メルコリゾーツ&エンターテインメントは5日、2020年第3四半期の決算を発表した。決算発表において会長兼最高経営責任者(CEO)のローレンス・ホー氏は、日本のIRライセンスを取得し、「世界が見たことのない最高のIR」を構築するために、同社の「揺るぎないコミットメント」を改めて表明した。一方で、「日本でのプロセスは大幅に遅れており、複雑な状況が続いている」とも認めた。その上で、ホー氏は、「私たちは、日本が世界で最も潜在的な新しいゲーム市場であると確信しています。現時点では、忍耐強く、日本を含むすべての開発活動に対して規律あるアプローチを維持していきます」と強調した。
一方、最高財務責任者のジェフ・デイビス氏によると、貸倒引当金は、主に第三者のジャンケットを介さずに会社が直接管理するギャンブルに関連しており、第3四半期には前年同期の1,000万ドル(10.3億円)から3,200万ドル(約33億円)に急増。デイビス氏は同社のカンファレンスコールで、貸倒引当金の変更は、利息、課税、減価償却および償却前利益(EBITDA)に前年同期比では、約2,200万ドル(約22.8億円)マイナスの悪影響を及ぼしたとコメントした。
メディアGGAsiaの報道では、サンフォード・バーンスタイン社のアナリストは、貸倒引当金は「主に直接のVIPに関連しており、一部にはプレーヤーの返済が遅いためだ。プレーヤーはマカオに戻りたいときに借金を返済することがよくある」と述べており、「より多くのプレーヤーが戻ってくるにつれて、貸出金は減少し始めるはずだ」と付け加えた。
メルコリゾーツの2020年第3四半期(7月~9月までの期間)の総営業収益は、第2四半期からは21%増加し、2億1,290万ドル(約13億円)をわずかに下回った。しかし、営業収益は、前年同期の14億4,000万ドル(約1,492億円)から85%減少。原因としては、「総営業収入の減少は、主に新型コロナウィルスによるパンデミックの結果、すべてのゲーミングセグメントと非ゲーミング事業の業績が低下し、2020年第3四半期のインバウンド観光が大幅に減少したことに起因している」と述べた。2020年上半期に比べると訪問者数は増加しているものの、マカオは7月から9月の間の訪問者は約75万200人で、前年同時期に比べると92.4%減少であった。
GGAsiaによると、ロス・キャピタルパートナーズ社のアナリスト、デビッド氏はメルコリゾーツが、EBITDA損益分岐点の目標値を引き下げたと発表したことについて、「収入の正常化(30%から35%の範囲)は、20%台半ばから20%台後半まで回復している。 プレミアムマスがマカオの回復を牽引し続ける」とコメントした。
結果として、メルコリゾーツの2020年第3四半期は3億3,160万ドル(約343.6億円)の純損失を報告。前年同期の収益は8,320万ドル(約86億円)であった。それでも、今年第2四半期と、今回の第3四半期の損失を比較すると、3億6,810万ドル(約381.4億円)少なくなったと説明した。
同社は9月30日の時点で、現金と銀行の残高は約19億ドル(約1,969億円)で、7月30日から7億ドル(約725.4億円)増加したと述べた。
また、新しいシニアノートを発行しており、既存株主へスタジオ・シティの株式分配後も、未使用(引出し可能な)の約17億ドル(約1,761億円)のリボルバー枠を持っているとしている。それにもかかわらず、グループの調整済み不動産EBITDAは、2019年第3四半期はプラス約4億1,820万ドル(約433億円)の調整済み不動産EBITDAと比べ、第3四半期にはマイナスで約7670万ドル(約79億円)になった。
メルコリゾーツが運営する、マカオのスタジオ・シティ・カジノリゾートでは、第3四半期の調整後EBITDAは、前年同期の1億640万ドル(約110億円)近くのプラスであったが、今期は2,170万ドル(約22.4億円)のマイナス。売上高は、前年同期の3億3,770万ドル(約350億円)に対し、3,080万ドル(約32億円)であった。ホー氏は、スタジオシティでは「すべてのゲームセグメントでパフォーマンスが低下し、ゲーム以外の収益が減少した」にもかかわらず、リゾートの拡張工事は「進行中」だと語った。
また、同社のキプロスでのプロジェクト「シティ・オブ・ドリームス・メディテラニアン」の建設が進行中だが、キプロス政府は新型コロナウィルスによる夜間外出禁止令を発表するなど、影響が続く。同社は、「新型コロナウィルスの発生は、スタジオシティ第2期プロジェクトの建設とシティ・オブ・ドリームス地中海プロジェクトの建設工事の進捗にも影響を与えています。現在のところ、これらのプロジェクトの建設を完了するには追加の時間が必要になると予想されています」と述べた。
フィリピンにある同社のシティ・オブ・ドリームス・マニラリゾートは、第3四半期の調整後EBITDAが前年同期の4,990万ドル(約51億円)から520万ドル(約5.3億円)に減少した。2019年第3四半期の1億3,050万ドル(約135億円)に対し、収益は4,340万ドル(約45億円)。同施設では、6月19日以降、人数制限のある中でゲーミングとホスピタリティ事業の試運転を行っていることを強調した。
■関連資料
Melco Resorts & Entertainment Limited (MLCO) Q3 2020 Earnings Call Transcript
メルコリゾーツ&エンターテインメント 2020年第3四半期決算発表での質疑応答
By MFTranscribers Nov 5, 2020 at 10:31PM
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2020/11/05/melco-resorts-entertainment-limited-mlco-q3-2020-e/
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メルコリゾーツの業績は「緩やかに回復」
ホー氏は、中国本土が、同社の主要なマーケットであるマカオへの旅行の制限を緩和したため、第3四半期の同社の業績は「緩やかに回復」したとコメント。新型コロナウィルス感染症の影響がある中で、8月26日から隣接の中国・広東省、9月23日から中国本土の住民と、段階的にマカオへの訪問が緩和されてきた。ホー氏は、9月1日に中国政府が開始したマカオに来る中国本土の観光客のための支出刺激策などの「最近の前向きな進展に勇気づけられた」と述べた。一方、最高財務責任者のジェフ・デイビス氏によると、貸倒引当金は、主に第三者のジャンケットを介さずに会社が直接管理するギャンブルに関連しており、第3四半期には前年同期の1,000万ドル(10.3億円)から3,200万ドル(約33億円)に急増。デイビス氏は同社のカンファレンスコールで、貸倒引当金の変更は、利息、課税、減価償却および償却前利益(EBITDA)に前年同期比では、約2,200万ドル(約22.8億円)マイナスの悪影響を及ぼしたとコメントした。
メディアGGAsiaの報道では、サンフォード・バーンスタイン社のアナリストは、貸倒引当金は「主に直接のVIPに関連しており、一部にはプレーヤーの返済が遅いためだ。プレーヤーはマカオに戻りたいときに借金を返済することがよくある」と述べており、「より多くのプレーヤーが戻ってくるにつれて、貸出金は減少し始めるはずだ」と付け加えた。
メルコリゾーツの2020年第3四半期(7月~9月までの期間)の総営業収益は、第2四半期からは21%増加し、2億1,290万ドル(約13億円)をわずかに下回った。しかし、営業収益は、前年同期の14億4,000万ドル(約1,492億円)から85%減少。原因としては、「総営業収入の減少は、主に新型コロナウィルスによるパンデミックの結果、すべてのゲーミングセグメントと非ゲーミング事業の業績が低下し、2020年第3四半期のインバウンド観光が大幅に減少したことに起因している」と述べた。2020年上半期に比べると訪問者数は増加しているものの、マカオは7月から9月の間の訪問者は約75万200人で、前年同時期に比べると92.4%減少であった。
GGAsiaによると、ロス・キャピタルパートナーズ社のアナリスト、デビッド氏はメルコリゾーツが、EBITDA損益分岐点の目標値を引き下げたと発表したことについて、「収入の正常化(30%から35%の範囲)は、20%台半ばから20%台後半まで回復している。 プレミアムマスがマカオの回復を牽引し続ける」とコメントした。
結果として、メルコリゾーツの2020年第3四半期は3億3,160万ドル(約343.6億円)の純損失を報告。前年同期の収益は8,320万ドル(約86億円)であった。それでも、今年第2四半期と、今回の第3四半期の損失を比較すると、3億6,810万ドル(約381.4億円)少なくなったと説明した。
同社は9月30日の時点で、現金と銀行の残高は約19億ドル(約1,969億円)で、7月30日から7億ドル(約725.4億円)増加したと述べた。
また、新しいシニアノートを発行しており、既存株主へスタジオ・シティの株式分配後も、未使用(引出し可能な)の約17億ドル(約1,761億円)のリボルバー枠を持っているとしている。それにもかかわらず、グループの調整済み不動産EBITDAは、2019年第3四半期はプラス約4億1,820万ドル(約433億円)の調整済み不動産EBITDAと比べ、第3四半期にはマイナスで約7670万ドル(約79億円)になった。
メルコリゾーツが運営する、マカオのスタジオ・シティ・カジノリゾートでは、第3四半期の調整後EBITDAは、前年同期の1億640万ドル(約110億円)近くのプラスであったが、今期は2,170万ドル(約22.4億円)のマイナス。売上高は、前年同期の3億3,770万ドル(約350億円)に対し、3,080万ドル(約32億円)であった。ホー氏は、スタジオシティでは「すべてのゲームセグメントでパフォーマンスが低下し、ゲーム以外の収益が減少した」にもかかわらず、リゾートの拡張工事は「進行中」だと語った。
また、同社のキプロスでのプロジェクト「シティ・オブ・ドリームス・メディテラニアン」の建設が進行中だが、キプロス政府は新型コロナウィルスによる夜間外出禁止令を発表するなど、影響が続く。同社は、「新型コロナウィルスの発生は、スタジオシティ第2期プロジェクトの建設とシティ・オブ・ドリームス地中海プロジェクトの建設工事の進捗にも影響を与えています。現在のところ、これらのプロジェクトの建設を完了するには追加の時間が必要になると予想されています」と述べた。
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