ラスベガス・サンズが日本での統合型リゾートから撤退

JaIR編集委員・玉置泰紀

 ラスベガス・サンズ(本社:米国ネバダ州ラスベガス/NYSE:LVSC)は13日、「日本における統合型リゾート開発(以下、IR)の機会を追求しないこと」を明らかにした。

 以下、公式サイトより、会長兼CEOシェルドン・G・アデルソンの声明。
「日本文化および日本の観光目的地としての魅力への興味は、私がコンピュータ関連の展示会COMDEX を日本で運営していた30年以上前に遡り、それ以降、いつも日本における事業展開の機会を探していました。私の個人的な日本への好意的な気持ちは何ら変わりませんし、統合型リゾート施設開発によって日本はビジネス及びレジャー観光市場からの恩恵を享受するであろうとも思います。しかし、日本におけるIR開発の枠組みでは私たちの目標達成は困難であると思われます。これまで日本市場参入の検討をしてきた中で様々な方々に出会え、良い関係を構築できたことに感謝しています。私たちは今後、日本以外での成長機会に注力する予定です。」

 続けて、「私は会社の将来と成長の見通しについて非常に強気であり続けます。IR業界の主要市場で最高クラスの施設を運営している当社は、現在、マカオとシンガポールで非常に大きな投資プログラムを実行し、既存のポートフォリオから有機的な成長を新たに生み出そうとしています。また、ラスベガス、マカオ、そしてシンガポールで当社が先駆者として開発して成長を遂げたMICEを中心とする統合型リゾートモデルは、アジア諸国が経済成長の原動力としてビジネス及びレジャー観光産業を強化することを検討する場合、今後もベストプラクティスとして参考にされると考えています。」と、日本から撤退後もアジア戦略に変わりがないことを述べている。

 現在、横浜は、大阪府・市、長崎県に続いて、3ヶ所目となるRFCを募集し、2019年11月18日、「IR(統合型リゾート)の実現に向けた民間事業者からのコンセプト提案募集」では、日本型IRの実現に関すること(参加登録7者)、開発事業に関すること(参加登録4者)、関連産業に関すること(提案15件)が提案済みで、報道によると、ラスベガス・サンズ、ウィン・リゾーツ、ギャラクシーエンターテインメント、メルコリゾーツ&エンターテインメント、ゲンティン・シンガポール、セガサミーホールディングスなどの名前が挙がっていた。

 2020年2月に、横浜市議会はIR推進関連の条例を可決しており、3月には素案を公表、パブリックコメント募集も行われていたが、6月に予定していた統合型リゾート施設(IR)の誘致事業の要件をまとめた実施方針の公表は、新型コロナウイルスの影響もあり、8月に延期すると正式表明していた。
 
■プレスリリース(ラスベガス・サンズ)
ラスベガス・サンズ 日本市場への参入見送り
会長兼CEOシェルドン・G・アデルソンは会社の成長性に変わらぬ自信
http://sandsjapan.com/news/release/20200513/