3年ぶりのラスベガス コロナ禍を経て不夜城は変わったのか?

岡田陽子

 コロナ禍を経て、不夜城ラスベガスは変わったのか? ほぼ3年ぶりにラスベガスのイベントに参加してきたというIT系ライターの岡田陽子さんにラスベガスの様子をレポートしてもらった。
不夜城ラスベガスの今をレポート

久しぶりの北米取材 日本側は大きく変わっていたが


 ITベンダーのイベントといえばラスベガス。毎年ここでDell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、ServiceNow、Adobeなどが自社イベントを開催します。年末に開催されるAWSのre:inventも欠かせませんね。コンシューマー向けのイベントとしてCESもあります。そのようなことから、コロナ前はよく通ったものです。砂漠の中に作られた人工的な都市で、日本からの直行便がないというアクセスの悪さでも知られています。

 さて、コロナが明けて初のラスベガス。前回が2019年の秋だったので、どうなっているか楽しみにしていました。

 ここで、今回ラスベガスに行くまでの流れを説明すると、ゴールデンウィークが明けてすぐに、SAPの取材で日本からフロリダ州オーランドに飛び、オーランドに数日滞在しました。その後ラスベガスに入るという流れです。

 羽田空港のガラガラぶりに始まり、羽田からアメリカに行くフライトでCAさんが全員マスクをしていたり、消毒用のウェットティッシュがトイレなどに置いてあったりして、コロナで旅行も変わったな、などと思っていました。

 しかしアメリカに入国するとガラリと変わります。入国審査の列は相変わらず。タイミングも悪かったのか30分は待ちました。その間、距離を取るように求められることもありません。列に並ぶ旅行者、誘導するスタッフなど、マスクをつけていない人もいます。入国審査を経て、荷物を受け取り、乗り継ぎのために外に出る、その過程でじわじわとマスクをつけた人は減ります。

 次の米国国内線。マスクをつけている人は「超」を付けていいレベルの少数派です。消毒のためのウェットティッシュも配られませんでした。空港から移動で乗ったUberの運転手はマスクを付けていましたが、聞いてみるとUberが求めていることのようです。

 フロリダでは、イベント参加者もホテルの人も、マスクをつけた人はほぼいません。フロリダからラスベガスに行くときの空港のチェックインカウンター、セキュリティチェックは長蛇の列で、旅行が戻っていることを感じます。
 

コロナ禍を経てラスベガスは様変わりして……なかった


 さてフロリダから次はラスベガスへ。ベンダーさんが手配してくれていた車の運転手はマスクなし。聞いてみると、「暑くてつけてられない。自分は4回ワクチン接種してる」とマスクをつけている私にドヤ顔で言います。

 ホテルが並ぶ有名なストリップ通りに出てみます。ラスベガスはご存じのように、砂漠の中で花の都パリにいったり、水の都ベニスにいったり、エジプトのピラミッドをみたり、宝島にいくことができます。これまでのようにネオンサインが並び、音楽が流れてきます。

 通りを歩く人は、これまでと同じとは言いませんが、いい感じに混んでいます。有名なベラージオホテルの噴水ショー、20時の部は空いているスペースがないぐらいの人でした。もちろん、マスクの姿はほとんどありません。外は32度。日本でも言われているように、この暑さでマスクを着けているのは別のリスクもありますが、私は帰国時に面倒なことになりたくないので着けて行動しました。
ラスベガス・サンズが手放したパラッツォ・ベラージョもいつも通り
ベラージオの噴水ショーも健在
ストリップ通り沿いのハラーズやリンクももちろん営業中
 ホテル1階のカジノも、たまに飛沫防止のための透明のシールドをおいているところがありましたが、人々はこれまで通りにテーブルを囲んだり、スロットに向かっています。その付近には、気をつけて探さないと消毒液はありません。

 というわけで、様変わりをしているラスベガスを期待していた読者には申し訳ないのですが、元に戻っているなということに驚きました。
 

たくましくコロナ禍を乗り切ったラスベガス


 ホテルの人によると、2020年のロックダウン時はホテルも閉鎖され、数ヶ月仕事がなかったそうです。2021年の秋頃から旅行が戻り始めたものの、まだ不安定で、イベントを予定していたが感染動向によってキャンセルということもあったそうです。ただ、2022年2月頃からキャンセルがなくなり、人が安定して増え始めたとのこと。4月のNFLドラフトのイベントで復活を感じたそうです。

 Las Vegas Convention and Visitors Authorityの数字をみると、コロナ前には最高年間4293万人だったのが2019年には1903万人に、カンファレンスでの来場のピークは2019年の664万9100人だったのが、2020年は172万7200人と一気に縮小したそう。

 しかし、ラスベガスは着々と進化していました。2021年には「リゾートワールドラスベガス(Resorts World Las Vegas)」がオープン、2022年3月には新しく「The ENGLiSH」というホテルがオープンするなど、砂漠の不夜城はコロナ禍でも拡大を続けていました。変わったと言えば、「マッカラン国際空港」の名称も「ハリー・リード国際空港」に変わっていますね。
奥に見えるのがリゾートワールドラスベガス
 ということで、ラスベガスはいつも通りに戻っていたというレポートを終わります。

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