【新型コロナのIRへの影響レポート】マカオ 8月4日版 (2/2)

二上葉子

メルコやギャラクシーはコスト削減を発表、各オペレーターとも厳しい第2四半期

 IRオペレーターからは、検疫緩和以前の収益やコスト等に関する発表や言及があった。

 メルコ・リゾーツは、第2四半期発表に先立ち、第2四半期中の毎日の営業コストについて、「約150万ドル(約1.6億円)」であり、第1四半期より減少し、コスト削減に成功したたことを述べた。また、メルコ子会社のスタジオ・シティ・ファイナンスが最近発表した10億ドル(約1,072億円)を超えるシニア債の募集から、総額6,000万ドル(約64億円)の元本を取得したことを発表した。

 また、スタジオ・シティの最大株主であるメルコリゾーツは、総額2億8,080万ドル(約297億円)を出資することで合意した。メルコインターナショナル・デベロップメントは、メルコリゾーツのスタジオシティインターナショナルへの出資比率を54.1%から54.7%に引き上げたことを発表した。なお、非公開オファーにより、スタジオ・シティ・インターナショナルは5億ドル(約530億円)の総収入を調達している。カジノリゾートの第2段階の開発と一般的な企業目的に使用するとコメントしている。

 ギャラクシー・エンタテインメントは、7月24日、上半期の収益発表を前に、エレクティブと2020年のエグゼクティブ年間ボーナスをカットすることを発表した。ルイ副会長は、上級管理職以下スタッフに毎年通常支給される2つの裁量ボーナスのうち1つを支給しないと述べた。さらに、副社長補佐クラス以上の従業員には、今年は年間ボーナスが支給されないことも言及。また、一時的な無給休暇制度を2020年末まで延長し、年俸の見直しを2021年4月に延期すると述べた。一部の投資アナリストは、ギャラクシーはマカオの6事業者の中で最も現金を保有しており、数年間の収益がもし皆無だった場合でも耐えうる企業体力と推定している。
 
 MGMチャイナは、第2 四半期の純収入について、前年比95.3 %減と報告した。純収益は前年同期の7億6,610万米ドル(約806億円)弱に対し、3,320万ドル(約35億)に満たないほどに減少した。不動産EBITDARは、2019年第2四半期の1億7,280万ドル(約183億円)のプラスと比較して、1億1,630万ドル(約123億円)のマイナス。MGM マカオの四半期の総収入は前年比95.4%減の1.39億香港ドル(約19億円)、MGMコタイの収入は前年比95.3%減の1億1700万香港ドル(約16億円)となった。

 ウィン・マカオの非常勤会長アラン・ゼマン氏は、ニュース専門放送局CNBCのインタビューで、閉鎖期間中に関して「私たちは、1日200万ドル(約2億円)を消費していた」と触れた。マカオと広東省の検疫緩和については歓迎すると述べる一方で、「現時点で(ビジネスがどのように回復するかを)見積もるには時期尚早」とコメントした。

 SJMホールディングス(SJM) は、上半期の損失について、7月28日、グループの純収入が前年比74.4%減となることを香港証券取引所へ報告した。これは新型コロナウィルスによるものであり、同社の上半期損失は14.1億香港ドル(約191億円)以上で、前年の16.8億香港ドル(約227億円)と比較し純利益が大きく下落した。しかし、SJMはマカオのカジノ総ゲーミング収入(GGR)において、市場シェアは0.9%ポイント増加した。

 ラスベガス・サンズ(LVS)は、第2四半期の売上高が97%減少したことを発表した。これはラスベガス、マカオ、シンガポール全体での結果であるが、マカオのIRを運営する子会社サンズ・チャイナの第2四半期収入は前年同月比98.1%減の4,000万ドル(約42億円)で、5.49億ドル(約580億円)の赤字となった。

 サンズ・コタイ・セントラルを新たに「ザ・ロンドナー・マカオ」とするための改装、フォーシーズンズのグランドスイート立ち上げなどマカオでの投資が続くが、LVSのシェルドン・アデルソン会長は、「これらの新しい開発がマカオの回復を助け、やがて中国やその他のアジアからのレジャーやビジネス観光のシェアを増加させることになると確信しています。マカオへの長期投資へのコミットメントは揺るがない。既存のものや継続中の投資により、地元の雇用の支援や中小企業への支援など、現在のマカオの地域経済を支援する役割を果たすことができます」と述べた。

 また、LVSは、マカオとシンガポールの施設でのテナント支援として、上期のショッピングモールのテナント賃料のうち約1億7,000万ドル(約178億円)を免除すると発表した。LVS最高財務責任者であるパトリック・デュモン氏は、第2四半期決算の中で「我々はモールを非常に重要な資産として、私たちの顧客の経験のために非常に重要であると考えている。私たちは、世界でもアジアでも有数のブランドとの関係を持っていて、そして、これらの関係の継続性を確保したいと考えています」とコメントした。

 7月23日には、マカオのオペレーターとジャンケットブランド(少なくともメルコ、サンズ、MGM、ギャラクシー等4つのカジノライセンスを含む)が、新型コロナウィルス対策に関する支援を行ったとして、中国中央政府から個別に表彰を受けた。一部の企業はプレスリリースを発表し、マカオ特別行政区(北京市の駐在員事務所)の中央人民政府連絡事務所の職員と幹部の記念写真等を掲載した。ジャンケットブランドにはサンシティ・グループも含まれる。
スタジオシティ第2フェーズの開発資金調達を目指す
 

マカオ回復のカギは、中国の個人観光ビザIVS制度の再開

 香港とマカオ間の検疫に関して、マカオから香港への到着者に対する14日間検疫ルール期限が9月7日まで延長された。前回の期限は8月7日だった。

 マカオ、香港、広東省の3地域間の動きとしては、広東省の人事当局は、パスポートを持たない香港とマカオの永住者が、広東省9都市の政府機関で働くことを許可するとした。この動きは、3地域間の人材交流を促し、マカオ、香港の2特別行政区の若者へ多くの仕事の機会を提供するとともに、香港、マカオ、広東省の「グレーターベイエリア(粤港澳大湾区)」の地域統合を促進することを意図する。

 また、中国当局が「グレーターベイエリア(粤港澳大湾区)構想」として、2025年までに空港群の開発を計画していることを新華社通信が報じた。この計画は中国民間航空局の提案によるもので、中国本土の広東省と隣接するマカオ、香港の特別行政区の経済と人々をより密接に結びつけるため中国政府が主導するものである。グレーター・ベイエリアは2035年までに強化され、「安全で、環境に優しく、スマートな世界クラスの空港群」となるとされる。

 広東省とマカオ間の検疫は7月15日に緩和されたものの、コロナ禍以前のカジノ収益の水準に復活にはほど遠い状況である。業界関係者からは、マカオのカジノ総ゲーミング収入(GGR)の約半分を占める高額VIP客のマカオ訪問が経済回復のキーとして挙げられており、そのためには、中国の特定都市からの個人の出国許可制度であるIVS(個人訪問スキーム)再開が期待されている。

 中華人民共和国国務院からの通知を引用した発表として、広東省当局は8月12日から(7月15日の緩和に続き)広東9都市以外の30省に拡大し、マカオへの移動のため「観光関連以外」の出国ビザを発給する。ただし、ここでもIVS(個人訪問スキーム)に対しての言及は行われておらず、段階的な緩和の一部となると見られている。

 ラスベガス・サンズのロバート・ゴールドスタイン社長兼最高執行責任者は、IVSの再開が、マカオのカジノ産業回復のために「極めて重要」であると述べた。同氏は、マカオ市場が回復するためには「3つのステップ」を踏む必要があるとし「私たちは最初の大きな一歩を踏み出し、(広東省の)検疫を解除した。第二段階はIVSの復活だが、いつになるかはわからない。最終的には、広東省を超えて、他の省も同様にオープンにする必要がある」「IVSの復活がなければ、マカオの経済的にも収入的にも、(広東省の)検疫が消滅しても、それほど影響がないほどだ」と付け加えた。また、ギャラクシーのルイ副社長は、7月24日に発表した同社のボーナスカットの決定の理由の一つとして、現時点でIVS制度の再開が明確になっていないことを挙げた。

 IVS制度の再開について、マカオ政府観光局は、7月28日時点で、中国本土の当局と「交渉を行っていない」と説明した。「7月15日以降、中国国内では省間の団体旅行を再開しているが、本土に限定されており、マカオは含まれていない」とコメントしている。


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