横浜市が「横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)」を発表

JaIR編集委員・玉置泰紀

 2020年3月4日、横浜市は「横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)」の発表とパブリックコメントの募集開始を行なった。IR誘致活動で先行する大阪府・市は事業者を公募し、オリックス・MGMのコンソーシアムが申し込みを済ませているが、横浜市は素案の発表とパブリックコメントの実施まで歩みを進めたことになる。

 素案の中身は、まず「はじめに」と題して、現状・課題、市の歴史、選ばれるデスティネーション(目的地)へ、という流れでIRの必要性を強調。その上で、横浜IR実現への取組の背景、横浜IRの方向性、IR実現による効果、地域の理解促進・合意形成に向けた取組、スケジュールという項目で詳細を説明している。総ページ数は100ページにおよんでいる。

 基本コンセプトは「横浜イノベーションIR」。観光・経済を革新していく起爆剤と位置付けられている。「都市活力の維持」が目的とされており、1859年の開港以来、新しいものを取り入れてきたという横浜の歴史を語りつつ、「都心部強化事業」として、富士山が望めるIR、日本の新しい顔となるシンボリックなリゾートにしたい、そして、この横浜IRを起爆剤に横浜の観光・経済のイノベーションをもたらしていきたい、としている。

 経済効果としては、
・インバウンドを含むIRへの訪問者数 2,000万~4,000万人/年(うち国内観光客割合:66~79%)
・IR区域内での消費額 4,500億~7,400億円/年
・地域経済 建設時:7,500億 ~ 1兆2,000億円 運営時:6,300億 ~ 1兆円/年
・雇用創出 運営時:77,000 ~ 127,000人/年
・地方自治体の増収効果 820億~1,200億円/年 (納付金収入、入場料収入、法人市民税、固定資産税、都市計画税)
【参考】30年度 法人市民税:620億円
を見込んでいる。

 今後の想定スケジュールは、2020年度中にIR事業者を選定し、市民意見等を踏まえた区域整備計画を策定。2021年度の前半に横浜市会の議決を経て国に申請する。その結果、区域に認定された場合は、2020年代後半IR開業に向けて手続きを進めるという。 パブリックコメントは2020年3月6日(金)から4月6日(月)までで、郵送、FAX、メールでの応募が可能。4~5月に意見を取りまとめ、素案を修正。6月中にパブリックコメント結果の公表および横浜IRの方向性を策定・公表する。
 

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■横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)について(https://jair.report/archive/267/)
■横浜IR(統合型リゾート)の方向性(素案)について・概要版(https://jair.report/archive/268/)