「大阪ファースト」を掲げる日本MGMリゾーツは地元と対話を続ける

大谷イビサ(JaIR編集部)

 [関西]統合型リゾート産業展のオペレーター講演の5番手は、日本MGMリゾーツ 代表執行役員兼CEOのエド・バワーズ氏。年始に「大阪ファースト」を宣言し、大阪夢洲のIRに前のめりなMGMだが、講演はこれまでの活動実績とコミットメントを着実に訴えるものとなった。

日本MGMリゾーツ代表執行役員兼CEOのエド・バワーズ氏

夢洲IRの恩恵を受けるのは地元企業、市民、コミュニティ


 大阪でのIR誘致活動を積極的に進めている日本MGMリゾーツ。同社の大阪での活動はすでに5年が経ち、さまざまなイベントの参加・協賛を通じて、豊かな文化や歴史、ビジネスコミュニティの強さを実感してきたという。また、大阪の万博誘致成功のお祝いとして、ラスベガスの統合型リゾートベラージオに大阪城の巨大なレプリカを作り、訪問者に大阪をアピールしているという。「われわれは大阪ファーストに全力を尽くしている。地元企業、市民のみなさま、コミュニティが夢洲のIRの恩恵をもっとも受けられるようにしていく」とバワーズ氏は語る。


 日本MGMリゾーツは、2018年7月と2019年2月にIRに関する調査を行なっている。両者を比べると、大阪のIRに対して反対という意見は2018年の27%だったが、2019年は17%にまで下がった。これに関しては「IRについて知るほど、好意的な意見が出ているのが明確」とバワーズ氏は語る。しかも、男性の方が女性よりIRを支持し、反対の回答比率は男女同等。つまり女性の大多数はどちらでもないと答え、評価を保留していることが伺えるという。



 また、IRに関するビデオや写真を見せた結果、大阪にIRがオープンしたときに行きたいと答えた割合は2018年は行きたいと行きたくないでちょうど半分ずつだったが、2019年には「ぜひ行きたい」「どちらかというと行きたい」という声が6割にまで上がった。「IRについて理解を深めることで、大阪市民のみなさんがIRに行きたくなってきたことがわかった」とバワード氏は語る。
 

MGMリゾートが大阪IRに向けたマニフェストとコミットメント

 続いてバワーズ氏は日本MGMリゾーツの大阪におけるコミットメントと具体的な取り組みについて説明する。

 まず地元企業に向けては、共同でオペレーションを行ない、地元経済の成長に貢献するという。中小企業向けのプラットフォームを構築し、プロジェクトの早い段階での情報共有や登録データベースを提供する。必要に応じて、中小企業と大企業とのマッチングを行ない、テクノロジーやマーケティングの分野でも支援を進めていく。「365日無休のIRに滞りなく商品やサービスが提供できるよう地元企業に向けたメンタリングも提供していく」(バワーズ氏)。また、MGMは長期間にわたって安定供給できる日本の食を探るべく、日本各地を回っているほか、ラスベガスでは日本の生産者とMGMのシェフ・調達チームを引き合わせるイベントも開催しているという。



 さらに、働き方改革を推進し、労働・雇用問題にも積極的に解決策を提案していく。特に重要な労働力不足に関しては、教育機関や地元と連携し、包括的な教育プログラムを策定していくという。「IR業界はキャリアパスが明確に確立しており、一生働く場所としては素晴らしい場所であることを伝えていく」(バワーズ氏)。継続的な教育の場を提供し、フレックス勤務を実現し、職場に隣接した保育施設も用意するという。

 普段のセミナーでも繰り返し説明しているというギャンブル等依存問題への取り組みも披露した。MGMリゾーツは「責任あるゲーミングプログラム(Responsble Gaming)」の導入により、ギャンブル等依存症対策において主導的な役割を果しているという。「Game Sense」というプラットフォームを用いることで、顧客と直接対話を行ない、依存症へのリスクを抑えることができるとのことだ。

 大阪ファーストを体現すべく、日本MGMリゾーツでは5月にグランフロント大阪のナレッジプラザで「みんなで考えるIR展」を開催した。「もっとも重要なのは、みなさんの声から学びつつ、われわれのことを知っていただきたいということです」と語るバワーズ氏は、プロモーションビデオを披露し、講演を終えた。

日本MGMリゾーツ
https://www.mgmresorts.co.jp/