サンシティ・グループ20年上半期業績発表、コロナ禍でも損失縮小

JaIR編集部

 香港上場のIR事業及び不動産業を展開するサンシティ・グループ・ホールディングス・リミテッド(以下、サンシティ)は、8月28日、2020年上半期の未監査財務データを発表した。新型コロナウィルスの影響を受け、2020年上半期は1億1,860万元(約18.2億円)の損失を計上。しかし、2019年の同期に計上した損失12億5,420万元(約192億円)と比較すると損失が縮小した。

 同社グループはIRへの投資・運営、中国本土での不動産動産の開発・リース、旅行サービス業など広く手掛けており、グループ事業の大半において新型コロナウィルスの影響を受け、収益が前年比70%減の9,370万元(約14.4億円)となった。ホテル及び統合型リゾート総合コンサルティングサービス事業だけで見ると、第2四半期は約690万人民元(約1.6億円)の収益を計上、前年同時期の約710万人民元(約1.9億円)に比べて利益が減少した。


ベトナム・ホイアナでのIR完成予定図


 IR事業ではベトナム・ホイアナIRでの限定内覧会を6月に開催できたことが、上半期の大きなニュースであった。ホイアナIRは6月28日に独占内覧会を行い、上半期決算には内覧会オープン後の3日間だけが計上されているが、新型コロナウィルスによる海外との渡航制限期間中ということもあり、営業3日間のゲーミング総収入はマイナスを記録した。

 同社のアルビン・チャウ会長は、「サンプルサイズが小さいため、ホイアナでの3日間のオペレーションは、新しくオープンした統合型リゾートの期待されたパフォーマンスを正確に反映することはできませんでした。当社は、2021年のグランドオープンに向けて、VIPルーム、ホテルの客室、飲食店、小売店の増設などの準備を進めております」とコメント。上半期以降、ホイアナは7月と8月ともにゲーミング収入がプラスに転じたことを付け加えた。

 さらにチャウ会長は、「現在、ホイアナ・サンシティのマスゲーミングフロアでは、サンシティのロゴが空中高く表示されており、サンシティ・グループにとっては初の試みとなります。以前はサンシティは、統合型リゾートシーンでは無名でした。今ではゲーミングライセンス、統合型リゾート、そして長年の旅行業務で構築された独自の顧客データベースを所有しています。 私は最高のものがまだ来ると信じています」とコメントした。さらに、ホイアナの「グランドオープンは、パンデミックの状況が落ち着く2021年に整います」と来年への決意を述べた。

 また、同社の子会社が保有するロシア・ウラジオストクのIR、ティグレ・デ・クリスタルは、 第2四半期の期間中、現地政府の要請に従い、閉鎖を余儀なくされた。チャウ会長は、「ティグレ・デ・クリスタルの第2四半期はほぼゼロに近い収益で運営されていました。私はまた、パンデミックが存在しなかったら、マニラ(フィリピン)のウエストサイド・シティ・プロジェクトの起工式に出席していたはずだった。国境を越えた政府の政策は様々で、短期的に新型コロナウィルスがサンシティにどれだけのコストをかけることができるかを決定するのは不可能な作業でした」と述べ、アジアやロシアでIR事業を急拡大している矢先の予期せぬコロナ禍による影響について語った。

 チャウ会長は続けて、「とはいえ、明るい兆しもあった。マカオは IVS旅行者(※編集部注、中国本土からの個人訪問スキームによる旅行者)への観光ビジネスを再開したこと、ホイアナは操業停止を命じられることはなかったこと、ティグレ・デ・クリスタルは 7月16日以降の再開を最終的に許可されたこと、ウエストサイド・シティ・プロジェクトへの操業上の影響はなかったことです。また、2020年上半期において、サンシティは91%の損失を縮小することができたことを報告したい」とコメントし、今後の明るい兆しを付け加えた。

 同社が今後予定しているIRプロジェクトとしては、前述のベトナムのホイアナ、ロシアのティグレ・デ・クリスタル、フィリピンのウエストサイド・シティ・プロジェクトがあり、それに加えて、チャウ会長は、「日本の宮古島でのホテル&リゾート開発などが含まれますが、これらに限定されません」と述べた。同社の子会社、サンシティ・グループ・ホールディングス・ジャパンでは和歌山IRのRFP(企画提案)を控えているが、今回の上半期報告では和歌山に関する具体的な言及はなかった。


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