和歌山県が全国で初めてのIR優先権者候補としてクレアベストを選定

JaIR編集部

 2021年6月2日、和歌山県はカジノを含む統合型リゾート(IR)で、県の優先権者候補をクレアベストニームベンチャーズ及びClairvest Group Inc.のコンソーシアム(以下、クレアベスト)に決定したことを公表した。

 IR整備法では、特定複合観光施設区域について、全国に作られる整備計画の数の上限が3であることが明示されており、自治体の議会の議決が必要。現在、IR誘致を目指して、大阪府・市、横浜市、長崎県が公募(RFP)を行っており、それぞれ絞り込みに入っているが、優先事業者を決めたのは初めて。

和歌山県が公表したクレアベストイメージパース

 和歌山県の公表による公表内容は以下の通りでクレアベストは次点だったが、サンシティが辞退したことにより、予備調査の結果も踏まえてクレアベストに決定したとのこと。
 


「2021年1月15日、和歌山県はクレアベスト、サンシティグループホールディングスジャパン株式会社(以下、サンシティという。)の2者から提案審査書類の提出を受けました。
 
 本県では、公平かつ公正な提案審査書類の審査(以下、提案審査という。)を行うために設置した事業者選定委員会(以下、委員会という。)において計3回の提案審査を行うとともに、併行してカジノ事業の免許の基準を踏まえ、適格性を確認するための予備調査を実施してきたところです。
 
 4月30日には、委員会から提案審査の結果としてサンシティ、クレアベストの順に評価点が高い旨の報告を受けました。
 
 そうした中、5月12日付で、サンシティより、コロナウイルス感染拡大等の様々な要因により世界経済の先行きが不透明であることなどを理由として、本県の公募を辞退する旨の届け出がありました。
 
 和歌山県としては、委員会の評価点が高いサンシティからの辞退届を受け、次点であるクレアベストを、予備調査の結果も踏まえ優先権者候補として決定しました」
 
 
 今後については、和歌山市及び和歌山県公安委員会との協議を経て、6月頃に優先権者を選定する、としている。現在はクレアベストは優先権者候補なので、以下のあるような注文を解決したうえで、優先権者として正式選定後、区域整備計画の作成を行う。計画作成にあたっては、提案内容の更なるブラッシュアップ、事業実施体制の強化などを求めていくという。

 また、「地元経済の発展や地元雇用の創出等」により、地域経済の地域経済の振興に寄与していくため、事業実施体制の強化にあたっては、県内事業者が広く参画できるオール和歌山の体制作りを求めていく、と強調している。その上で、地域振興に大きく寄与し、国の観光立国政策に貢献する優れた区域整備計画を作成し、申請期限の2022年4月28日までに国への申請を行うとしている。

 選定委員会の意見として、事業者選定後、提案内容を向上させることを目的に、「事業者提案書の内容をブラッシュアップするための変更」「事業実施体制を強化するためのコンソーシアム構成員の追加」「資金調達の確実性を担保するため、融資確約書の提出」などの事項を優先権者であるクレアベストに求めていくことにしている。
 

コンセプトは、「木の国・水の国」自然豊かな滞在・体験型IR

 クレアベストニームベンチャーズはカナダの投資会社クレアベストグループ(Clairvest Group Inc.)の日本法人。クレアベストグループはカナダやアメリカ、チリなどのカジノ、IR、リゾート開発に投資家・運営者の立場で関わっているほか、インドやイギリスではオンラインゲーミングやeスポーツのビジネスも手がけている。

 和歌山県が公表したクレアベストのIRの事業概要は、コンセプトが「『木の国・水の国』自然豊かな滞在・体験型IR」で、「日本遺産・和歌の浦に浮かぶ『浮遊都市』」「自然災害に強い『安全・安心な都市』」「長期滞在が可能な『癒しの都市』」の3つがポイントとなる。

イメージパースの「木立の森」

 経済効果としては、クレアベストの初期投資額が約4,700億円。経済波及効果は2,600億円を見込む。雇用創出は約1.4万人で、目標来訪者数が約1,300万人(このうち外国人は約300万人)。都道府県納付金は約230億円。約2万人を求めた雇用創出以外は、県の基本構想を大きく上回っているという。

和歌山県が公表したクレアベストの提案内容

 施設概要は以下の通り。

和歌山県が公表したクレアベストの提案内容
 なお、今までの事業者公募の経過は以下の通り。

・令和2年3月30日 
募集要項等の公表、公募の開始(4月に2者からエントリー)
※クレアベストニームベンチャーズ株式会社、 サンシティグループホールディングスジャパン株式会社 

・令和2年6月1日 
提案審査書類等の提出期限の延期(8/31∼10/19 まで 49 日間)
※新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、政府から緊急事態宣言 が発出され、都道府県を跨いだ移動自粛等の措置がとられたことにより 民間事業者における事業活動に制限が生じた状況を踏まえて延期 

・令和2年10月9日 
提案審査書類等の提出期限を延期(10/19 から当面延期)
※「IR 区域・IR 施設の安全の確保、感染症対策」などカジノ管理委員会 からの指摘等を踏まえた追加修正と、自治体からの区域整備計画案の 申請期間変更などを内容とする、基本方針(案)の再パブリックコメント の公表を受けて延期 

・令和2年11月6日 
基本方針(案)パブリックコメント等を踏まえたスケジュールの変更 

・令和2年12月18日 
基本方針の決定、区域整備計画の認定申請期間を定める政令の決定 

・令和3年1月7日 
和歌山県実施方針の決定

 ・令和3年1月15日 
提案審査書類等の提出(50 音順、敬称略) ①クレアベストニームベンチャーズ株式会社 ※コンソーシアム構成員:Clairvest Group Inc. ②サンシティグループホールディングスジャパン株式会社

・令和3年5月12日 
サンシティグループホールディングスジャパン株式会社から辞退届の提出 

・令和3年6月2日 
優先権者候補の選定


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