「横浜が最優先」シンガポール・サンズCEOが意気込みを語る

二上葉子

 ラスベガス・サンズは、日本型IRのモデルとされるシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」において日本メディアに向けてのインタビューに応じた。ラスベガス・サンズ・グローバル開発責任者で、シンガポール・サンズのCEOでもあるジョージ・タナシェビッチ氏は、「IRは世界的にみて、供給が追い付いていない」とし、「横浜が最優先」と参入への意欲を力強く語った。

いまやシンガポールの象徴ともいえる印象的な建築「マリーナベイ・サンズ」


サンズは投資に見合ったものを横浜に返せる

 シンガポールのマリーナベイ・サンズのある湾岸エリアのドラマチックな景観は、横浜市のみなとみらいから山下ふ頭にかけての風景と符合する。タナシェビッチ氏は、横浜市がIR候補地としている山下ふ頭について「場所自体がすばらしい。(横浜での事業参入を考える)一つの理由はアクセスがよいこと。羽田空港に20分で行ける。そして、景観のすばらしさ。海に面している」と絶賛する。

ラスベガス・サンズ・グローバル開発責任者 ジョージ・タナシェビッチ氏

 「横浜というロケーションはIRに適した要素が揃っている。私たちサンズは、投資にみあったものを横浜に返せると思う」とアピールした。東京での事業参入の可能性については、「現時点では現実的でない。東京は、今はオリンピックに集中している。東京で動きがあるとすれば、東京2020オリンピック後、あるいは次の選挙後になるのでは」とし、現段階はあくまで横浜が最優先であることを強調した。また「日本でいいパートナー企業を見つけようとしている。共同という形で進めていくことになる」と語り、具体的な企業名は挙げなかったが、今後日本企業と連携していく可能性を示唆した。

マリーナベイ・サンズから俯瞰した街の様子

 2019年、マリーナベイ・サンズのショッピングモール内に創作和食レストラン「KOMA」とナイトクラブの「Marquee Singapore」が開店した。もともと2つの劇場だった場所をリニューアルし、モール内に新しい価値をもたらした。サンズは今後マリーナベイ・サンズに対し、さらに約3700億円分の追加投資を行ない、1万5000席のアリーナ、1000室規模のタワーホテル及びMICE施設を拡張することが決定している。サンズは日本でのIRにおいても、初期投資のみならず、顧客や時代のニーズに合った施設にするため、「新しいマーケットにおいて、再投資をし続けるという姿勢を持っている」と自社の経営哲学を披露した。

 「世界的に見てもIRの供給量が足りていない。日本にはチャンスがある」とタナシェビッチ氏。サンズの強みであるMICE事業で培ってきたアメリカ、アジアなどグローバルなネットワークを生かし、「日本のIRへビジネス客や富裕層の誘致」を行なえると語った。横浜IRに向けて事業者の競争が激しさを増す中で、タナシェビッチ氏は、「私たちは開業後、早い段階で成功できる」と自信を持って述べた。

■関連サイト
ラスベガス・サンズ
http://sandsjapan.com/