【新型コロナのIRへの影響レポート】韓国 2021年2月18日版 (1/2)

二上葉子

 昨年は新型コロナウィルスの影響を受けて、世界的に閉鎖~再開を経験した統合型リゾート(IR)産業。コロナ対策を行い、営業を再開している地域もあるが、一方では感染拡大が収まらず再閉鎖となっている地域もある。昨年末からは感染力が強いとされる変異種の流行が拡大、またワクチン接種が開始となり、新型コロナとの闘いは新たなフェーズに入った。日本型IRビジネスレポート(JaIR)では、IRがある主要な地域の新型コロナウィルス関連の動向を配信。ラスベガスマカオシンガポールに続き、今回は韓国の最新状況をレポートする。


2020年第4四半期、損失が拡大したパラダイス・シティ
 

韓国国内の医療従事者へのワクチン接種は2月下旬から

 韓国の新型コロナウィルス感染者数は、2月17日時点では、新規感染者が621名、死亡者が6名、これまでの感染者累計は85,567名、回復者75,896名、死亡者は1,544名である。2020年は8月中旬まで感染拡大を抑制できていたが、8月下旬に感染者が急増、一時は1日の新規感染者が300人台となった。その後、再び感染者は減少していたが、11月頃から急激に感染者数が増加し、12月下旬には1日の新規感染者数が1000人を上回った。

 韓国の保健当局は1月1日に、新型コロナウィルスの規制における「レベル2.5(5段階のスキームの中で2番目に高い)」を、1月17日まで延長した。ソウル広域圏とそれ以外の地域では「レベル2」を延長した。その後、12月末の最大ピーク時に比べると、1月の新規感染者は減少してきたため、韓国政府は、2月15日から2週間、首都圏(ソウル市・京畿道・仁川市)での新型コロナウイルス感染症の警戒レベルを「2.5段階」から「2段階」に引き下げた。また、非首都圏も、現在の「2段階」から「1.5段階」に引き下げた。しかし、この2月の緩和後、現在は1日の感染者が600人台にまで増え、再び増加傾向に転じている。

 韓国国内での新型コロナウイルスのワクチン接種は2月下旬から開始となる。韓国政府は、2月26日から医療従事者などを対象にワクチン接種をスタートすると発表。ただし、イギリスの製薬大手アストラゼネカ等のワクチンは、65歳以上の接種について有効性のデータが不足しているとの指摘もあるため、当面は65歳未満を対象に接種することとしている。最初の対象者は約27万人。さらに今後は接種の対象を徐々に拡大し、2021年11月までに韓国国民の70%以上にワクチンを接種しようとしている。


韓国では、ワクチン共有の国際スキーム「COVAX(コバックス)」からの供給が遅れており、第1四半期の接種目標値を75万人に引き下げた
 

カジノ施設は再開と閉鎖の繰り返し

 韓国国内のIR施設、カジノ施設は、感染者数の増減に合わせて、施設の再開と閉鎖の繰り返しを強いられ、厳しい状況が続いている。

 
●パラダイス

 韓国で外国人専用カジノを運営するパラダイス社は2020年12月のカジノ収入が11月比較で332%の急上昇の422億2000万ウォン(約40億円)に達したことを報告した。前年同期比では40%減少した。最新の決算では、同社グループの2020年通年のカジノ収入は3,352億9,000万ウォン(約317億円)で、2019年カジノ収入7,840億6,000万ウォン(約742億円)からは57.2%の減少となった。
 
 続いて、2021年1月の売上高は前月比で36.2%減少したと発表した。前年同月比では61.8%減。1月のカジノ収入は272.8億ウォン(約26億円)で、12月の427.7億ウォン(約40億円)より減少、パンデミック以前の2020年1月の714億ウォン(約67億円)と比較し、大きな減少となった。

 また、同社の運営する施設「パラダイスカジノ・ウォーカーヒル」は、新型コロナウィルス対策のため、12月15日から閉鎖されていたが、1月4日に再開した。同社の運営する他のソウル、釜山のカジノや、仁川の「パラダイスシティ」のカジノは営業が続いていた。

 セガサミーと韓国のパラダイスがそれぞれ45%と55%の割合で保有するパラダイスシティでは、カジノ売上の堅調な伸びにも関わらず、直近四半期の損失が拡大したとの報告があった。パラダイス シティでは、セガサミーの年度で言う第3四半期に売上高が前年比53.4%増の1,350億ウォン(約125億円)へと増加し、2019年4月から12月までの累計売上は前年同期間の2,130億ウォンから3,310億ウォン(約308億円)に増加した。この期間のカジノ売上は2,687億ウォン(約250億円)へと52.0%増加したが、費用の増加によって純損失が2018年同期間の106億ウォンから116億ウォン(約11億円)へと微増した。

 
●グランドコリアレジャー

 韓国観光公社の子会社で、韓国の文化体育観光部に所属し、外国人専用カジノを運営するグランドコリアレジャー社は、2020年の売上高が前年同期比62.4%減となる、1,844.6億ウォン(約174億円)となり、643.3億ウォン(約60億円)近くの損失を計上したと報告した。

 同社のカジノ施設「江南COEX」と、ソウルの江北ヒルトン「セブンラック」は11月24日から閉鎖、釜山の「ロッテカジノ」は12月1日から閉鎖している。いずれも2月15日までの閉鎖となっていたが、ソウルにある2軒のカジノは、首都圏の規制「レベル2」以上の継続に伴い、3月1日まで閉鎖期間が延長された。釜山のカジノは2月15日に再開した。

 同社は韓国証券取引所に提出した更新申告書で、今回の閉鎖延長に伴うカジノ売上高の損失予想を従来の270.5億ウォン(約25.5億円)から325.8億ウォン(約30.7億円)程度に修正したと報告した。


●江原(カンウォン)ランド

 韓国で唯一、自国民へのカジノ提供が許可されているカジノリゾート「江原(カンウォン)ランド」は、2020年の新型コロナウィルス感染症対策中に、3回の中断期間があった。1回目は2月23日から7月20日までで、5月上旬からはVIP向けの会員専用エリアが一時的に再開された。2回目は8月21日から10月12日まで、3回目は12月8日から始まっており、現在も継続中である。
 
 江原ランドは2020年第3四半期(9月30日締め)に約408.6億ウォン(約38.6億円)の損失を計上した。前年同期は1億2865万ウォン(約1,215万円)の利益を計上していた。続く、第4四半期の報告では、33.33億ウォン(約3.2億円)の損失を計上したと発表した。前年同期は526.2億ウォン(約50億円)の利益であった。ただし、2020年第3四半期と比較すると400.86億ウォン(約38億円)の損失からは改善されている。

 同社は、12月31日締めの3ヶ月の売上高については、前年同期比64.8%減の1,313.2億ウォン(約125億円)と報告した。また、同期間の総ゲーミング収入は前年同期比65.5%減の1,264億ウォン(約121億円)となったが、同年前期比では99.4%増だった。

 2020年通年の累計売上高は前年同期比68.5%減の4,785億8,800万ウォン(約458億円)となった。2019年の利益が約3,346.66億ウォン(約320億円)だったのに対し、2020年は2,758億ウォン(約264億円)の損失を計上した。

 江原ランドは新型コロナ感染拡大の影響で、12月8日から閉鎖。2020年12月29日以降、約半数の3,700人の従業員が、当初は無給で(後に減給で)強制的に休暇を取得している状況で、社員の半数が1月31日まで定休日扱いが続いた。同社は「リゾートの営業停止が2月1日を超えて延長された場合、労働者の強制休暇が延長される可能性がある」と回答。地元メディアの報道によると、同社は当初、全期間無給休暇を取得させる予定であったが、労働者側からの苦情が寄せられ、減給という形で合意したと伝えられている。

 その後、江原道エリアが政府の規制のうち「レベル1.5」に引き下げられたため、2月15日営業を再開した。

 また、同社は、昨年12月下旬に、政府の文化体育観光部から新たに3年間のゲーミングライセンスを付与された。新しいライセンス期間は2021年1月1日から2023年12月31日までとなる。