についての意見公募の結果もあわせて披露。今後は公表した計画案を元に、3月中に県議会に説明を行ないつつ、市民向けの公聴会を実施。事業者側と共同で作成したIR区域整備計画を県議会で議決し、区域整備計画の申請受付期限である4月28日までに国へ申請する。
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