【新型コロナのIRへの影響レポート】ラスベガス 2021年1月26日版 (3/3)

二上葉子


●その他の動き
 ラスベガスのカジノホテルに関する主な動きは以下の通り。

 ペン・ナショナル・ゲーミング社の所有するラスベガス、ヘンダーソン地区に位置するMリゾートは、1月6日、従業員169人の解雇を発表した。レイオフ(一時解雇)について「この世界的な公衆衛生上の脅威がいつまで続くか、またはいつ完全な運用を再開できるかわからないという非常に残念な現実」と同社スポークスマンのジェフ・モリス氏はコメントしている。
 
 ラスベガス、ストリップ地区のザ・コスモポリタン・オブ・ラスベガスは、2021年1月15日に10周年を迎え、周年を記念し、2021年を通して、限定パッケージ、特別なダイニング体験、ソーシャルメディア上でのコンテスト企画など多くの企画を提供することを発表した。社長兼最高経営責任者(CEO)であるウィリアム・マクビース氏は、「ザ・コスモポリタンは、ラスベガスが景気後退からどのように立ち直るのか、世界が疑問を抱いた時代に開業しました」、「ラスベガスがまたもや苦難に見舞われる中、私たちは力を合わせてこの難局に立ち向かい続けます」とコメントした。

 運営会社ドゥマニは、2015年に解体されたクラリオン・ホテル・アンド・カジノの跡地に「マジェスティック・ラスベガス」の建設計画を発表した。ストリップ地区の東に位置する好立地に720室からなるホテルで、今年の初秋までに施工を開始し、2024年に完成する予定。非ゲーミング施設で8億5,000万ドル(約881億円)規模のリゾート計画で、ビジネス客を対象とする。また新しく拡張されるラスベガス・コンベンションセンターの向かいには、35企業が入居できる10階建てオフィスを併設する予定。


10周年を迎えたコスモポリタンなどが並ぶ、ストリップ大通り
 

例年ラスベガス開催の大規模イベント「CES」は、今年はオールデジタル開催

 例年ラスベガスで開催されるデジタル分野の巨大見本市「CES」は、2021年は初のオールデジタルでの開催となった。「CES 2021」の開催期間は1月11日から14日まで、1,900社以上の出展者が技術分野全体を代表して出展し、100以上のカンファレンスセッションが紹介された。出展したイノベーションや製品は、自動車からデジタルヘルス、5G、スマートシティなど、テック業界にまたがる。デジタルでの開催により世界中から視聴が可能になり、利点が多かったが、実際の会場で起きていたような偶然の出会いは発生しにくく、リアルでの体験が重要であったことも浮き彫りになった。

 ラスベガスの施設に関係する商品としては、CES2021の期間中、米イルミナリウム社とパナソニックは、両社連携でのラスベガスの新没入型エンターテイメント施設を発表した。体験型エンターテイメントブランドの「イルミナリウム・エクスペリエンスズ(Illuminarium Experiences)」はテクノロジーを駆使したカスタムエンターテイメント施設となる。2022年夏には、ラスベガスのエンターテインメント複合施設「エリア15」内に、最初の3つの施設のうちの1つとなる広さ3万平方フィート(2,787平方メートル)がオープンする予定。他2つは、アトランタとマイアミで展開し、今後5年以内に25~30の施設をオープンさせる予定であると語った。


新没入型エンターテイメントが設置される予定の複合施設「エリア15」
 

2020年のラスベガスへの旅客数は、前年の半分以下

 12月末に発表されたラスベガスのマッカラン空港の11月利用者数は180万人で、10月より減少した。1年前と比較すると半分以下であった。国際線も11月に不振が続いており、到着人数は1万9,603人で、前年比93.6%減。マッカラン空港は、2020年年末までに全体で約2,100万人の乗客を記録したが、それは2019年の同時点で記録された4,700万人の半分以下の数字だった。

 また、ラスベガス観光局(LVCVA)は、2020年の11月までのラスベガスの合計訪問者数を1,780万人と報告した。2019年と比較すると54.5%の訪問者数となる。また、仮に、12月を追加した年間の数字が1,900万人に達しても、1988年以来の最低の訪問者数になる見込み。ラスベガスの11月の落ち込みは顕著で、ホテル稼働率は39.3%となり、IRが閉鎖から再開した6月以来、最低レベルであった。11月のラスベガス市の週末稼働率は55.4%、平日は32.4%で、こちらも6月以来の低水準となった。

 アメリカン・ゲーミング協会(AGA)のCEO兼社長ビル・ミラー氏は、28日に業界説明会を開催する。ゲーミング業界の今後の1年を展望し、ワシントンでのゲーミングに関する現在の政策環境について議論し、業界の回復を加速させるためのAGAの優先事項について説明する予定。2021年のIR業界の展望に注目が集まる。


訪問者数が戻らないラスベガス、2021年は回復するのか


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 1/13~1/19 https://jair.report/article/552/
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 ラスベガス 10月26日版 https://jair.report/article/490/