[関西]統合型リゾート産業展のオペレーター講演でトップバッターを務めたのは、シーザーズ・エンターテインメント 国際開発 社長であるスティ-ブン・タイト氏。タイト氏はカジノから総合エンタテインメントに移るラスベガスの現状を説明しつつ、パートナーシップのメリットについて重点的に説明した。
シーザーズ・エンターテインメント 国際開発 社長であるスティ-ブン・タイト氏
かつてのラスベガスは収益のほとんどをカジノ(ゲーミング)に依存していたが、その収益構造は近年大きく変化しているという。たとえば、年間で約3300万人が訪れるマカオのIRは収益の9割はゲーミングで、2つのIRが運営されているシンガポールでもゲーミングの収益が全体の3/4を占める。これに対してラスベガスは2017年時点ですでにゲーミング収益が4割にまで落ちており、6割のノンゲーミング領域で10万人近い雇用が生まれている。「われわれだけですべてやっているのではなく、パートナーとともにコンテンツを作っている。パートナーこそがわれわれの成功の鍵」とタイト氏は語る。
パートナーと言ってもコンテンツ、レジャー・ツーリズム、地元企業・関係者、地域社会など幅広い。日本でIRを進める場合は、こうしたパートナーと緊密で永続的な連携が必要になるため、シーザーズでも「100年パートナー For Japan」というキャンペーンを実施しているという。
まずはコンテンツに関しては、シーザーズはコンサートやマジックショー、バラエティ、スポーツ、ナイトクラブ、家族向けなどさまざまなエンタテインメントプログラムを開催しており、50以上の場所でプログラム数は年間で1万を超えるという。たとえば、「レジデンシー・プログラム」と呼ばれる定期公演も開催しており、これまでセリーヌ・ディオンやエルトン・ジョン、マライア・キャリーなどが長きに渡ってステージに立っている。セレブリティシェフによる有名レストランも展開しており、ライブエンタテインメントプログラムとも連携している。
スポーツにも注力している。シーザーズは世界最大のプロスポーツリーグであるNFL(全米フットボール連盟)で初めてのIRスポンサーにも選ばれ、レイダーズスタジアムの初代パートナーにもなった。世界的なスポーツエンタテインメント企業であるESPNとの提携も発表し、スポーツコンテンツ制作のためのスタジオをラスベガスに作るという。
また、レジャー・ツーリズムという分野に関しては、まず1970年代に約700万人だったラスベガスの訪問客が直近では4200万人を超えたことをアピール。特筆すべきは訪問理由の上位がカジノ以外のエンタテインメントで、ライブエンタテインメントや展示会、美術館やギャラリー、年次イベントなどとなっている点だ。「これが多様化の力。幅広いエンタテインメント、MICE施設があってこそ、レジャーとビジネスのお客様を呼べる」とタイト氏は語る。
シーザーズは、ブランディング、イベント、販売チャネル、顧客ロイヤルティなど包括的なマーケティング施策で、国際観光客を誘致できるという。シーザーズは約5500万人のロイヤリティメンバーを持っており、誘致から観光施設への送客、地元消費の促進などをも行なう。実際、アトランティックシティでは地元と連携し、今まで候補地として考えてなかった多くの企業をMICE施設に誘致し、訪問客や雇用の増加、税収増加、MICEへ再投資を実現することができた。
また、地元調達も多く、2017年は売上の約1/3がサプライヤーに対して支払われているという。ニューオリンズでは地元の訪問促進に7700ドルを拠出したほか、社員に対して市内のレストランやイベント、スポーツなどを無償特典として渡したり、市内ホテルや航空座席の買い上げ、地域イベントの協賛などを進めたという。公立学校への資料や物資の提供、障害者に向けた技能教育、将来的なリーダーの育成や教育水準の引き上げのための寄付も実施。地域のビジネスパートナーと連携し、観光施策を後押しし、地域経済の活用化に貢献するという役割だ。
パートナーシップのメリットについて重点的に説明したタイト氏は、「世界一のエンタテインメントを日本に持ってこられたら大変にうれしい」と語り、セッションを締めた。
シーザーズ・エンターテインメント
シーザーズ・エンターテインメント 国際開発 社長であるスティ-ブン・タイト氏
ノンゲーミングに向かうIR業界でのパートナーシップ
シーザーズ・エンターテインメント(以下、シーザーズ)は4大陸8ヶ国で55の施設を運営する大手IRオペレーター。本拠地であるラスベガスでは、ストリップに9つのIRを運営し、2万3000の客室を確保。MGMグループとともにラスベガスのエンタテインメントのエコシステムを構築している。かつてのラスベガスは収益のほとんどをカジノ(ゲーミング)に依存していたが、その収益構造は近年大きく変化しているという。たとえば、年間で約3300万人が訪れるマカオのIRは収益の9割はゲーミングで、2つのIRが運営されているシンガポールでもゲーミングの収益が全体の3/4を占める。これに対してラスベガスは2017年時点ですでにゲーミング収益が4割にまで落ちており、6割のノンゲーミング領域で10万人近い雇用が生まれている。「われわれだけですべてやっているのではなく、パートナーとともにコンテンツを作っている。パートナーこそがわれわれの成功の鍵」とタイト氏は語る。
パートナーと言ってもコンテンツ、レジャー・ツーリズム、地元企業・関係者、地域社会など幅広い。日本でIRを進める場合は、こうしたパートナーと緊密で永続的な連携が必要になるため、シーザーズでも「100年パートナー For Japan」というキャンペーンを実施しているという。
ラスベガスへの訪問者はもはや「カジノ目当て」ではない
続いてタイト氏はコンテンツ、レジャー・ツーリズム、地元企業・関係者、地域社会など4分野でのパートナーシップのメリットについて説明した。まずはコンテンツに関しては、シーザーズはコンサートやマジックショー、バラエティ、スポーツ、ナイトクラブ、家族向けなどさまざまなエンタテインメントプログラムを開催しており、50以上の場所でプログラム数は年間で1万を超えるという。たとえば、「レジデンシー・プログラム」と呼ばれる定期公演も開催しており、これまでセリーヌ・ディオンやエルトン・ジョン、マライア・キャリーなどが長きに渡ってステージに立っている。セレブリティシェフによる有名レストランも展開しており、ライブエンタテインメントプログラムとも連携している。
スポーツにも注力している。シーザーズは世界最大のプロスポーツリーグであるNFL(全米フットボール連盟)で初めてのIRスポンサーにも選ばれ、レイダーズスタジアムの初代パートナーにもなった。世界的なスポーツエンタテインメント企業であるESPNとの提携も発表し、スポーツコンテンツ制作のためのスタジオをラスベガスに作るという。
また、レジャー・ツーリズムという分野に関しては、まず1970年代に約700万人だったラスベガスの訪問客が直近では4200万人を超えたことをアピール。特筆すべきは訪問理由の上位がカジノ以外のエンタテインメントで、ライブエンタテインメントや展示会、美術館やギャラリー、年次イベントなどとなっている点だ。「これが多様化の力。幅広いエンタテインメント、MICE施設があってこそ、レジャーとビジネスのお客様を呼べる」とタイト氏は語る。
シーザーズは、ブランディング、イベント、販売チャネル、顧客ロイヤルティなど包括的なマーケティング施策で、国際観光客を誘致できるという。シーザーズは約5500万人のロイヤリティメンバーを持っており、誘致から観光施設への送客、地元消費の促進などをも行なう。実際、アトランティックシティでは地元と連携し、今まで候補地として考えてなかった多くの企業をMICE施設に誘致し、訪問客や雇用の増加、税収増加、MICEへ再投資を実現することができた。
IRの設置で雇用も増加 地元企業や関係者にも大きなメリット
地元企業・関係者も大きなメリットを享受できるという。ラスベガスのあるクラークカントリーでは、IRの設置で雇用が増えたことで、1990年代から毎年4%ずつ人口が増加している。また、従業員の成功を確実にするため、キャリア開発に大きな投資を進めており、年間の総トレーニング時間は170万時間。2万7000人の従業員を抱えるラスベガスでは、平均在職期間が10年以上で、昨年はシーザーズ・パレスで働く5人が勤続50年のアニバーサリーを祝ったという。雇用の8割は地元で、管理職40%以上は女性となっている。また、地元調達も多く、2017年は売上の約1/3がサプライヤーに対して支払われているという。ニューオリンズでは地元の訪問促進に7700ドルを拠出したほか、社員に対して市内のレストランやイベント、スポーツなどを無償特典として渡したり、市内ホテルや航空座席の買い上げ、地域イベントの協賛などを進めたという。公立学校への資料や物資の提供、障害者に向けた技能教育、将来的なリーダーの育成や教育水準の引き上げのための寄付も実施。地域のビジネスパートナーと連携し、観光施策を後押しし、地域経済の活用化に貢献するという役割だ。
パートナーシップのメリットについて重点的に説明したタイト氏は、「世界一のエンタテインメントを日本に持ってこられたら大変にうれしい」と語り、セッションを締めた。
シーザーズ・エンターテインメント