ベールを脱ぐオリックス・MGMリゾーツ連合 「大阪オンリー」への想い

大谷イビサ(JaIR編集部)

 2019年10月24日、MGMリゾーツジャパンとオリックスは、「IRゲーミングEXPO 2019」の会場において「大阪オンリー」を謳う両社のパートナーシップについて記者発表会を実施した。IR参入に向けてコンソーシアムを組む両社が共同で出展や講演に臨むのは公式には初めてとなる。


 

大阪だからこそオリックスはIRに取り組む

 MGMリゾーツは世界で28のリゾーツブランドを運営するグローバル企業で、時価総額は140億ドルに達する。日本では大阪のIR参入に焦点を絞っており、オリックスをパートナーとして誘致活動を進めている。大阪で開催されている「IRゲーミングEXPO 2019」の初日となる24日、会場では両社のパートナーシップについて説明する講演が行なわれた。

 プレゼンの冒頭、MGMリゾーツとオリックスのトップがパートナーシップについて説明するビデオを披露。MGMリゾーツ・インターナショナル 会長兼CEOのジム・ムーレン氏が、「MGMにいまもっとも必要なことは地域に深く根付くことです。オリックスには多くの関西企業と力をあわせ、成功に導いたすばらしい実績があります」とエールを送ると、オリックス代表取締役社長・グループCEOの井上亮氏は、「世界最大手の統合型リゾート事業者であるMGMとのパートナーシップで、大阪・関西に国際競争力のある魅力的な経済都市・観光都市の実現に全面的に寄与できるMICE・IRを実現させる所存である」と応じ、大阪のIRにかけた強い想いをアピールした。

 続いて「大阪と関西のポテンシャルと魅力を最大限に引き出すオリックスとMGMのパートナーシップ」というタイトルで講演したオリックスグループ 関西代表 兼 オリックス不動産 代表取締役社長の高橋 豊典氏は、「MGMリゾーツとのパートナーシップで世界最高のIRを実現し、夢洲の国際観光拠点形成や持続的な経済成長に貢献して参ります」と第一声をあげた。


オリックスグループ 関西代表 兼 オリックス不動産 代表取締役社長 高橋 豊典氏

 なぜ大阪か? オリックスグループは1964年に大阪で創業された地元企業で、関西・神戸・伊丹の3空港の運営やグランフロント大阪、大阪ドーム、オリックス劇場の運営にも携わっている。こうした地元大阪との結びつきの中で、大阪のIRは単なる娯楽施設でなく、地域や地元経済と緊密に密着し、大阪の未来を作るものを目指したいという。「オリックスは大阪だからこそIRの事業に取り組む。大阪ファーストであり、大阪オンリーであることをここに宣言します」(高橋氏)。

 さらに高橋氏はMGMをパートナーとして選んだ理由として、「世界トップのエンタメ・MICE IRオペレーター」「地域とのパートナーシップ、JVの実績」「厳しいガバナンス・コンプライアンス体制」「多様な投資家に開かれ、長期的視点を重視」「大阪ファースト」の5つを挙げる。「なによりMGMは早くから大阪ファーストを掲げ、大阪にコミットしている唯一の事業者である。大阪に対する強い愛情と尊敬がある」と高橋氏は評価する。

 両社の役割として、高橋氏は「MGMはMICEやエンターテインメントの強みをIRに持ち込み、オリックスは地域、自治体、ステークホルダーとの調整役として、大阪の利益を一番に考えた事業運営を確かなものにする役割を果たし、もっとも地域に根ざしたIRにしていきます」と説明する。また、同社が運営する関西3空港とも連携し、訪れた観光客を関西や全国に送客する役割を担うという。
 

大阪を第一に考え、大阪だけを見据えている

 続いて登壇した日本MGMリゾーツ 代表執行役員兼CEOのエド・バワーズ氏は、「MGMリゾーツは大阪ファーストを宣言している。他の都市に方向転換した他社と異なり、われわれは変わらない。大阪を第一に考え、大阪だけを見据えている」と第一声を挙げる。

日本MGMリゾーツ 代表執行役員兼CEOのエド・バワーズ氏

 MGMリゾーツが大阪IRで提供するのは、「最高のWOW体験」だ。MICEに関しては、約40万㎡のMICE施設を保有し、年間のイベント数は5000を超える。また、エンターテインメントに関しては35におよぶ劇場やアリーナを擁し、年間公演は8000以上。年間のチケット販売数は860万枚以上になるという。こうしたMICEとエンターテインメント、ホテルに加え、大阪ではパートナーシップを組み、日本の伝統芸能と最新テクノロジーを融合した魅力増進施設や関西・日本全国への送客を前提とした設備などを提供する。「この5年の間、われわれは日本の古典芸術から現代芸術まで幅広く勉強してきました。そんな経験から面白く、わくわくするようなエンターテインメントを生み出していきたい」とバワーズ氏は語る。

 また、バワーズ氏が強調したのは地元のコミュニティとの強い連携だ。「IRは地域の理解がなければ成功しない。われわれは地域との共生を抱えている。大阪でも地元のコミュニティとの交流は今後も継続していく。大事なのは建物より人だからだ」とバワーズ氏は語る。さらにギャンブル依存症を防ぐための「責任あるギャンブル」についても説明し、同社が展開している「GameSence」と呼ばれるプログラムを日本でも導入していくと表明した。加えて、上場企業としてのガバナンス準拠、厳しいコンプライアンス体制、強固な財務基盤と投資資金などMGMリゾーツ自体のIR事業者としての資質についてもアピールした。

 バワーズ氏は、最後に「MGMリゾートとオリックスのパートナーシップにより、日本と米国のビジネスのよいところをかけあわせ、大阪および関西にイノベーションと経済成長をもたらしたいと思っています。MGMリゾーツとオリックスは、みなさんが誇りに思えるような、大阪や関西の魅力を存分に取り入れたリゾートを作っていく」と所信表明。その後の記者発表会でも「大阪以外は入札しない」と明言し、大阪オンリーの想いの強さをアピールした。

■関連サイト
オリックスグループ
https://www.orix.co.jp/grp/

日本MGMリゾーツ
https://www.mgmresorts.co.jp/