カジノ・オーストリアの監査役員会、500人の人員削減を伴うリストラ計画を承認

JaIR編集部

 長崎IRに名乗りを挙げているカジノ・オーストリア・インターナショナル(CAI)の親会社であるカジノ・オーストリア(CA)の監査役員会が、現地時間7月8日に行われ、2022年までに4,000万ユーロ(約50億円)のコスト削減、500人の人員削減を伴う「ReFIT」と呼ばれるリストラ計画を実施することを承認した。

 新型コロナウィルスの影響による観光客の減少、都市封鎖によるカジノ閉鎖によって、CAの今年の損失は6,500万ユーロ(約80億円)に達する見込みだ。オーストリア国内では、カジノ施設が3月16日から5月29日まで休業しており、またオーストリア国内での喫煙禁止施策の導入も顧客減少に影響していた。この状況下でのリストラ計画は「会社の歴史上最大の再編成」であり、残り1,200人の雇用枠を守るためとされる。残留する本社従業員やカジノ従業員も給与の最大25%がカットされ、企業年金が減額される可能性がある。この計画が成功した場合、CAが運営するオーストリア国内のカジノ12か所は、現在のコンセプトに従って残る予定だ。



 CAの大株主であるロバート・フバータル氏は、「これは、会社の構造や世界の変化により非常に困難な状況にある会社を救うためのものだ。我々はカジノを売却したいのではなく、将来のためにカジノを適合させたい」と述べた。

 CAのゼネラル・ディレクター、ベッティーナ・グラッツ・クレムスナー氏は、「長期的にはオーストリアの『ゲーミングプロバイダー』としてのCAの地位を確保することになるだろう」と述べ、「他の多くの企業と同様に、CA はコロナ危機で大きな打撃を受け、取締役会、監査役員会、オーナーは迅速かつ責任を持って行動する必要があった。特に、新型コロナウィルスにより予想される結果は、近い将来、私たちにも大きな困難をもたらすことになるからだ。しかし、この危機が起こる前から、私たちのカジノや本部の枠組みの条件が変わったこと、そして少なくとも喫煙禁止のために、行動を起こす必要性が明らかにあった」と付け加えた。フバータル氏とクレムスナー氏両者ともに、この戦略に満足しており、自分たちが選んだ方向性を支持していることを明らかにした。

 また、監査役員会は、従業員代表との対話の中で、すべての従業員の利益のために適切な措置を講じることができるよう、可能な限り最善の合意を行うとする。クレムスナー氏は、「これからの数週間から数か月は、より困難なものになるだろう。現在のコンセプトがうまく実行されれば、会社はこれまで以上に強力に成功するだけでなく、CAと関連する仕事の卓越した地位を確保できる。従業員は優れた仕事をしており、過去において会社の利益のために行動する準備ができていることを常に証明してきた」と述べた。

 CAの大株主、オーストリア政府系投資会社ÖBAGの役員であるトーマス・シュミット氏は、「私たちは、この計画に数週間かけて懸命に取り組んだクレムスナー氏が率いる専門家チームの『ReFIT』の提言を支持する。このコンセプトは、事実、数字、そして素晴らしい判断力と、他の市場からの貴重なインプットに基づいている。しかし、1,200人の雇用に削減することで、会社の従業員のことも考慮に入れている。経営陣は、会社を再び安定させるために、私たちの全面的なサポートを受けている」と述べた。続けて「提案された対策が実行されなければ、会社は成功を維持することができない。CAはÖBAGのポートフォリオの中で重要な会社だ。大手ツアーオペレーターであり、納税者でもある同社は、ビジネスの拠点としてオーストリアに多大な貢献をしている。長期的な株式価値の向上とプレーヤーの保護は、CAの企業戦略を成功させるための中心的な礎となっている」とコメントし、計画の実行を支援していく。

 なお、子会社であるCAIはグループにおける国際事業を担っているが、リストラ計画には、グループ事業は、親会社CAとは強力な運営上の分離を図り、無駄のない独立したCA本社を設立するとの言及がある。


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