林文子・横浜市長の横浜IR説明動画での発言を詳細に解説

JaIR編集部

 2020年7月14日、横浜市は「横浜イノベーションIR市長説明動画を公開します」として、横浜市のホームページ、及びYouTubeで、動画を公開した。全体で45分37秒にわたる動画は、林市長と聞き手の渡辺真理アナウンサーのインタビュー形式で構成されており、昨年12月から12の区で行われた説明会をもとに、今年2月から中断された残り6区の住民への説明として制作されているが、林市長自ら統合型リゾート(IR)について語る貴重な動画になっている。
 
横浜市公開動画より林文子市長
 

林市長が語るIRを進めていく理由

 全体は3部構成で、最初の「市長から市民の皆様へのメッセージ」(4分)は、新型コロナウイルスへの横浜市の対策をメインで語ったうえ、「横浜経済を回復させた上で、更に横浜の10年後、20年後の人口減少、超高齢社会の進展という将来の課題に立ち向かうためには、市の財政基盤の強化も一層重要であり、やはりIRが横浜には必要だとの思いを強くしています」とIRの必要性を語った。

 続く27分間は説明会の内容で、これまで説明してきた横浜市の観光の現状(宿泊が少なく日帰りが多い)や人口動態の推移(2020年には減少に転じ、超高齢化していく)、東京や大阪に比べて少ない法人税収入などから、IRの必要性や、依存症などネガティブな要素への対応を語った。

 その中でも、IRに関する市長の思いを語った発言としては、
「IRというものは重要な政策の一つ有効なものになると私は考えています」
「更に、ここに統合型リゾート、IRを導入することによって、更に経済が回っていく、繋がっていく」
「将来を考えれば、このIRの導入の検討をさらに進めていくべきと私は考えています」
「色々な政策を止めることなく続けていかなくてはならないと考えております」
「このIRの施設は日本に現在ありませんので、イメージもできないと思います」
「今、コロナの問題が起きたためにインバウンドが激減してしまいましたがやがては将来回復していくものだと思います」
「日本型IRはそのけん引役として重要な役割を担っていくと考えています」
「日本を訪れる観光客がまず横浜を目指すような魅力づかりに取り組んでいきます」
などと、明確に、横浜IRを進めていく考えを明らかにした。
 
横浜市公開動画より今後のスケジュール
 

質問コーナーではラスベガス・サンズについても言及

 最後のコーナーは質問コーナー(14分)で、かなり厳しい、よく出る疑問に答えている。その中で、ラスベガス・サンズという固有名詞は出さなかったが、アメリカの大手事業者が撤退したという事について、以下のように説明。
「日本型IRの枠組みが税負担などや投資回収の面で他国に比べて非常に厳しい制度になっているため、日本以外への投資に注力するというような報道がなされています。一方で日本への投資を引き続き検討する表明されている事業者も多くいらっしゃいます。日本型IRは国や自治体への収益の納付や再投資など、世界のIR制度の中でも国内により収益が還元される仕組みなんです。今回のアメリカの大手事業者の見解とまた違う事業者もいらっしゃると思います」
大きなショックを与えたラスベガス・サンズの撤退についても、日本型IRの事情を説明して、依然取り組んでくれる事業者がいることを強調した。

 さらに、カジノの収益で、IRを回すことへの疑問には
「有識者によれば日本人が7〜8割、売り上げの構成では外国人の割合が半々か高くなるのではといわれています。海外の事例では売り上げの多くは富裕層からのものです。市では日本人による過度な利用を防ぐ対策を事業者公募の際の提案で求めるように検討を進めていきます」
と、構造について説明した。

 最後に、新型コロナウイルスの感染症の今後への影響で、インバウンドが難しくなる中でのIRについて、「感染症対策も経済対策も両輪で進める」とし、新型コロナウイルスはいずれ終息する、その先のことを考える必要があると話し、
「新型コロナウイルス感染症が収束した暁には、長期的な視点で必ず経済回復をけん引する起爆剤になると考えています」
「皆様の安全・安心を最優先に『感染症対策の強化』と『経済再生の実現』を両輪として、心豊かに暮らすことのできる都市・横浜の実現に向けて全力を尽くしてまいります」
と締めくくった。

横浜市公開動画より質問に答える林市長

■横浜イノベーションIR 市長説明動画を公開(JaIRデータベース)
https://jair.report/archive/297/

■横浜イノベーションIR 市長説明動画(外部サイト)
https://youtu.be/HjYFPksKGiM