世界中で新型コロナウィルスの影響を受けて、各国では出入国制限や都市封鎖がなされてきたが、徐々に制限の緩和が始まっている。日本型IRビジネスレポート(JaIR)では、IRがある主要な地域の新型コロナウィルス関連の動向を配信。韓国、シンガポール、マカオ、に引き続き、今回はラスベガスの最新状況をレポートする。
このように感染拡大が続く中、ラスベガスを訪れる観光客の数は6月カジノ再開直後に比べ、減少している。JPモルガンのジョセフ・グリフ氏の報告によると、7月17日のラスベガス訪問数は6月4日にカジノが再開して以来、最も低い350,000人となった。2週間前の土曜日は400,000人以上、7月4日には、およそ550,000人の訪問者数であったという。
7月24日には、ホワイトハウスの感染対策チームのデボラ・バークス博士により、ラスベガスは感染トラブルスポットとして指定された。その他の都市では、ボルチモア、クリーブランド、インディアナポリス、マイアミ、ニューオーリンズ、セントルイスなども指定され、バークス博士はウイルスの拡散を阻止するために積極的な措置をとるべきだと述べた。また南西部の18州(後に21州に拡大)については、感染状況が悪化して対策が必要な「レッドゾーン」と区画分けされ、ネバダ州も指定を受けた。ラスベガス市はすでに検査、治療、および地域社会への拡大追跡を強化し始めたとし、市内各地に職員を動員してウイルス検査場を設置する計画を立てている。
現在、ネバダ州ではスティーブ・シソラック知事の命により、公共空間でのマスク着用等が義務化されており、遵守状況の調査が郡単位で実施されている。ラスベガス市が含まれるクラーク群では、7月10日、群当局が遵守していないことが判明した企業30社のリストを公開した。リストには、ウォルマート(スーパーマーケット)、食品・ドラッグストア、コンビニ、レストラン、ファーストフード店が含まれ、また、アリア、マンダレイベイ、タヒチビレッジバケーションクラブ、シルバートン等ラスベガスの施設も違反の通知を受けた。
また、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボードは、7月29日、カジノ再開以来の健康・安全ポリシーへの違反に関し、マスク義務違反などを含め10,135件以上の案件が寄せられ、州全体で衛生安全上の不適合156件の規制処理を行ったと発表した。
カジノ顧客等による義務違反は完全には無くなってはいないが、各IRオペレーターは感染拡大の防止策を講じている。具体策の1つとしては、各社テーブルゲームでの喫煙規制を強化した。ラスベガス・サンズは、マスクを外す行為を防ぐため、ヴェネチアンとパラッツォでテーブルゲームのプレーヤーと観客に、喫煙をしないように求める方針を更新した。また、ウィン・リゾーツは、ウィンとアンコールで、プレキシガラスがないテーブルゲームを禁煙エリアとして指定。シーザーズとMGMリゾートは喫煙を許可しているが、新しいガイドラインに基づく前提とする。
また、各オペレーターでは、人と人との接触を減らす試みとして、セルフサービス技術や非接触技術の採用が増えている。MGM広報担当者であるドリー・ホルスト氏は、モバイルチェックインやデジタルキーなどのタッチフリー技術の展開を推進し、「ゲスト体験の向上に加えて物理的な距離を置くことができるようにした」と述べ「パンデミック発生を受けて、計画段階でのデジタルイニシアティブの重要性はさらに高まった」とコメントした。 アプライド・アナリシス社のエコノミスト、アグエロ氏は、「Covid-19が変革のきっかけになったことは間違いない。(パンデミックは)適応する必要のある企業に、人と人とのやり取りのあらゆるポイントを見て、『自動化は可能か』と問うことを求めている」と語った。
キャッシュレス化の動きも加速し、コナミ・ゲーミングは、ネバダ州でゲーミング業界初のキャッシュレススロットのトライアルを実施した。この導入によりカジノ運営はキャッシュレスクレジットの発行、記録、管理、追跡をシームレスに行い、最適な賭け金回収とアンチマネーロンダリングのコンプライアンスを実現できるようになる。
感染拡大抑制のため、一部施設の閉鎖も発表された。ラスベガス・サンズは、パラッツォホテルタワーを平日閉鎖することに決め、週の大半は客室を制限している。7月10日には、食品を提供しないバーは、再び一時的に閉鎖することを要求された。
感染防止策を持続可能な形とするプログラムも開始している。ラスベガス・サンズは「ECO360」と呼称するベネチアン・リゾートのサステナビリティの一環として、テラサイクル社と提携し、ホスピタリティ業界で初のマスクのPPEリサイクルプログラムを実施。廃棄されたマスクはベネチアン・リゾート内で回収される。その後リサイクル施設に送られ、分離、細断、高密度化されて原料となり、この材料は、出荷用パレット用の複合材、鉄道用結束バンド、複合デッキなどの再利用製品に使用される。日常生活でのマスク着用が長期化する流れにある中で、一歩先をゆく取組みである。
新型コロナ感染拡大の続くネバダ、オペレーターは感染対策を強化
ラスベガスでは6月4日カジノを再開後、非ゲーミング施設を含め順次再開を拡大している一方で、IR施設での新型コロナウィルス感染者も発生している。ネバダ州全体では、8月5日時点での新規感染者は729名、感染者累計53,570名、死亡者は900名に達している。特に6月中旬から7月中旬にかけて感染数が急激に増え、7月15日には調査開始以来の最大となる1日1,447名の新規感染が確認された。このように感染拡大が続く中、ラスベガスを訪れる観光客の数は6月カジノ再開直後に比べ、減少している。JPモルガンのジョセフ・グリフ氏の報告によると、7月17日のラスベガス訪問数は6月4日にカジノが再開して以来、最も低い350,000人となった。2週間前の土曜日は400,000人以上、7月4日には、およそ550,000人の訪問者数であったという。
7月24日には、ホワイトハウスの感染対策チームのデボラ・バークス博士により、ラスベガスは感染トラブルスポットとして指定された。その他の都市では、ボルチモア、クリーブランド、インディアナポリス、マイアミ、ニューオーリンズ、セントルイスなども指定され、バークス博士はウイルスの拡散を阻止するために積極的な措置をとるべきだと述べた。また南西部の18州(後に21州に拡大)については、感染状況が悪化して対策が必要な「レッドゾーン」と区画分けされ、ネバダ州も指定を受けた。ラスベガス市はすでに検査、治療、および地域社会への拡大追跡を強化し始めたとし、市内各地に職員を動員してウイルス検査場を設置する計画を立てている。
現在、ネバダ州ではスティーブ・シソラック知事の命により、公共空間でのマスク着用等が義務化されており、遵守状況の調査が郡単位で実施されている。ラスベガス市が含まれるクラーク群では、7月10日、群当局が遵守していないことが判明した企業30社のリストを公開した。リストには、ウォルマート(スーパーマーケット)、食品・ドラッグストア、コンビニ、レストラン、ファーストフード店が含まれ、また、アリア、マンダレイベイ、タヒチビレッジバケーションクラブ、シルバートン等ラスベガスの施設も違反の通知を受けた。
また、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボードは、7月29日、カジノ再開以来の健康・安全ポリシーへの違反に関し、マスク義務違反などを含め10,135件以上の案件が寄せられ、州全体で衛生安全上の不適合156件の規制処理を行ったと発表した。
カジノ顧客等による義務違反は完全には無くなってはいないが、各IRオペレーターは感染拡大の防止策を講じている。具体策の1つとしては、各社テーブルゲームでの喫煙規制を強化した。ラスベガス・サンズは、マスクを外す行為を防ぐため、ヴェネチアンとパラッツォでテーブルゲームのプレーヤーと観客に、喫煙をしないように求める方針を更新した。また、ウィン・リゾーツは、ウィンとアンコールで、プレキシガラスがないテーブルゲームを禁煙エリアとして指定。シーザーズとMGMリゾートは喫煙を許可しているが、新しいガイドラインに基づく前提とする。
また、各オペレーターでは、人と人との接触を減らす試みとして、セルフサービス技術や非接触技術の採用が増えている。MGM広報担当者であるドリー・ホルスト氏は、モバイルチェックインやデジタルキーなどのタッチフリー技術の展開を推進し、「ゲスト体験の向上に加えて物理的な距離を置くことができるようにした」と述べ「パンデミック発生を受けて、計画段階でのデジタルイニシアティブの重要性はさらに高まった」とコメントした。 アプライド・アナリシス社のエコノミスト、アグエロ氏は、「Covid-19が変革のきっかけになったことは間違いない。(パンデミックは)適応する必要のある企業に、人と人とのやり取りのあらゆるポイントを見て、『自動化は可能か』と問うことを求めている」と語った。
キャッシュレス化の動きも加速し、コナミ・ゲーミングは、ネバダ州でゲーミング業界初のキャッシュレススロットのトライアルを実施した。この導入によりカジノ運営はキャッシュレスクレジットの発行、記録、管理、追跡をシームレスに行い、最適な賭け金回収とアンチマネーロンダリングのコンプライアンスを実現できるようになる。
感染拡大抑制のため、一部施設の閉鎖も発表された。ラスベガス・サンズは、パラッツォホテルタワーを平日閉鎖することに決め、週の大半は客室を制限している。7月10日には、食品を提供しないバーは、再び一時的に閉鎖することを要求された。
感染防止策を持続可能な形とするプログラムも開始している。ラスベガス・サンズは「ECO360」と呼称するベネチアン・リゾートのサステナビリティの一環として、テラサイクル社と提携し、ホスピタリティ業界で初のマスクのPPEリサイクルプログラムを実施。廃棄されたマスクはベネチアン・リゾート内で回収される。その後リサイクル施設に送られ、分離、細断、高密度化されて原料となり、この材料は、出荷用パレット用の複合材、鉄道用結束バンド、複合デッキなどの再利用製品に使用される。日常生活でのマスク着用が長期化する流れにある中で、一歩先をゆく取組みである。