長崎県がカジノ・オーストリアと基本協定を締結 総事業費は3500億円

JaIR編集部

 長崎県は2021年8月30日付で、九州・長崎IRの設置運営事業予定者としてカジノ・オーストリア(CASINOS AUSTRIA INTERNATIONAL JAPAN)と基本協定を締結した。あわせて提案内容を公開した。

カジノ・オーストリアの長崎IRパース

東洋文化と西洋文化を融合 (真の和洋折衷を実現)して世界都市を目指す

 カジノ・オーストリアの提案では、開業総事業費として3,500億円を想定。延べ来訪者数として
年間840万人/年を目指す。

 コンセプトは「東洋文化と西洋文化の融合 -真の和洋折衷を実現」で、九州・長崎の歴史文化を継承し、オーストリア国有企業グループの強みを活かした伝統的で高級感のあるIR施設。長崎を拠点として「観光産業革命」を実現し、九州、日本、アジア、世界、すべてが融合する世界都市を目指すという。

カジノ・オーストリアの長崎IRパース

 また、長崎県資料による、カジノ・オーストリアの実績は以下の通り。

【グループ実績】
① 世界のカジノグループ企業で厳格な世界標準規格をクリア:贈収賄防止マネジメントシステム(ISO37001)、コンプライアンスマネジメントシステム(ISO19600)
② 国有企業ならではの厳しい審査を受けたクリーンな運営実績
③ 厳格な規制を設けているEU各国でカジノ事業を実施してきた実績
④ 資金洗浄対策本部を設置し、厳しい基準を満たす運営
⑤ 欧州で培った知見を活用したギャンブル依存症対策運営

 今回、県が発表したカジノ・オーストリアの施設概要は以下の通り。

【施設概要】
・1号、2号施設(MICE施設)
国内外誘致競争に勝ち抜くため、世界トップレベルで使いやすい会議場・展示場とし、つねに最先端のICT技術を導入し続けるオンリーワンの施設。国際会議場は最大6,000席、展示場は展示総面積20,000㎡を想定

・3号施設(魅力増進施設):
多種多様なプログラムを実施できるようなモダンジャパンをコンセプトにした複数の屋内外施設。ジャパン・ハウス、ジャパン・スクエア&ジャパン・ストリートなど

・4号施設(送客施設):
来訪者の属性や趣向に合わせた最適な送客を実現し、歴史的文化財や自然等をコンテンツ化。ショーケース機能、コンシェルジュ機能など

・5号施設(宿泊施設)
国内外で高品質なホテル運営を展開する外資系ホテルブランドが運営。ラグジュアリーからデラックス、スーペリア、さらには⾼級旅館まで幅広い客層をターゲット。高層高級ホテル、ホテルヨーロッパ改装、高級温泉旅館など

・6号施設(来訪促進施設)
幅広い分野で、集客力の高い魅力的かつ最先端のコンテンツを提供。IR施設来訪者の属性・趣味嗜好、滞在中の行動データを分析・活用。コンサートホール、パレスハウステンボス・ミュージアム、メディカルモール、無人島観光、マリンアクティビティなど

・カジノ施設
オーストリア風のデザインを採用し、ヨーロッパを取り込んだ格式高い大人の社交場。ゲーミングスペースの面積はIR全体延べ床面積の3%以下に

・附帯事業等
IR区域周辺の附帯事業や長崎県・佐世保市施策への協力を通じて、陸・海・空の交通の利便性向上を図る。ラストワンマイル交通事業、大村湾海上交通事業、大村港・早岐港ターミナル運営、データプラットフォーム、航空便誘致など

 また、懸念事項対策としては、カジノ・オーストリア・グループが世界各国において培ってきた知見やネットワークを最大限に活かし、ギャンブル等依存症対策や治安維持、防災&防疫、青少年健全育成など、世界最高水準の懸念事項対策を実現するとしている。

 地域貢献・地元連携についても、地方創生や地域経済への貢献を最重視し、IR事業の実現に「共感と信頼」を得るため理解促進・合意形成に取り組む。具体的には地元調達や地元消費、環境保全促進、ハウステンボスとの連携・景観調和、スマートシティ、地元雇用、人材育成支援、住環境整備など。

 長崎県IR推進課の小宮健志課長は、記者会見で 「依存症対策や危機管理対策など、具体的な提案をしていただいてますので、審査員の高評価につながった」と話している。今後は、国の区域整備計画認定申請の受付期間に、提案書をブラッシュアップして提出していくことになる。

■関連記事

持続可能なIRを長崎で 国営企業カジノオーストリアの実績と強み
https://jair.report/article/586/

長崎IRの優先交渉権者にカジノ・オーストリアが選ばれる
https://jair.report/article/695/

長崎県がJaIRの取材に対して、オシドリの異議表明への対応を説明
https://jair.report/article/694/

オシドリが長崎IRのRFPプロセスに異議表明 改善がなければ参加取りやめも
https://jair.report/article/692/

長崎IRの第二次審査対象は残る3グループ オシドリ、カジノ・オーストリア、NIKIの戦略は?
https://jair.report/article/640/