<IR用語集・基礎知識> 韓国

JaIR編集部

日本の約4分の1にあたる10万㎢の国土と、約5,127万人の人口(2016年・韓国統計庁データ)を有する。日本に最も近い隣国でありながら、歴史的背景から日韓問題も根強く残るが、韓流ドラマ、K-POP、外国語映画初のアカデミー作品賞を受賞した映画「パラサイト」など、韓国発エンターテインメントの人気は高い。経済的には、1950年の朝鮮戦争で壊滅的打撃を受けたが、精密機器の開発、サムスングループといった国際的企業の誕生などを経て、2017年にはGDP世界12位の経済大国に成長。

カジノについては、1961年の「観光事業振興法」において、外貨獲得、観光振興を目的に合法化。1967年、「仁川(インチョン)オリンポスホテル」内に国内初のカジノ施設が開業し、自国民含む多くの人が訪れた(年齢制限は19歳以上)。やがて、ギャンブル依存症や不正の横行が問題視され、翌年開業した「ソウル・ウォーカーヒルホテル」(現グランデ・ウォーカーヒル・ソウルホテル)内のカジノは外国人専用に。しかし、オリンポスホテルでの不祥事が続出したため、1969年以降、全施設で韓国人の立ち入りが禁止となった。このルールは厳格に運用され、外国人専用施設に韓国人を入場させた場合、事業者側も厳罰を受けるため、入場時のチェックはかなり厳しい。

2020年現在、ソウル、済州(チェジュ)島、釜山(プサン)、大邱(テグ)、仁川、江原(カンウォン)に17のカジノ施設があるが、2000年に炭鉱跡地の雇用維持、活性化目的として設置された「江原ランド」だけが、例外的に韓国人の入場を認める。ソウル市内から車で3時間以上かかる交通の便の悪さに加え、自国民には9,000ウォン(約900円)の入場料や回数制限、滞在時間制限等、厳しい制約が課せられるが、それでも全17施設の売上の約半分をここ1か所で叩き出している。活況を呈する一方で、ギャンブル依存症や自殺の多発、治安の悪化等、さまざまな課題も多い。

その他の外国人専用施設の売上を支えるのは主に中国人と日本人。従来はカジノ+ホテルの形が主流だったが、単にギャンブルだけでは成長が見込めないとして、2014年、仁川国際空港周辺に外資を含む新たなリゾート計画が承認された。いずれもMICEを備えた本格的な最新のIRであり、2017年には日本のセガサミーが現地のパラダイス社と立ち上げた合弁会社による「パラダイスシティ」が開業。このほか、シーザーズ・エンターテインメントによる「シーザーズ・コリア統合型リゾート」(2021年開業予定)、モヒガン・ゲーミング&エンターテインメントによる「インスパイア」(2022年開業予定)の開発が進んでいる。

IRの開発は済州島でも行われており、2017年には中国の不動産開発会社、ランディング・インターナショナル・デペロップメントによる「済州神話ワールド」がオープンしている。2020年には、ロッテ観光開発と中国最大の不動産開発会社・緑地グループのコンソーシアムによる「済州ドリームタワー」が開業予定。

(2020年8月7日更新)