和歌山県は政府の新IR基本方針(案)を受けてRFPの提出を2か月延期

JaIR編集部

 和歌山県は6日、「特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)」や「設置運営事業募集要項」、「運営事業募集要項 優先権者選定基準」、「運営事業募集要項 様式集及び記載要領」の11月6日修正版を公表。政府の変更に合わせた修正が行われたうえ、コンソーシアム全体の参加資格審査のための提出書類(RFP)の期限を、10月19日から、2021年1月15日に延期をした。IRの開業の予定は2026年春ごろと明記されており、2025年の大阪・関西万博前の開業を目指していた和歌山県は軌道修正を余儀なくされた。


和歌山県の公表した「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)について」より


同じく和歌山県が公表した以前の実施方針(案)と今回の修正案の対照表


 

新型コロナウイルス感染症や汚職などの不正への対策が強化

 政府の新基本方針(案)に沿って、修正案は内容が強化されいる。新たに、コロナ対策で、感染症対策その他の健康・衛生の確保のための取組として、「新型コロナウイルス感染症の発生も踏まえ、感染症対策その他の健康・衛生の確保のための取組を適切に講じるものとする。特に感染症対策については、IRは様々な機能を持つ施設が一体となった施設であることから、先行する諸外国のIRにおける取組例や、感染症の発生の状況に応じて定められる、IRを構成する各種施設における感染防止のためのガイドラインなども踏まえ、対策内容や実施体制を定めた計画を策定し、発生時に適切な対策を講じるものとする」と新規で加えられた。

 また、IR事業者との交渉の清廉性のため、これも新規で、「IR事業者は、全般的なコンプライアンスの確保に取り組み、その取組の実施のために必要な体制を構築するものとする。また、IR事業者は、和歌山IRを実施する上で、カジノ事業の免許を申請することになるため、あらかじめカジノ事業に係るIR整備法の株主等に関する規制を踏まえた定款の作成等を行うことが必要である。さらに、カジノ事業の免許を受けるまでに進める準備の段階からIR整備法第41条に基づくカジノ事業の免許の基準、第97条に基づく契約の認可の基準、第116条に基づく従業者の確認の基準等を念頭に置いた反社会的勢力の排除等に徹底的に取り組むための措置を講ずるものとする」が加えられた。

 設置運営事業等に関する事項に関しても、「また、和歌山IRの実施を通じて、観光や地域経済の振興に寄与し、財政の改善を図る観点から、長期間にわたって、安定的かつ継続的な和歌山IRの実施を確保するとともに、IRとしての機能が適切に発揮されるよう、IR区域及びIR施設に係る安全や健康・衛生を確保する取組を進める。さらに和歌山IRに対する信頼と理解を確保する極めて重要な前提条件として、IR事業者はコンプライアンスの確保のための取組及びその実施体制を構築するものとする」という一文が加えられた。

 MICE施設についても、要求される機能として、「国際連合の会議、各国との首脳級会合、閣僚級会合などの重要な国際会議や、グローバル企業をはじめとする様々な企業の会議、企業が行う報奨及び研修旅行に付随する催事などの」と加えられている。

 和歌山県のRFP提出を進めている候補事業者は、クレアベストニームベンチャーズ株式会社とサンシティグループホールディングスジャパン株式会社の2社。


和歌山県の公表した「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)について」より


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