<IR用語集・基礎知識> オーストラリア

JaIR編集部

日本から約8~10時間、南半球の8,000以上もの島々で成り立つ自然豊かなオーストラリア連邦は、日本の約20倍に相当する769万2,024㎢の面積と、約2,499万人の人口(豪州統計局データ、2018年6月時点)を有する。経済面でも、関税引き下げによる貿易自由化、変動相場制の導入、労働移民の受け入れ拡大など多岐に渡る構造改革が功を奏し、1992年以降27年に渡ってプラス成長を続け、その期間は“世界最長”を記録した。しかしながら、2019年~2020年にかけ、輸出や住宅投資の落ち込み、国内全土での長期的な森林火災、さらには新型コロナウイルスの打撃を受け、景気は後退入りとなっている。
 
オーストラリアとギャンブルの歴史は、イギリスからの独立、すなわち建国の歴史とともに古いが、いわゆる現在のカジノが合法化されたのは、時代を遡ること1970年代。当時は経済不況に陥っていた国内で、新たな財源の確保を目的に、まずはタスマニア州とノーザン・テリトリー州でカジノを認める制度が施行された。それから80年代、90年代にかけ、段階的に国内に広がり、2020年現在は同国を構成する6つの州と1つの準州、首都キャンベラがある特別地域すべてにおいて、IRの開業が認められている。また、このような大規模な施設に限らず、街中のほとんどのパブには「ポーキー」と呼ばれるスロットマシーンが設置されているなど、オーストラリア国民にとって賭け事は、日常生活の中に浸透している。なお、カジノを認めるか否かは連邦政府でなく、各州における州法の下に決定され、その後の管轄も州政府が担う。ただし、オンラインカジノのみ、連邦政府の管轄となる。
 
2020年現在、国内で稼働するカジノ施設は全13軒。いずれの施設も、年齢は18歳以上に制限されるが、オーストラリア国民、外国人観光客ともにカジノを楽しめる。入場料は無料。その中の2施設が、国内のカジノ市場の過半を占める。まず一つ目が、クラウンリゾーツが運営する「クラウンカジノ・エンターテインメント・コンプレックス(クラウンメルボルン)」。芸術の街として知られるビクトリア州メルボルンの中心部、ヤラ川沿いのロケーションで、カジノの規模は南半球最大といわれる。クラウンリゾーツは同地域において1993年にライセンスを付与され、2014年に内容を更新、2050年まで営業可能となっている。
 
二つ目は、ザ・スター・エンターテインメント・グループが運営する「ザ・スター・シドニー」。ニューサウスウェールズ州の州都、シドニーを代表する観光地であるダーリングハーバーから徒歩すぐの場所に位置し、規模的にはクラウンメルボルンに次ぐ。ザ・スター・エンターテインメント・グループは同地域において、1994年にライセンスを付与され、2007年・2019年に内容を更新、2040年まで営業可能となっている。そのほか、シドニーでは、クラウンリゾーツも新たなIRを建設中。グランドオープンは2021年を予定している。

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