ゲンティン・シンガポール第3四半期は黒字回復、横浜IRも引き続き視野に

JaIR編集部

 ゲンティン・シンガポールは、14日、第3四半期決算発表を行い、7月からのカジノやホテルの再開を受けて、第2四半期に比べて大幅に回復したことを示した。リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)を運営する同社は、四半期報告で、6月30日に終了した前四半期の1億6,330万シンガポールドル(約127億円)の損失に対し、第3四半期の利益は約5,450万シンガポールドル(約42億円)と報告。第3四半期の売上高は、第2四半期の4,130万シンガポールドル(約32億円)から3億シンガポールドル(約233億円)と著しく改善したが、前年同期比では、収益は66%減となった。

 シンガポールでは第3四半期中、インバウンド観光はほぼ皆無であったが、国内のカジノ客の利用により、同社のゲーミング収入は回復。新型コロナウィルスにより、4月6日からカジノが閉鎖していた第2四半期には、ゲーミング収入は650万シンガポールドル(約5億円)であったが、カジノ再開後の第3四半期には2億1,290万シンガポールドル(約165億円)の収入となった。しかし、前年同期比では41%減であった。一方、非ゲーミング収入は、第2四半期の1630万シンガポールドル(約12億円)から第3四半期には5990万シンガポールドル(約46億円)に改善した。7月1日よりリゾート・ワールド・セントーサ敷地内の水族館「シー・アクアリアム」、「ユニバーサルスタジオ」が再開し、国内需要喚起の「ステイケーション」施策の効果が反映された結果と見られる。

  また、同社は、昨年9月に発表したリゾート・ワールド・セントーサの45億シンガポールドル(約3,497億円)の大規模拡張開発を実施することを改めて表明した。加えて、同社は日本の横浜における統合型リゾート(IR)の機会について、「鋭意探究していく(keenly exploring)」と述べた。横浜IRに関して、「正式な入札プロセスが開始された際には、提案依頼書の条件や投資環境を評価し、グループの投資基準に合致するものであれば提案を行う」とコメントし、慎重に機会を見守る姿勢を見せた。

 カジノ産業メディアGGAsiaの報道によると、ゲンティン・シンガポールの第3四半期報告を受けて、メイバンク・インベストメント銀行のアナリストであるサムエルイン・シャオ・ヤン氏は、「不思議なことに、リゾート・ワールド・セントーサは、(シンガポールの)カジノ市場においてライバルである、米国拠点のラスベガス・サンズが運営するマリーナベイ・サンズよりも、多くの四半期EBITDAを生み出した。『この10年』で初めてのことだ」と語っている。


■関連資料
ゲンティン・シンガポール  第3四半期ビジネスレビュー プレスリリース
https://gentingsingaporeplc.gcs-web.com/static-files/0eacd049-0246-4700-bc84-c180086df2e9

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