【新型コロナのIRへの影響レポート】ラスベガスから始まるウィズコロナ時代の新たな潮流 (1/3)
新型コロナウィルスの影響を受けて、IRやカジノのビジネスを取り巻く環境が変化してきているが、ラスベガスでの9~10月の新たな動きを整理すると、「エンターテインメント・ショーの復活」「コンベンション再開計画」「ホテル売却による再編」「新型ホテルの開業」「アリーナやコンベンション施設の建設・開業」「スポーツベッティングの拡大」が項目として浮かび上がる。日本型IRビジネスレポート(JaIR)では、IRがある主要な地域の新型コロナウィルス関連の動向を配信しているが、今回はラスベガスの最新動向をトピックス別にお届けする。
しかしながら、10月1日からのネバダ州のイベント規制緩和より、ようやくショーが再始動した。10月20日の現地報道によると、MGMリゾーツは、「ブラッド・ギャレットのコメディ・クラブ」、「キャロット・トップ」、「オーストラリアのビージーズ」、「サンダー・フロム・ダウンアンダー」、「ファンタジー」、「ジャバウォーキーズ」、「デビッド・カッパーフィールド」の7つのショープログラムを、11月6日から再開することを発表。ルクソールホテルの「ファンタジー」、ジャバウォーキーズの「タイムレス」ショーなどいくつかのショーは以前より大規模な会場に場所を移し、ステージと観客の間に間隔を設け、観客数は最大250人に限定して実施される。
カッパーフィールドのイリュージョンは閉鎖前と同じように、MGMグランドの彼の名を冠した劇場で週15回のショーを実施予定。オーストラリアのビージーズとサンダー・フロム・ダウンアンダーは、エクスカリバーのサンダーランド・ショールームに戻ってくる。ジャバウォーキーズはMGMグランドのアリーナに移動し、17,000人収容の1.5%(225人規模)の客席で公演される。
ウィン・ラスベガスでは前述の通り「ル・レーヴ」が閉鎖・解散となり、さらに「アンコール・シアター」も閉鎖で停滞する中、10月7日に「レイク・オブ・ドリームズ」という最新作のアトラクションが施設内で公開された。箱型のショーではなく、施設のいたるところで楽しむことが出来るディスプレイで、投資額は1400万ドル(約14億円)にのぼる。プロダクション・デザイナーのマイケル・ケリー氏は、エミー賞を受賞した演出家、振付師、プロデューサーで、クリエイティブチームらと組み、ショーを完成した。「夢の湖」は、アニメーションキャラクターが主役であり観客は水を挟み、自然で安全な社会的距離から、楽しむことが出来る。このショーは、現時点でウィン・ホテルの唯一の大規模なエンターテインメントとなる。
ストラット・ホテル・カジノ&スカイポッドでは、マイケル・ジャクソン・トリビュート・コンサート「MJ LIVE」が11月4日に公演再開を予定している。チケットは現在販売中で、57.50ドル(約6000円)から。ホテルカジノの公共スペース内のすべてのゲストには、マスク、フェイスカバー、またはフェイスシールドが必要だ。
シーザーズのエンターテインメント・コンテンツである「テープ・フェイス」は、11月11日にハラーズ・ラスベガスで復活する。このショーは、ネバダ州の規制に準拠し、最大250人までの制限となる。ショーではファンとの交流が重要な要素であるが、例えばステージ上で観客すべてに向けて質問に答えるというようにアレンジされるなど、内容は完全に再設計される。劇場は、従来使用していたハウス・オブ・テープではなく、社会的な距離を保つためにハラーズ・ショールームでの上演となる。
以上のように、まず最大250人規模からの再開となるが、エンタテインメント都市ラスベガスの復活に向けて、ようやく一歩前進となった。
ラスベガス・サンズは、ネバダ州のイベント緩和以前に、シソラック州知事やその他のコンベンション業界の専門家を対象に 9月に数日間、試験的なイベントを実施し、コンベンションでの安全計画をチェックした。サンズ・エキスポの展示ホールの、29万6,000平方フィート(約2万7,499平方メートル)の会場においてソーシャルディスタンシングを想定した模擬的なトレードショーを開催し、ガイドラインを確認した。
9月末には、MGMリゾーツが、会議とコンベンションを復活させる計画として「Convene With Confidence 計画」を発表した。この計画は現場での新型コロナ検査ツールを普及させ、安全にアメリカ各地での同社施設でイベントを再開することを目的とする。MGMリゾーツではカジノ再開後に現場で得た感染症対策の知見、最先端の技術、専門家との協議を反映させている。同社は、バーチャル、ハイブリッド、および対面式のイベントを提供するモデルも提案。対面を含むイベントの際には、会場に入る前に検査のタッチレス・キオスクを使用する。ゲストは生体認証会社CLEARのモバイルアプリケーションにアカウント登録し、会場に入る前にアプリを通じて自撮りで本人確認を行い、検査を行い、アプリ上で検査結果通知を得る仕組み。
ウィン・ラスベガスのCEOマット・マドックス氏は、10月1日からのイベント緩和を受け、現地メディアに対し、新型コロナ流行の中で、ラスベガスがどのようにしてコンベンションやエンターテインメントを復活させることができるかを論説し、ショー、コンベンション、ナイトクラブ、その他州が義務付ける「大集会」に該当する場合、参加する従業員やゲストに対して検査を義務付けるとコメント。同氏は、「ラスベガスは、このストレスの多い時期に楽しみながらくつろげる場所でなければならない」と語り、大きくは「迅速な検査の導入」と「安全な場所の創出」がネバダ州の経済回復をいかに加速させるかを述べた。
このように主なオペレーターは、コンベンション再開に向けた準備を整えているが、一方で、例年ラスベガスで開催されている国際的な大型イベントは、2020年は中止や延期、あるいはオンライン開催に置き換わる動きが見られる。例年ラスベガスで開催されているグローバルゲーミングエキスポ(G2E)は、10月に完全オンライン開催となる。他にも、ラスベガスで例年行われる世界最大の技術見本市「CES」は、2021年1月6日~9日(現地時間)に開催を予定していた見本市をオンラインによるオールデジタル開催にすると発表。2022年はリアルとデジタルを組み合わせて、再びラスベガスでの開催が予定されている。アマゾン・ウェブ・サービス (AWS)の年次カンファレンスイベント「AWS re:Invent」は例年ラスベガスで12月に4~5日間開催されていたが、2020年は12月にオンライン開催となることが発表された。
エンターテインメント・ショーの復活
新型コロナによるラスベガスのエンターテインメントへの主な影響を挙げると、ウィン・リゾーツの「ル・レーヴ」は閉鎖となり解散、MGMリゾーツで行われていたシルク・ドゥ・ソレイユのショーも、シルクの経営悪化によりスタッフの一時解雇が行われ、MGMの一部のエンターテインメントスタッフも一時解雇となっていた。しかしながら、10月1日からのネバダ州のイベント規制緩和より、ようやくショーが再始動した。10月20日の現地報道によると、MGMリゾーツは、「ブラッド・ギャレットのコメディ・クラブ」、「キャロット・トップ」、「オーストラリアのビージーズ」、「サンダー・フロム・ダウンアンダー」、「ファンタジー」、「ジャバウォーキーズ」、「デビッド・カッパーフィールド」の7つのショープログラムを、11月6日から再開することを発表。ルクソールホテルの「ファンタジー」、ジャバウォーキーズの「タイムレス」ショーなどいくつかのショーは以前より大規模な会場に場所を移し、ステージと観客の間に間隔を設け、観客数は最大250人に限定して実施される。
カッパーフィールドのイリュージョンは閉鎖前と同じように、MGMグランドの彼の名を冠した劇場で週15回のショーを実施予定。オーストラリアのビージーズとサンダー・フロム・ダウンアンダーは、エクスカリバーのサンダーランド・ショールームに戻ってくる。ジャバウォーキーズはMGMグランドのアリーナに移動し、17,000人収容の1.5%(225人規模)の客席で公演される。
ウィン・ラスベガスでは前述の通り「ル・レーヴ」が閉鎖・解散となり、さらに「アンコール・シアター」も閉鎖で停滞する中、10月7日に「レイク・オブ・ドリームズ」という最新作のアトラクションが施設内で公開された。箱型のショーではなく、施設のいたるところで楽しむことが出来るディスプレイで、投資額は1400万ドル(約14億円)にのぼる。プロダクション・デザイナーのマイケル・ケリー氏は、エミー賞を受賞した演出家、振付師、プロデューサーで、クリエイティブチームらと組み、ショーを完成した。「夢の湖」は、アニメーションキャラクターが主役であり観客は水を挟み、自然で安全な社会的距離から、楽しむことが出来る。このショーは、現時点でウィン・ホテルの唯一の大規模なエンターテインメントとなる。
ストラット・ホテル・カジノ&スカイポッドでは、マイケル・ジャクソン・トリビュート・コンサート「MJ LIVE」が11月4日に公演再開を予定している。チケットは現在販売中で、57.50ドル(約6000円)から。ホテルカジノの公共スペース内のすべてのゲストには、マスク、フェイスカバー、またはフェイスシールドが必要だ。
シーザーズのエンターテインメント・コンテンツである「テープ・フェイス」は、11月11日にハラーズ・ラスベガスで復活する。このショーは、ネバダ州の規制に準拠し、最大250人までの制限となる。ショーではファンとの交流が重要な要素であるが、例えばステージ上で観客すべてに向けて質問に答えるというようにアレンジされるなど、内容は完全に再設計される。劇場は、従来使用していたハウス・オブ・テープではなく、社会的な距離を保つためにハラーズ・ショールームでの上演となる。
以上のように、まず最大250人規模からの再開となるが、エンタテインメント都市ラスベガスの復活に向けて、ようやく一歩前進となった。
コンベンション再開計画
10月1日からネバダ州のイベント規制が緩和となり、250人規模のイベント実施が可能となったが、IRオペレーターはコンベンションでの安全性確保を確認し、コンベンションを復活させる計画を発表している。MICEの復活が、今後のラスベガス回復の鍵を握ると言われているだけに、慎重に進められている。ラスベガス・サンズは、ネバダ州のイベント緩和以前に、シソラック州知事やその他のコンベンション業界の専門家を対象に 9月に数日間、試験的なイベントを実施し、コンベンションでの安全計画をチェックした。サンズ・エキスポの展示ホールの、29万6,000平方フィート(約2万7,499平方メートル)の会場においてソーシャルディスタンシングを想定した模擬的なトレードショーを開催し、ガイドラインを確認した。
9月末には、MGMリゾーツが、会議とコンベンションを復活させる計画として「Convene With Confidence 計画」を発表した。この計画は現場での新型コロナ検査ツールを普及させ、安全にアメリカ各地での同社施設でイベントを再開することを目的とする。MGMリゾーツではカジノ再開後に現場で得た感染症対策の知見、最先端の技術、専門家との協議を反映させている。同社は、バーチャル、ハイブリッド、および対面式のイベントを提供するモデルも提案。対面を含むイベントの際には、会場に入る前に検査のタッチレス・キオスクを使用する。ゲストは生体認証会社CLEARのモバイルアプリケーションにアカウント登録し、会場に入る前にアプリを通じて自撮りで本人確認を行い、検査を行い、アプリ上で検査結果通知を得る仕組み。
ウィン・ラスベガスのCEOマット・マドックス氏は、10月1日からのイベント緩和を受け、現地メディアに対し、新型コロナ流行の中で、ラスベガスがどのようにしてコンベンションやエンターテインメントを復活させることができるかを論説し、ショー、コンベンション、ナイトクラブ、その他州が義務付ける「大集会」に該当する場合、参加する従業員やゲストに対して検査を義務付けるとコメント。同氏は、「ラスベガスは、このストレスの多い時期に楽しみながらくつろげる場所でなければならない」と語り、大きくは「迅速な検査の導入」と「安全な場所の創出」がネバダ州の経済回復をいかに加速させるかを述べた。
このように主なオペレーターは、コンベンション再開に向けた準備を整えているが、一方で、例年ラスベガスで開催されている国際的な大型イベントは、2020年は中止や延期、あるいはオンライン開催に置き換わる動きが見られる。例年ラスベガスで開催されているグローバルゲーミングエキスポ(G2E)は、10月に完全オンライン開催となる。他にも、ラスベガスで例年行われる世界最大の技術見本市「CES」は、2021年1月6日~9日(現地時間)に開催を予定していた見本市をオンラインによるオールデジタル開催にすると発表。2022年はリアルとデジタルを組み合わせて、再びラスベガスでの開催が予定されている。アマゾン・ウェブ・サービス (AWS)の年次カンファレンスイベント「AWS re:Invent」は例年ラスベガスで12月に4~5日間開催されていたが、2020年は12月にオンライン開催となることが発表された。