マリーナベイ・サンズの実績とMICEの強みをアピールしたラスベガス・サンズ

大谷イビサ(JaIR編集部)

 [関西]統合型リゾート産業展のオペレーター講演で「大阪で、世界で最も成功する統合型リゾートを」というタイトルで講演したのはラスベガス・サンズのジョージ・タナシェヴィッチ氏。ラスベガスやマカオ、そしてIRの成功例として引き合いに出されるマリーナベイ・サンズなどでの実績をアピールした。

ラスベガス・サンズ グローバル開発 マネージング・ダイレクター マリーナベイ・サンズ 代表執行役 兼 CEO ジョージ・タナシェヴィッチ氏


「統合型リゾート=カジノ」を払拭するデータと実績


 大阪における統合型リゾートの開業に意欲を示すラスベガス・サンズ。「われわれはまだまだ理解が足りない。『IR=カジノ』と考えている」と指摘したタナシェヴィッチ氏は前半に披露したのは、統合型リゾートの基礎的な概念やファクトだ。

 「統合型リゾートはカジノでありません」というスライドによると、IRの収益源として確かにゲーミング(=カジノ)は大きいが、サンズの運営しているIR施設においては、ゲーミングの占める面積は平均3%に過ぎないという。ラスベガスではすでに99%がノンゲーミングで、ホテルの面積が5割以上を占め、残りが小売り店舗、MICE、飲食店、エンターテインメント、バックヤードになる。

 統合型リゾートは、カジノ以外のさまざまなビジネスを複合化させることで、収益を多様化し、経済効果を多くの業界に波及させることができる。また、成功したIRはホストとなる都市のグローバルでの地位とブランドを引き上げ、ローカルでの雇用も創出する。マリーナベイ・サンズでは650以上の職種で、1万人以上のチームが働いているという。

 統合型リゾートで重要なのは、まさに「統合されていること」だという。「単独のビジネスの寄せ集めではない。どのような形でいっしょにやっていけばよいのかを効率的に考えていかなければならない。ある一部分ではプラスにはならないかもしれないが、全体的に見たらプラスであるということもある」とタナシェヴィッチ氏は指摘する。また、内部的な統合だけではなく、事業者と政府、地元、周辺環境、観光業界とも緊密に連携することが重要だ。


統合型であることが重要

 当然、周辺社会と連携するためには、もちろんギャンブル対策も重要になる。マリーナベイ・サンズのあるシンガポールでは、すべての利害関係者が連携して、さまざまな規制と施策を行なうことで、ギャンブル依存症への対策は年々効果を挙げているという。

 カジノ規制庁は2013年に16名で構成される「責任あるゲーミングフォーラム」を結成し、同年にはゲーミング規制と法律をスピーディに発表している。また、従業員へのトレーニングも施し、継続的なモニタリングを行ない、2019年にも政府とIRが共同研究を実施し、ギャンブル行為を管理するための支援情報をゲストに提供しているという。

 また、地域社会と連携するCSR活動も展開している。マリーナベイ・サンズの慈善事業プログラムである「サンズ・フォー・シンガポールフェスティバル」は2013年にスタートし、1万人の従業員のほか、パートナー企業や有名人の協力を得て、慈善団体に対して約19億円を集めたという。
 

30年近くに渡るMICE事業に強み マリーナベイ・サンズでも大きな成功


 ラスベガス・サンズは、ラスベガスのみならずマカオ、シンガポールなどで事業を展開するグローバルオペレーターだ。全米屈指のMICEである「サンズ・エキスポ&コンベンションセンター」を擁するラスベガスでの事業はもちろん、IRの代表的な成功事例として知られるシンガポールのマリーナベイ・サンズも運営している。

 特に強いのはMICE施設だ。サンズが米国初の個人所有・運営のMICE施設であるサンズ・エキスポ&コンベンションセンターをラスベガスのストリップに建設したのは1990年。その後、1999年にはエキスポの横に、全室スイート、高級レストラン、ショッピングセンター、ゴンドラなどを備えたザ・ベネチアンを開業した。

 ザ・ベネチアンはギャンブラー向けに安価なビュッフェと客室を提供するというこれまでのラスベガスの状況を一変させた。ザ・ベネチアンの開業後、北米の上位40の展示会がラスベガスで開かれるようになり、コンベンションの来場者も1990年から2017年で約3倍の660万人に拡大した。

 ギャンブルの街だったマカオも、120万㎡を誇るザ・ベネチアン・マカオの建設で大きく変わった。その後も複数のMICE施設を導入したことで、現在マカオのMICE施設のうち、サンズの施設は88%を占めるという。その結果、2002年には3万8000人だったマカオのMICE来場者は、2017年には190万人になり、およそ50倍に膨らんだ。マリーナベイ・サンズを擁するシンガポールでは、サンズ・エキスポ・アンド・コンベンションセンターで毎年3000件以上のイベントを開催している。
 

日本のIRにおいてもノンゲーミング分野を重視


 ラスベガス・サンズは、MICEや客室、小売り、コンサートの席数などゲーミング以外のアメニティでも市場をリードしており、日本のIRにおいてもこうしたノンゲーミング分野を重視していくという。また、時代にあわせたトレンドを取り込み、競合に勝っていくためには再投資も重要になる。たとえば、マリーナベイ・サンズの場合、開発のための約56億米ドル(約4,870億円)をかけ、その後現在までに約11億米ドル(約1,210億円)の追加投資を行なっている。4年ごとにホテルの2561客室を全改装し、スカイパークも刷新。また、MICE施設のボードルーム、光と水のショー、スケートリンク、パビリオンなども新設・リニューアルを施し、2019年にはナイトアトラクションも充実させる。

 マリーナベイ・サンズは約33億米ドル(約3,630億円)の再投資でさらなる拡張が進められることも発表されている。1万5000席のアリーナを建設し、MICE施設も拡張され、30~40%程度増床する。さらに今のタワー群の横に全室スイートというタワー型ホテルが新設される予定。タナシェビッチ氏は新マリーナベイ・サンズのイメージビデオを披露した。



 地元企業との連携もアピールし、マリーナベイ・サンズでも8~9割の具材を地元から調達しているという。「地元調達はわれわれの基本的なビジネスのやり方。これは日本、大阪、関西においても同じようにやっていきたい」(タナシェヴィッチ氏)。

 最後、タナシェヴィッチ氏は、「世界でもっとも価値の高いゲーミング企業」「上位3位のゲーミング市場すべてでライセンスを得ている唯一の事業者」「世界最大のゲーミング市場、マカオで最大の地位を持っている」「ゲーミング以外のアトラクションでも確固たる評価」「マリーナベイ・サンズは日本でもつねに引用されるベンチマーク」などのポイントを挙げて、ラスベガス・サンズについてアピール。「大阪でも素晴らしい成功を収めることができる。みなさんの市場に成功をもたらしたい」と語る。

■関連サイト
ラスベガス・サンズ
http://sandsjapan.com/