2019年7月6日、ホテルメトロポリタン池袋にて、マカオ大学が主催のオープンフォーラム「日本型統合リゾート~健全社会のIRを目指して」が開催された。観光庁やオペレーターのセッションのほか、IRに舵を切ったマカオの成功に学ぶためのパネルディスカッションも行なわれた。
同大学アジア太平洋経済経営研究所のジャッキー・ソー所長の開会の挨拶の後、国土交通省観光庁審議官の秡川(はらいかわ)直也氏の基調講演、メルコリゾーツ&エンターテインメントのエグゼクティブ・バイスプレジデント ケリー・アキコ・タカハシ氏の講演、ギャラクシー・エンターテインメント・グループの日本地区最高執行責任者のテッド・チャン氏の講演が行なわれた。
秡川審議官は昨年10月に、自費で義理の父、娘とIR先行の地であるシンガポールに行った話から、一般市民のIRへの理解の低さや、実際に触れてみての印象の様変わりから、基本的なIRの説明を行ない、最終的には「未体験の、日本でしか出来ない、誰もが安心できる」日本型IRができることを期待すると締めた。
メルコリゾーツ&エンターテインメントのタカハシ氏は「責任あるゲーミング」の話を中心に、CSR活動(企業の社会的責任)の実例を従業員教育やその成果など詳しく説明、また、マカオで導入された顔認証システムの実際の効果など安全面もスピーチした。
テッド・チャン氏は、ギャラクシー・エンターテインメント・グループがそもそも、まったくカジノと関係のない世界から立ち上げられた会社であること、創造的な破壊を目指すイノーベイティブな集団であることを強調した。雇用の70%がノンゲーミングであり、どのようにノンゲーミングの部分でクリエイティブな取り組みが行われているかをスピーチした。
その後、第二部ではタイガーリゾートレジャー&エンターテインメントの取締役社長の大屋高志氏、IRの専門サイトである”カジノIRジャパン”を運営するキャピタル&イノベーションの代表取締役社長の小池隆由氏、マカオ大学のグレン・マッカートニー教授のリカルド・シウ教授、ロビン・チャーク教授をパネラーとし、古田茂美教授がモデレーターを務めて、カジノ依存症やマネーロンダリング、反社会組織など、IRでの懸念事項をいかにマカオで克服して、現在はどういうシステムで運営しているのか、というアジェンダと、日本での現状やフィリピンでのIR、国内グループ、行政、外国グループの組み方などの話がディスカッションされた。
IR事業者、メディア、学術機関の教授を集めたパネルディスカッション
マカオでは旧来のカジノから現代的な統合型リゾート(IR)への転換が行なわれたときに、今の日本同様、先進地域であるアメリカに学ばなければならかった。そのため、パネラーであるマカオ大学のリカルド教授は、まずネバダ大学へ研究に向かったという。リカルド教授は、世界で共通に使われているギャンブル依存症の診断ツール「DMS-5」や脳のメカニズム(プレジャーセンター、報酬欠乏症候群など)といった最新の知見を見せながら、それぞれ専門分野の違う3教授の立体的な研究の最前線をスピーチ。かつてのマカオ大学がアメリカに研究に向かったように、立教大学や東洋大学などもマカオとの連携を始めたことを披露した。
カジノIRジャパンの小池氏は今後の日本でのIRのスケジュールと、実際に出来るコンソーシアムの基本イメージを説明。「自治体の多くの人に接していて伝わってくるのは、日本は基本人口減で、観光をやらないと駄目なのは明らか、という意識。どんな政策でもプラスとマイナスがあるのは当たり前で、マイナスがコントロール可能ならやるしかないのが政策。反対、懸念は当然あるが、大きいのは”知らないことのへの恐怖”。理解することが大事。現在、各地域で地元を巻き込んだ組織化の手伝いをしていて、地元の名士や尊敬されている人が入ることで理解が進む」と話した。
フィリピンの“オカダ・マニラ”を運営するタイガーリゾートレジャー&エンターテインメント大屋社長は、近年伸張著しいマニラのIRの現状と、そこで確実に成果を出し始めた中、日本のIRについて「二つ目をやってみたい。国産のIRで日の丸を背負って地域貢献したい気持ちは強い。必ず必要なのは、実際にやる地域のブランディングに寄与し、価値を上げることだ」と明言した。
今回のフォーラムは反対の声が出て立教大学での開催から会場が変わり、登壇者にも変更が出た。しかし、マカオが旧来のカジノからIRへ舵を切り変革していく中、重要な役割を果たした大学、アカデミアの意味は大きい。日本でもさまざまな大学や専門学校などで、マイナス面の研究や実際の経営、運営、経済についての取り組みが始まっており、特に未知の職種が大きくスタートする中、人材確保・育成は大きなテーマになるだろう。国内外の研究者の交流は重要なファクターだと感じた。
観光庁やオペレーターが次々と講演
同大学アジア太平洋経済経営研究所のジャッキー・ソー所長の開会の挨拶の後、国土交通省観光庁審議官の秡川(はらいかわ)直也氏の基調講演、メルコリゾーツ&エンターテインメントのエグゼクティブ・バイスプレジデント ケリー・アキコ・タカハシ氏の講演、ギャラクシー・エンターテインメント・グループの日本地区最高執行責任者のテッド・チャン氏の講演が行なわれた。
秡川審議官は昨年10月に、自費で義理の父、娘とIR先行の地であるシンガポールに行った話から、一般市民のIRへの理解の低さや、実際に触れてみての印象の様変わりから、基本的なIRの説明を行ない、最終的には「未体験の、日本でしか出来ない、誰もが安心できる」日本型IRができることを期待すると締めた。
メルコリゾーツ&エンターテインメントのタカハシ氏は「責任あるゲーミング」の話を中心に、CSR活動(企業の社会的責任)の実例を従業員教育やその成果など詳しく説明、また、マカオで導入された顔認証システムの実際の効果など安全面もスピーチした。
テッド・チャン氏は、ギャラクシー・エンターテインメント・グループがそもそも、まったくカジノと関係のない世界から立ち上げられた会社であること、創造的な破壊を目指すイノーベイティブな集団であることを強調した。雇用の70%がノンゲーミングであり、どのようにノンゲーミングの部分でクリエイティブな取り組みが行われているかをスピーチした。
カジノシティだったマカオがIRに向かった歴史から学ぶ
その後、第二部ではタイガーリゾートレジャー&エンターテインメントの取締役社長の大屋高志氏、IRの専門サイトである”カジノIRジャパン”を運営するキャピタル&イノベーションの代表取締役社長の小池隆由氏、マカオ大学のグレン・マッカートニー教授のリカルド・シウ教授、ロビン・チャーク教授をパネラーとし、古田茂美教授がモデレーターを務めて、カジノ依存症やマネーロンダリング、反社会組織など、IRでの懸念事項をいかにマカオで克服して、現在はどういうシステムで運営しているのか、というアジェンダと、日本での現状やフィリピンでのIR、国内グループ、行政、外国グループの組み方などの話がディスカッションされた。
IR事業者、メディア、学術機関の教授を集めたパネルディスカッション
マカオでは旧来のカジノから現代的な統合型リゾート(IR)への転換が行なわれたときに、今の日本同様、先進地域であるアメリカに学ばなければならかった。そのため、パネラーであるマカオ大学のリカルド教授は、まずネバダ大学へ研究に向かったという。リカルド教授は、世界で共通に使われているギャンブル依存症の診断ツール「DMS-5」や脳のメカニズム(プレジャーセンター、報酬欠乏症候群など)といった最新の知見を見せながら、それぞれ専門分野の違う3教授の立体的な研究の最前線をスピーチ。かつてのマカオ大学がアメリカに研究に向かったように、立教大学や東洋大学などもマカオとの連携を始めたことを披露した。
カジノIRジャパンの小池氏は今後の日本でのIRのスケジュールと、実際に出来るコンソーシアムの基本イメージを説明。「自治体の多くの人に接していて伝わってくるのは、日本は基本人口減で、観光をやらないと駄目なのは明らか、という意識。どんな政策でもプラスとマイナスがあるのは当たり前で、マイナスがコントロール可能ならやるしかないのが政策。反対、懸念は当然あるが、大きいのは”知らないことのへの恐怖”。理解することが大事。現在、各地域で地元を巻き込んだ組織化の手伝いをしていて、地元の名士や尊敬されている人が入ることで理解が進む」と話した。
フィリピンの“オカダ・マニラ”を運営するタイガーリゾートレジャー&エンターテインメント大屋社長は、近年伸張著しいマニラのIRの現状と、そこで確実に成果を出し始めた中、日本のIRについて「二つ目をやってみたい。国産のIRで日の丸を背負って地域貢献したい気持ちは強い。必ず必要なのは、実際にやる地域のブランディングに寄与し、価値を上げることだ」と明言した。
今回のフォーラムは反対の声が出て立教大学での開催から会場が変わり、登壇者にも変更が出た。しかし、マカオが旧来のカジノからIRへ舵を切り変革していく中、重要な役割を果たした大学、アカデミアの意味は大きい。日本でもさまざまな大学や専門学校などで、マイナス面の研究や実際の経営、運営、経済についての取り組みが始まっており、特に未知の職種が大きくスタートする中、人材確保・育成は大きなテーマになるだろう。国内外の研究者の交流は重要なファクターだと感じた。