【新型コロナのIRへの影響レポート】ラスベガス 2021年1月26日版 (1/3)

二上葉子

 昨年は新型コロナウィルスの影響を受けて、世界的に閉鎖~再開を経験した統合型リゾート(IR)産業。コロナ対策を行い、営業を再開している地域もあるが、一方では感染拡大が収まらず再閉鎖となっている地域もある。昨年末からは感染力が強いとされる変異種の流行が拡大、またワクチン接種が開始となり、新型コロナとの闘いは新たなフェーズに入った。日本型IRビジネスレポート(JaIR)では、IRがある主要な地域の新型コロナウィルス関連の動向を配信。今回はラスベガスの最新状況をレポートする。

2月中旬まで自粛期間が延長したラスベガス
 

ラスベガスでの自粛期間は延長、リゾート従業員の優先ワクチン接種を許可

 ネバダ州全体での新型コロナの感染者数は、11月後半から急増し、12月には1日2,500人を上回っていたが、1月11日より減少に転じている。1月25日現在、1日の感染者数は900人で、そのうちラスベガスのあるクラーク郡の人数が圧倒的に多く、1日782人。ネバダ州全体での感染者の累積は、約27.2万人で、そのうちクラーク郡は20.9万人で、累積の死亡者数はネバダ州全体で4,032人、クラーク郡は3,068人である。

 ネバダ州のスティーブ・シソラック知事は11月にレストラン、バー、カジノフロア、ジムの稼働率制限を強化し、多くの企業の稼働率を25%に設定。現在はネバダ州全体で、2月中旬まで自粛期間が延長されている。

 2021年の年越しカウントダウンでは、全米に向けたライブ中継で、ラスベガスのベラージオ噴水の前が映し出され、ネバダ州では公的な場でのマスク着用が義務化されているにも関わらず、マスク未着用の群衆で混雑する様子が放送された。警察は、年越しカウントダウンにはストリップ地区とダウンタウン地区に20万人以上が集まると予想。これは通常の年よりも30%〜40%少ない数字だが、群集管理のために例年通りの警官数を配置した。例年開催されていた、ストリップ地区での年越しのカウントダウン花火は今回は中止。代わりに、ラスベガス観光局(LVCVA)による年越しストリーミング番組の中で、バーチャルのカウントダウン花火が打ち上がり、いつもとは違う年越しとなった。

 年明けからは、ワクチン接種に関する報道が出始めている。1月11日には、シソラック州知事がワクチン接種ガイドライン改定を発表。感染症対策の第一線で働く人、必要不可欠な労働者、一般市民(警察官、教育者、サプライチェーンの労働者などから平等に設定し、年齢の高い順に、70歳以上の人々が最初に優先される)を並行して接種するよう調整。新しいガイドラインは、医療従事者の予防接種が完了した後、今月末までに開始される見込み。18日には、リゾート従業員やその他の重要な労働者に対して、優先的なワクチン接種を許可することを発表。ネバダ州リゾート協会のバージニア・バレンタイン会長はこの優先接種を「非常に心強いニュース」とコメントした。

 1月18日には、ラスベガスでのワクチン接種センターが、アンコール・アット・ウィン・ラスベガスのコンベンション施設に設置された。ラスベガス市中のワクチン接種はすべて、この施設で行われる。ウィン・リゾーツのCEOであるマット・マドックス氏は、「UMC(University Medical Center)とのパートナーシップは、過去に(昨年)大規模なコンベンションの場で従業員検査プログラムを導入した時から始まりました。UMCとの、このプログラムの成功に基づき、州の経済と健康の回復に不可欠な、この重要なステップを開催できることを楽しみにしています」とコメントした。

 ラスベガスの雇用は厳しい状況が続いている。米国労働統計局の1月7日の発表によると、ラスベガスはアメリカ最大都市圏の中で最も高い失業率となった。ラスベガスの労働者推定のうち、11.5%が11月に失業状態であることが示されており、これはアメリカで100万人以上の人口を抱える51の大都市の中で最も高い割合であった。ネバダ州の会計年度のゲーミング収入は現時点で36%減少しているという。


ワクチン接種センターが設置されたアンコール・アット・ウィン・ラスベガス