6月旅客数はやや改善、大型イベントの中止やオンライン開催相次ぐ
ラスベガスのマッカラン国際空港の6月旅客数は104万1,823人で、ネバダのカジノの再開に伴い5月数字からは大幅に改善した。カジノ停止中の利用者は39万人の利用であったとされる。なお、2019年同月前年比で国内線は74.7%減、さらに国際線は99.98%減。国際線の乗客数は前年6月は32万人強だったが、今年6月はわずか70人であった。ラスベガスへの訪問者回復には、MICEでのイベント再開が不可欠であるが、新型コロナウィルス感染拡大が続いているため、やむを得ず中止するケース、あるいはオンライン開催へ移行するケースが多くなっている。7月9日、米国ゲーミング協会(AGA)と、パートナーのリード エグジビションは、公式HPでゲーム業界のトップグローバルイベントであるグローバルゲーミングエキスポ(G2E)の中止を発表した。G2Eは10月5日~8日にラスベガスのサンズ エクスポ&コンベンション センターで開催される予定だったが、2021年10月4日~7日に開催を見送った。また、オンラインでのイベントを行う予定も示した。
また、毎年ネバダ州ラスベガスで開催されるの電子機器の最大級の見本市「CES」も、来年のオンライン開催を決定した。「Covid-19蔓延に際し、世界的な健康への懸念が高まる中、2021年1月初旬にラスベガスで何万人もの人々を安全に招集し、直接会ってビジネスを行うことは不可能である」との見解をリリースに添え「CES2021は、すべてのデジタル体験を提供する」と発表した。
CESのオンライン開催発表を受けて、ラスベガス・サンズのロバート・ゴールドスタイン社長は、「痛々しい短期間」と語り、「ラスベガスは、どこからどう見ても大規模な都市です。15万室のホテルの部屋、大規模なコンベンション、大規模な宴会。大規模というのはラスベガスのための言葉で、この環境でいるのは容易ではない」と述べた。続けて、「ラスベガスは、特に飛行機で訪れる旅行者の観光に依存する目的地の都市です。ラスベガスが有意義に回復するためには、Covid-19を防ぐワクチンか、このウイルスに対して認識を変える何か、が必要だ」「そして、それが短期的に起こるとは思えません」と、大規模イベントの早期回復に対して、悲観的な見方を示した。
ラスベガスに拠点を置くユニオンゲーミングのアナリスト、ジョン・デクリー氏は、今現在、ラスベガスは、車で訪問するゲーミング顧客に依存しており、しばらくの間は平日のビジネス関連の利用は困難な状況が続くと述べた。平日のホテル稼働率の原動力であるラスベガスのコンベンション業界は、回復には1年半から3年かかると予想されており、レジャー旅行の回復よりもはるかに遅れている。
一方で規則に従いながら、再開検討がなされている常設イベントもある。一例としては、シーザーズパレスでのアダルトな要素とサーカスが融合したショー「アブサン」が挙げられる。以前からホテル前のテントで定期開催されていたが、600人収容のところ220人定員に変更し、州とネバダ州ゲーミング・コントロール・ボードに申請のうえ、9月から再開する予定で準備がなされている。空気浄化システムやテント内の座席レイアウトを変更する予定。その他、ベネチアンとパラッツォのグランド・カナル・ショップスでの「アトミック・サルーン・ショー」、コスモポリタンでのショー「オピウム」の再開も予定されている。入場前のタッチレス温度スクリーニング、会場のバーでの列を避けるためのテーブルサービス、各公演後の会場の消毒など導入される見込みである。
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