和歌山IRを目指すサンシティグループ、2020年は資産価値変動の利益で黒字に

JaIR編集部

  香港上場のサンシティグループホールディングスは、2020年の決算を公表し、7億8640万人民元(約132億円)の純利益となったことを報告した。前年は、14億人民元(約250億円)の純損失であったが、改善の要因としては、約13億人民元(約219億円)のデリバティブ金融商品の公正価値の変動による利益によるものとしている。

 サンシティグループの日本法人、サンシティグループホールディングスジャパンは、和歌山県のIR公募に提案。同社と競合のクレアベストニームベンチャーズの2事業者が審査を受けており、この春頃にも優先権者が選定される予定の中での決算発表となった。


サンシティグループ、ベトナム・ホイアナのIR施設
 

ベトナムの新IR「ホイアナ」はコロナ影響で利益は少なく

  サンシティグループは、満期を2022年に延長した約7億香港ドル(約99.7億円)の転換社債を保有し、 また、転換社債の公正価値の変動が約2億1,350万人民元(約36億円)であったことや、ロシアのカジノオペレーターであるサミット・アセット・ホールディングス買収に伴う負ののれんによる純利益も、損失から利益への転換に貢献した。

 しかし、サンシティグループは、売上高が前年同期比67.4%減の1億9,930万人民元(約33.5億円)、連結調整後EBITDAが1億520万人民元(約17.7億円)となった。これは、 投資不動産の公正価値の変動にともなう4億1,580万人民元(約70億円)の損失、及び、3億4,560万人民元(約58億円)の投資不動産の公正価値の変動による損失も、年間利益を一部相殺することとなった。 

 同グループの収益の大半は、不動産開発、不動産リース、モールの管理・運営、ホテル・統合型リゾートの総合コンサルティングサービスの提供、旅行関連商品・サービスの提供に加え、フィリピンでの開発と、ロシア・ウラジオストクで開発中のIR「ティグレ・デ・クリスタル」の運営によるものである。 ロシア のティグレ・デ・クリスタルは、第一期のアップグレード準備が完了し、 サンシティの VIPルーム、レストラン、新しいプライベートクラブが完成した。新型コロナウィルスの影響で若干の遅れがあったものの、第二期の計画・設計が進行中である。なお、香港上場グループの事業には、サンシティのマカオでのジャンケット事業は含まれていない。

  サンシティが34%を出資するベトナムの統合型リゾート「ホイアナ」は、2020年6月の段階的なオープンから12月までの収益は、わずか約480万米ドル(約5.3億円)であった。報告書には、「ホイアナの営業開始時期は、パンデミックの最中で、海外からの渡航が制限されていたため、業績に大きな影響を与えました。当グループは、VIPルームやホテル客室の増加、飲食店や小売店の追加に備えて、引き続きこの施設を強化していきます」と記されている。 

 また、サンシティグループは、2020年12月31日時点で、銀行残高と現金、担保付銀行預金、制限付銀行預金を合わせて22億元(370億円)を保有している。

 同グループは日本でカジノのないリゾートとして、沖縄県の宮古島や北海道のニセコでリゾート開発をおこなう予定もある。宮古島では、40棟のヴィラと100室以上のホテルを開発する予定。北海道のニセコでは、グラン・ヒラフの近くに、50棟のヴィラ、20棟のタウンハウス、40室以上のホテルの開発を予定している。


■関連記事
サンシティがセーリングの世界GP大会日本チームを招きトークセッション
https://jair.report/article/556/

和歌山県のRFP、クレアベストとサンシティが提案審査書類を提出
https://jair.report/article/549/

【新型コロナのIR影響レポート・基本方針確定後】日本 1月20日版
https://jair.report/article/555/