クレアベストの和歌山IRコンソーシアムに2社が参加表明

JaIR編集部

 2021年6月7日、クレアベストニームベンチャーズ(以下、クレアベスト)は和歌山県の統合型リゾート(IR)の開発及び運営を行うコンソーシアムに、AMSEリゾーツジャパン(以下、AMSE)とGroupe Partouche(パルトゥーシュ)が新たに参加したことを発表した。
クレアベストのIRイメージパース

パルトゥーシュは、ヨーロッパでゲーミング、ホスピタリティ事業を展開

 コンソーシアムのゲーミング・オペレーターとなるパルトゥーシュは、1973年に設立され、ヨーロッパのゲーミング、ホスピタリティ及び飲食事業を展開してきた。ユーロネクスト・パリに上場しており、ゲーミング施設、ホテル、レストラン、スパ、ゴルフコースを運営している。

 同社は42のゲーミング施設を運営し、4,000人以上の従業員を雇用している。フランスのパリ、ニース、カンヌのリビエラ、エクス・アン・プロヴァンス、リヨン、スイスのジュネーブといったヨーロッパ各所で、ゲーミング及びホスピタリティ施設を運営してきた歴史を持ち、これらの施設には、歴史的建造物やフランス有数のゲーミング施設が含まれている。多様なビジネスモデルには、ホテル、レストラン、ゴルフコース、スパ、ビーチの運営も含まれる。スーパーバイザリー・ボードの会長であるパトリック・パルトゥーシュ(Patrick Partouche)氏は、日本におけるIR開発プロセスにパルトゥーシュが関心を持ち始めた頃から、一貫して関わってきている。

 和歌山県は2日、日本のIR選定では初めてクレアベストを優先権者候補として発表したが、県の選定委員会の意見として、事業者選定後、提案内容を向上させることを目的に、「事業者提案書の内容をブラッシュアップするための変更」「事業実施体制を強化するためのコンソーシアム構成員の追加」「資金調達の確実性を担保するため、融資確約書の提出」などの事項を優先権者であるクレアベストに求めていくと公表しており、今回の新しいパートナーの発表は「事業実施体制を強化するためのコンソーシアム構成員の追加」に沿ったものと見られる。特にカジノ運営のオペレーターがいないことが問題視されていたので、パルトゥーシュの参加により、形が見えてきたと言える。

 クレアベストの代表であるジェフ・パー氏は、今回の発表について、「コンソーシアムの構成メンバーは、日本のIR事業に対して共通のビジョンを持っています。IR事業は、和歌山県と関西圏に海外からのお客様の訪問を増やし、地域の活性化を図ることで、新型コロナウィルスの影響からの経済回復に貢献すると信じています」とコメントしている。

 また、AMSEは、日本に拠点を置くIR開発・マネジメント会社であり、ウィリアム・ワイドナー氏とその親族、ゲーミング・アセット・マネジメント、マリオ・ホー氏、津村靖権氏、エディー・ウー氏から出資を受けている。ウィリアム・ワイドナー氏はラスベガス・サンズ社の元社長であり、同氏が率いるゲーミング・アセット・マネジメントのチームが参加している。ワイドナー氏とそのチームは、シンガポールのマリーナベイ・サンズや、マカオとアメリカにおけるラスベガス・サンズのリゾートなど、世界各地でIR事業の開発や運営を行ってきた。

 このうちマリオ・ホー氏は、eスポーツ分野における起業家としての経歴を持ち、アジア最大級のeスポーツクラブの開発を手掛けてきた。ホー氏は、「私たちのチームのノウハウを有効活用し、和歌山県のIR施設を様々なクラブの拠点として使用することで、和歌山県を日本のeスポーツ界の中心にしたいと考えています」と述べている。

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