大阪府・市と大阪IR株式会社が、大阪IRの基本協定書を締結

JaIR編集委員 玉置泰紀

 大阪府、大阪市、大阪IR株式会社(SPC)は2022年2月15日、大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備等基本協定書を締結した。協定書では、政府からの区域認定を得られた場合に、SPCが設置運営事業者となることを確認するとともに、認定申請や実施協定等の締結その他事業を円滑に開始するために、大阪府、大阪市及びSPCが負うべき責務及び必要な諸手続について定めている。
 

土地課題対策費用は、市会の議決が行われることを条件に市が負担

 協定の主な規定項目は以下の13項目になる。

(1) 事業日程及び事業関連書類の遵守

(2) 認定申請手続

(3) 事業条件の変更要件・手続

(4) 表明保証

(5) SPC株主 ※株式譲渡・事業譲渡等の制限等

(6) 履行保証金(6.5億円)

(7) MGMリゾーツ・インターナショナル、オリックス株式会社の連帯保証 ※保証限度額合計6.5億円

(8) SPCによる費用負担
① インフラ整備費用(202.5億円) ※土地引渡し時:10%、開業後1年以内:90%
② 選定費用(約1.25億円) ※基本協定締結後30日以内:約0.8億円、認定後~実施協定締結まで:約0.45億円
③ 環境アセスメント現況調査費用(約0.7億円) ※基本協定締結後30日以内:約0.7億円

(9) 土地課題対策の実施・費用負担
・土地課題対策費用(地中障害物撤去、土壌汚染対策、液状化対策に要する費用)は、2022年2・3月市会で債務負担行為の議決が行われることを条件に市が負担
・土地課題対策費用は、実施協定の締結後、土地引渡し及び建設着工が行われた場合に、債務負担行為(事項・期間・限度額)の範囲内で、支払期日に実施協定が有効に存続していることを条件に、市が合理的に判断する範囲で支払うものであることを事業用定期借地権設定契約等で規定
 
(10) 実施協定等の締結義務等 ※区域認定が得られた場合の実施協定の締結義務等

(11) 基本協定の解除
① 大阪府・大阪市の解除権
・ SPCの重大義務違反があった場合
・ 認定申請同意・債務負担行為の議会議決が得られなかった場合 等

② SPCの解除権
・判断基準日:認定後30日を経過した日
・ 通知期限:判断基準日から60日以内
・ SPCは、条件成就のために大阪府・大阪市と緊密に協力・連携し、合理的に可能な範囲で努力した上で、誠実かつ合理的な裁量により条件の成就・不成就を判断

◎主な条件
・ 税務上の取扱い、カジノ管理委員会規則:国際競争力・国際標準の確保
・ 開発:土地・土壌に関する大阪市における適切な措置の実施等
・ 新型コロナウイルス感染症:国内外の観光需要の回復の見込み 等

(12) 協定解除の効果(SPCの違約金6.5億円)
 ※SPC、MGMリゾーツ・インターナショナル、オリックス株式会社いずれかに責事由がある場合

(13) その他反社会的勢力排除、秘密保持、一般条項 等

 また、大阪府政記者会で2022年2月16日、大阪府及び大阪市は、特定複合観光施設区域整備法第9条第1項の規定に基づく国土交通大臣の認定の申請に向け、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」(案)について府民意見等の募集(令和3年12月23日報道発表済み)及び公聴会(令和3年12月23日報道発表済み)について、市民からの意見等と大阪府・市の考え方を取りまとめ、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」を作成したことを公表した。

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